第152話:オアフチルドレン兵士長
「ガルス流!見攻!」
《流飛!》
敵の攻撃を受け流し、尚且つ距離を取らせる。
敵の攻撃はかなり強力.....
数段ギアが上がった様に感じる。
ルアとウォーリアの細かなサポートが無くなった影響もあるだろうな.....
「大いなる災いに体を蝕まれ、立ち上がることも出来ぬ、このか弱き一命を天の名の下に変えさせたまえ。」
《エクストラヒール》
まだルアは治療を行っている。
見かけより深い傷だったのかもしれない.....
なんにせよ、今、目の前のこの敵は俺が止めておかなければ.....
「ガルス流!砕辛」
とにかく時間を稼ごうか.....!!
《六角!》
攻撃の時間を少しずらしながら六回の攻撃を行う。
「くだらない.....」
そう敵は呟く。
目がこちらを睨んでいた。
キィン.....
という音と共に俺の剣は止まる。
技など放っている訳でもなく、ただ剣を振るっただけ。
それだけで俺の剣を止めて見せたのだ。
こいつは.....格が今までのオアフチルドレンがどうたらこうたらとちげぇな.....!!
「私の役割は時間稼ぎ。無闇な動きなどせずば、殺されぬ選択肢もあるだろうに.....」
敵はそう俺の方を見てぼやいている。
それでも.....
「仲間は譲れないからな.....!!」
「そうか。仲間か。」
そう呟いた敵はどこか遠くのことを見ているようだった。
ーーー
オアフチルドレン。
それはオアフ帝王が作った世界中に散らばるオアフ族の生き残りで構成された戦闘集団。
魔族。
それは世界中の人族から嫌悪される存在だった。
私たちオアフ族の個体数は迫害により減り、今では滅多に見かけない存在だろう。
無敵化という特異で、最強と言えるような性質を持ってしても数の暴力には敵わない。
私の両親も私たちを迫害しようとする者に立ち向かい、私と二度と出会うことなど無かった。
一人、森を彷徨う私に声をかけたのがオアフ帝王だった。
私はオアフチルドレン兵士長ラスリー・ミーシャル。
オアフチルドレンとして活動してきた。
オアフ族を苦しめる者どもを殺して来た。
オアフ帝王によれば、こいつらを生贄に「儀式」を行うことが種の存続に繋がると言っていたな.....
それが、天の声だと。
今まで付いて来た。私を、私たちオアフチルドレンを救ってくれたオアフ帝王を疑う余地などない。
オアフ帝王だから私たちはついていくのだ。
これが信頼なのだろう。
我々もまた、こいつらと同じ仲間なのだ。
だから.....だから.....!!
「我も負けてられんなぁ......!!仲間の絆とやらでは.....!!」
鬼の形相で、ジャガーを捉え、そのまま攻撃を仕掛ける。
が、ジャガーは動じない。
「もう、見抜いた。」
そう呟いた次の瞬間には己の体からは血が鮮やかに流れていた。