第151話:目の前に
時は少し前に遡りジャガー視点
三十二メートル先の五階の部屋。そこにサナがいる。
一歩が遠い。
もっも早く.....!!足よ動け.....!!
動かせよ.....!!
一人。勝てなかった相手にリベンジは果たした。
次だ。
イメージを現実に持って来い.....!!
「サナ.....!!」
そうドアを強くぶち破る。
部屋の奥。
そこにサナが横たわっていた。
「サナ!!!」
「オアフ流」
《八芒》
近寄ろうとしたところに攻撃が飛んできた。
威力も速度もある。
が、俺のイメージ通りだ.....!!
「ガルス流奥義」
《一閃!》
敵の攻撃は弾かれる。
「そりゃサナの近くに敵はいるよな.....攻撃のために準備を施してるなんて予想済みだ。」
《攻撃結界-塵》
「全員。予想済みよ。」
いつの間に詠唱を施したのかルアもそう素早く対応した。
敵の動きのイメージを行っていたからだろう。
《リセット》
「魔術の対策をしていないとでも?」
それでも敵は対応してくる。
強いな.....
「オアフチルドレン兵士長。ラスリー・ミーシャル。さあ、始めよう。」
そう言うと同時に敵は前へ勢いよく進み始める。
が、ここは俺の仕事じゃない。
イメージ通りなら.....
「ふん.....攻撃が軽いな。」
片手一本でウォーリアが受け止めた。
片手って.....どういうことだよ.....
ま、この安心感がウォーリアだ。
信頼してるからイメージに同じ光景が浮かぶ。
次のイメージは.....
「相対せし敵は超えるべき壁。離散すべきは我の恐れ。今、推進を与えよ。」
《サウザンニードル》
いわゆる無数の針だ。目に見えないほどの針。
それで無敵化を解除する。
それがルアの狙い。
だが、3対1。
その状況では防戦一方になることを敵はイメージしていた。
「隙は来た。」
刹那、ウォーリアから血が飛ぶ。
「ぐっ.....!!」
致命傷ではない。
切り傷と言えるほどだが大きな負傷だ。
が、敵は追撃を行ってこないでいる。
「な.....」
何が起こった.....!!
そうジャガーは思う。
ルアも攻撃を受けたウォーリアも同じ心情だ。
見えない。
ルアの攻撃をかわしながらウォーリアに攻撃?
何を起こした?
「さて何が起こったでしょう?私の役目は時間稼ぎ。さあ、混乱のまま終わってくれよ......」
敵は向かってくる。
目の前にサナが見える。
早く.....早くサナを.....
その思いに焦りが生まれる。
「ジャガー!ウォーリアの治療があるから今はあなた一人で.....」
「分かってる.....」
そう呟いて向かってくる敵を見据えた。
ここで、仲間を救えないだと?
そんなの俺のプライドが許さない。
全員守る。
全員、生きて.....
「完全勝利だ.....!!」




