第149話:変わるんだ
『ロックショットを複数放ってください!』
了解!
《ロックショット!》
炎の中を駆け抜けながら俺は魔術を放つ。
「ふん.....」
敵は片手でそれを跳ね除ける。
パワーはやっぱ段違いだな.....
魔術か?
『そのようですね。リセットを使って下さい。』
よし、任せろ.....!!
《リセット!》
「むっ.....!!」
《ロックショット!》
今度は俺の攻撃を避けた。
が、速さは変わっていない。
「パワーだけを魔術で底上げしてたってとこか。」
「.....オアフ神聖には会ったことはあるか?」
「いや、ないな。」
オアフ神聖どころか何かしらでも神聖級である者に会ったことすらない気がする。
「あれの強さは異常だった。それこそ神にも渡り合える。」
「神に会ったことがあるのか?」
まあ神ぐらいなら俺もあるが.....
「あるも何も、俺は神と最近も話したなぁ。さて、ここらでいいか.....」
そう、声を低くして呟くと俺の方をキリッと見た。
ゾッとする冷たい眼光だ。
その威圧感に気圧されそうになる。
が、俺はここに立っていなくてはならない。
俺はサナのことが.....好きだ。
好きな子も守ることが出来ない。
そんなこと、俺が、俺自身が許さない。
かつての俺は負けた。
ジェットに守られた。
何も出来なかったその自分を捨てろ。
今、変わるんだ.....!!
「望むところだ。」
鋭く睨み返す。
数秒目を合わせる。
ドォォォォォン
その爆発音と同時に動き出した。
「オアフ流!目録!」
《掌飛!》
掌で攻撃.....!!
魔術の効果は切れたとはいえ、早い。
早ければ攻撃は重い。
だが、それでも、今は.....!!
『正面で受けて構いません。今の全力を叩き込んでください。』
今は.....!!
勝負だ.....!!
《ウォーターソード》
そうして、素早く魔術を生成し動く。
《ムーブドウインド!》
スピードを高め、こちらも速さと重さを作る。
十年。
魔術だけだと思うなよ.....!!
正面からお前を.....ぶった斬る.....!!
「ガルス流!黎撲!」
《貫絶剣!》
ドォォォォォン
衝撃波が起こった。
周りの火が消え去る。
敵の無敵化はこの炎によって今解除されている。
攻撃を当てろ。
無敵化の解除はそう何回も出来ない。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
俺の十年の後悔を.....
ぶつけろ。
守れることに誇りと喜びを持って.....今、敵を倒せ!!!
「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
キィン
と切れる音がした。
「チッ.....!!」
敵に切り傷が入っていた。
まだ致命傷ではない。
次.....!!
《ウォーターガトリング!》
「オアフ流!」
《流乾》
至近距離からの魔術にも関わらずそれを受け流す。
えぐい技術だな.....!!
やはり強敵.....
だが、傷は入った。
「やるなぁ.....だが、まだまだこれから。だろ?」
「ああ。ぶちのめしてやるよ.....!!」
そう敵の挑発に答えたのであった。