第148話:一手目
ジャガー視点
ポトッ、ポトッと血が滴り、敵が倒れた。
「ぐ、ぐほっ.....!!」
敵は血を吐き、声を出すことさえやっとの様子に見える。
倒した.....
と自分でも驚いている。
全て自分のイメージ通りにことが運んだ。
ここ数日の成果が.....ここに出た.....!!
「よくやった。」
そうウォーリアが声をかける。
「先へ進みましょう。」
余裕を見せるルアはそう言って先に歩き出した。
俺たちもそれに続いて歩き出す。
「.....天晴れだ。」
プルアル・アリアベル。
オアフチルドレン第二隊長。
ジャガーの成長を見切れず敗北。
彼の声がジャガーらに届くことはなかった。
ーーー
ラーファルト視点
「.....思ったより早いお出ましだな。」
目の前にはその敵が立ちはだかっていた。
オアフ帝王.....
「ああ。勝負は早めに決めた方が良いだろ。」
「それはそうだけど.....サナはどこだ?」
「さあ?そこらで死にかけてるんじゃないか?」
こいつらがサナを殺さない訳が分からない。
何故だ?
ま、とりあえずはこいつを倒さないと何も始まらないか.....
『戦闘サポートモードに移行します。』
ああ、全力で頼む。
『了解。中段火魔術を放ってください。』
おいおい、建物の中だぞ大丈夫なのか?
『建物を燃やし、混乱させなければ勝ち目はありません。』
なるほどね.....その場合、サナは?
『問題ありません。手は打ってあります。』
ーーー
ルア視点
『サナは頑丈な場所にいる可能性があります。索敵して下さい。』
了解したわ.....
「聖なる息吹は空前の灯火。光を求めし勝者の前に全てを見通す眼を開かん。」
《透眼》
自身を中心とし、五十メートル。
その範囲を見ることができる魔術。
索敵、調査。これも私の仕事だ。
この魔術を最初に使わなかったのは恐らく、敵にバレると逆にサナを殺される可能性があるから。
つまり、魔術を使用するようにロードリングが言ったということは.....
ラーファルトはオアフ帝王と対峙した。
勝機は今.....
今が最も簡単にサナを探せるタイミング.....!!
見ろ.....見ろ.....見ろ.....!!
「いた.....!!三十二メートル先の5階の部屋!!」
「よし、走れっ!!」
ーーー
『サナは部屋の火災が起こったとしてもほぼ関係のない場所にいます。』
間違いないんだな?
『はい。間違いありません。』
よし.....なら.....
「はじめようか.....!!」
そう呟いたのは敵の方だ。
俺はサナの言っていたことを思い出す。
『敵の取ってくる戦闘スタイルは無敵を生かした肉弾戦。ガルス流の動きを応用しています。』
この戦闘で俺が一番大切にすべきことは.....
「オアフ流」
《光舞》
距離感だ.....!!
《ムーブドウインド!》
魔術を発動し、距離を取ろうとする。
が、敵の動きの方が早い。
段々と距離が縮まってくるのは
だが、それは予想済みだ......
だから.....
《フレイムバトリー》
中段火魔術。
炎の砲台が生成される。
燃やして混乱だったよな?
『その通りです。』
狙い通り敵の足は止まり、ニヤッと笑っていた。
さて、さっさと勝ちに行くぞ.....!!