第143話:取り返す覚悟
「まず考えないといけないのはサナの居場所か.....」
「そうだな。オアフ帝王のいる場所がどこかを調べないといけない。」
正直、手掛かりがない。
何かGPS的なものがあればいいんだけどなぁ.....
『ありますよ。ロードリングに仲間の方向が分かるようになる機能があります。』
そ、その声は.....!!
『はい。Sariです。お久しぶりです。』
復活してきたってことはオアフ帝王の解析が.....
『ええ。終了しました。オアフ帝王と相対したことでデータ収集が十分となり、極限まで勝率を高められました。』
それで、その勝率は?
『特定の条件下になりそうですが、50%までは上昇させられます。』
それでも50%なのか.....やはり強敵だ。
それで.....ロードリングのGPSって.....その、サナのやつは俺でも検索出来るのか?
『出来ますよ。互いに仲間と認識したと判断している場合、行うことが可能です。』
じゃあやってみてくれ!
『既に検索済みです。』
これは.....
「敵の位置が分かった。」
「ええ。私もサナの位置特定しましたわ。」
全員がそう頷く。
そりゃそうだ。全員がロードリングを持っていて、サナと仲間という意識を持っている。
「敵は私たちを買った人だったのね。」
そうか.....やはりここが.....
魔大陸西部。サナのいる場所だ。
「遠いな。」
「ああ、中央大陸から向かうにはかなりの時間がかかる。」
サナの転移魔術に移動を頼っていた今、素早い移動に難がある。
それなら.....
「三日。欲しい。成功させてみせる。」
「おう、分かった。ラーファルト頼むぜ。」
ジャガーがそう言ってきたので俺は深く頷いた。
Sari、協力頼むぞ。
『無論です。それと.....もう一つ提案があります。』
何だ.....??
『.....』
なるほど。それはやっぱり俺の感じ取っていたことが正しいってことか?
『ええ。ルアの攻撃の違和感は本物です。なので.....』
「ルア。俺の転移魔術の特訓に付き合ってくれねえか。」
「え、ええ。いいけど。」
出来るだけ全員が強くなれるようにしたい。
「ジャガー、シーナ、ウォーリアの三人も自分に出来ることを考えて特訓していてくれ。」
「ああ。勿論だぜ!」
「うむ。ちょうどジャガーに言いたいこともあった所だ。」
ウォーリアがそう言った。
後ろから見ている者の目というものは良い。
自分でも気付かない戦闘の癖や、隙を教えてくれるのだ。
ウォーリアならそれを正確に見抜いているに違いない。
「全員で勝つぞ。」
「ラーファルト.....パーティーのリーダーみたいだな。」
ふいにそうウォーリアが言った。
「まあ、確かにそうかもしれないぜ。」
「サナとは昔からの付き合いだからね。思いも人一倍あるのよ。」
何も考えていなそうなジャガーの回答。
全てを見抜いていそうなシーアの回答。
何も言わないが、全て知っているというような無言のルア。
それを言った本人でニヤッと笑いながら俺を見るウォーリア。
彼らの仲間。フローハットのメンバーで最も新人の俺。
そして.....
「俺たちのリーダーを取り返すぞ.....!!」
覚悟のこもった声と共に行動を開始した。