第142話:あと4日
新章開幕!!!!!
「う.....」
目を覚ましたのは森の中だった。
攻撃されて吹っ飛ばされたのか.....
腰が痛い。
《アウェイクヒール》
いててて。
やっぱルアと違って精度が低いな。
痛みがしっかり消えない。
「早く戻らないと.....」
幸い木が折れているから方向は分かる。
が.....道筋が全て分かるわけではないから「霹空」は使えないか.....
仕方ないか.....
《ムーブドウインド》
ーーー
「.....」
「ごめん、遅くなった。敵は.....」
ルアとウォーリア、それにシーアとジャガーがそこにいた。
「.....オアフ帝王は.....??」
「.....」
オアフ帝王の姿が見えず、そう聞いても誰も答えない。
周りを見渡して最悪の想定が脳裏をよぎった。
「.....ライナは?」
その問いの答えを想像すると恐怖ですくんでしまう。
それでも聞かなければいけない。
「ライナから伝言がある.....」
ルアがそう口を開いた。
「ラーフ。好きだよ。サナより。」
その言葉に目が見開いた。
サナ。
サナだ。
あの、サナだ。
俺が好きだったあの子。サナだ。
「.....サナは連れ去られた.....のか?」
「ああ。そうだ。とりあえず今後について色々整理する必要がありそうだ。」
「.....一旦帰りましょう。」
ーーー
「まず、ミサール。お前は誰だ。てかその顔は.....」
「全て、お話しします。俺とライナ.....サナとの関係についても。」
そこから一呼吸おき、ラーファルトは口を開き話を始めた。
ーーー
19年前、ルインド王国の辺境。ジャック王国との国境付近。
そこで俺は生まれた。
3歳の時、フィックス先生と出会った。
俺の師匠。尊敬している師匠だ。
二人で楽しく魔術を学んで、やがて別れがやってきた。
フィックス先生と別れた後は、サナ。
ライナになっていた存在と出会った。
俺の初恋の相手だ。可愛かった。
サナが俺たちの村にやってきた時、魔獣に襲われていたところを助けて仲良くなった。
俺の初恋の相手だ。可愛かった。
仕草が、行動が、言動が全て。
俺に突き刺さっていた。
笑って、泣いて、叫んで。
そんな楽しい日々はあっという間に過ぎ去っていった。
そんなある日、ルインド王国の宮廷軍がやってきた。
俺を宮廷魔術師にスカウトしにきたとのことだ。
二年。その月日を村から離れることになるのだという。
俺はその申し出を受けることにした。
更に強くなって、守れるものになって、自由を手に入れるために。
サナとの月日は短かったけれど楽しいものだった。
本当に好きだった。サナのことが大好きだった。
今でも好きだ。
だから帰ってきたら気持ちを伝えようとと思っていた。
だが、悪夢は起こった。
宮廷魔術師最後の一年。
隣国のジャック王国が戦争を仕掛けてきたのだ。
俺は避難民を護衛したとき、敵に捕まってジャック王国内まで連れて行かれた。
どんなにキツくて、辛い時でも俺の心の中にはサナがいて、サナを支えに生き抜こうとした。
だが、それも折れる日がやってきた。
ブユレ村。俺の故郷を襲った奴が俺の目の前に現れたのだ。
サナのことにも言及していた。
守れなかった。
その事実に絶望して、もう何も出来ないと思うほど俺の心はぐちゃぐちゃになっていた。
それでもルインド王国へ帰る道中で色々あった。
俺をミルという子が救ってくれた。
ルインド王国の王女らしい。
サナのことが好きだった。でもそのサナはいなくて。殆どの確率で死んでいる。
そんな気持ちの俺を好いてくれている彼女に惹かれているのも事実だった。
彼女と付き合って、やがて別れを告げなければならない出来事が起こった。
ジャック王国内の味方と連絡が取れなくなったのだ。
ジャック王国へ救いに行く必要があった。
が、そんな危険へ思い人は連れていけない。
守らなければならないと思った。
だから、別れた。
大切に思っているからこそ、ミルと別れを告げたのだ。
俺は、ルインド王国に帰るまで旅を共にしたジェットと共に助けに向かった。
だが、そう簡単にはいかなかった。
魔神聖。それが敵だったのだ。
敵は強すぎた。
全く歯が立たなかった。
ジェットが命をかけて俺を守って、俺は逃がされた。
連絡が途絶えた俺の味方も、生きているのかすら分からない。
もう人生に絶望していた。
立ち直る気力が無かった。
それでも生かされた身として、死ぬことなんて出来なくて、十年。
色々やった。
ダンジョン攻略だとか、奴隷解放だとか。
辛いと感じながらもそんなこもをこなしていった。
だが、十年経てば、もういいかと思ってしまう自分がいた。
そこで俺を救ってくれたのがライナだ。
ライナは俺の話に寄り添って、笑って、抱えてくれた。
知っての通りだ。
その、ライナはサナだった。
ーーー
「サナはどんな気持ちで俺のことを救ってくれたんだろうな.....」
「.....ライナのことだから、打算なんてなくて、衝動で動いていたんでしょうね。」
俺の発言に対し、ルアがそう答える。
「俺はサナを助けたい。危険はあるけれど、必ず助ける。」
俺はフローハットのメンバーを見つめる。
「そんなの.....あたりメェだ。」
ジャガーがそうポツリと言った。
「負けっぱなしなんてありえねぇぜ!」
「ああ。そうだな。」
ジャガーの言葉にウォーリアが続く。
「全員、その気持ちですのよ。」
シーアもそう言って同意してくれた。
「絶対、ライナ.....サナを取り返すぞ!必ずだ!」
そうラーファルトは叫んでいた。
ラーファルトとサナの再開まで、あと4日。
第10章の開幕です!!!
物語大きく動きます!!!
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