第141話:生きてさえいれば
繋いだチャンス。
ここで決める.....!!
《ウォーターガトリング!》
敵を倒せ.....!!
「そう何度も当てられると思うなよ.....!!」
そう叫びながら敵は俺の方に距離を詰めてくる。
「いつでも来い!」
俺はそう叫ぶ。
その瞬間詠唱が始まった。
「聖なる空はこの世を見下ろす。」
ルアの声だ。
その声が森に響き渡る。
「誰だ!!」
おっと.....詠唱が終わるまでは.....
「俺に集中してもらおうか。」
「こんなの罠に決まっているだろう!!」
ああ、そうだ。
お前を死へ導くカウントダウンだよ.....!!
《ロックショット!》
「だから効かないと......??!!」
俺が狙ったのはお前じゃない。
「うぐっ.....!!」
倒れ込んできた木と地面の間に敵は挟まれる。
「時間は稼がないとな。」
「くそが.....!!」
敵はその場所を抜け出そうとしている。
が、そんなことはお構いなしというようにルアの詠唱が続いた。
「聖なる目は天へ浮かぶ。地に写せ。倣え。顕現せよ。我の手に渡らせよ。操らせよ。数多の光よ。打ち砕け。この世に破壊を生み出したまえ。」
詠唱終了。
「さて、始めようか。」
魔力の面を捉え、操る。
敵にだけ当てる。
集中だ。
敵以外の誰にも攻撃は当てさせない。
「容赦するなよルア。」
《攻撃結界-塵》
「この.....!!」
同時だった。
結界の発動と敵が木と地面の間を脱出したのは同時であった。
「もう遅い。」
魔力探知.....
「散れ。」
「......??!!」
全ての攻撃を操る。
凄まじい速度の攻撃。
敵を塵にしてしまうような攻撃だ。
それを全て操り、味方に決して当てさせない。
一朝一夕に出来る技ではない。
ラーファルト・エレニアだから出来たことだ。
その速度を操るラーファルトの目には時間が遅くなったような感覚が見えていた。
故に気付いた。
この攻撃を掻い潜る化け物がいると。
「ルア!逃げろ!」
「は.....」
「調停の技!」
《壁空!》
「お前が.....オアフ帝王。」
「いかにも。死ね。」
そう言った敵の拳が目の前に迫っている。
《ディスクリート!》
防御は.....貫通するか.....!!
「う.....!!」
木を何本も貫き、森の奥までラーファルトは飛ばされていた。
ーーー
サナ・ラスファント視点
「さて.....三人か。従え。命令だ。」
倒れて、立つこともままならない私を守るように立つウォーリアと鬼気迫る表情をしたルアがそこにいた。
「ラーファルト.....ラーフ.....」
昔のことを思い出した。
彼のことが好きだった。
サナ。
そう名前を呼んでくれるだけで私は幸せだった。
「もう一度言う。従え。殺されたくなければ。」
「そんなこと.....」
ウォーリアが応戦しようとしている。
ウォーリアには申し訳ないけど私にはわかる。
本当に死んでしまうと。
殺される。
ウォーリアとこの敵の相性が悪い。
無敵化を解除できない。
それに、ルアの攻撃で解除するにしても詠唱が必要だ。
ルアのことを守りながら私のことも守るなんて.....
多分出来ない。
「待って。私を.....連れて行って。」
「ライナ!!」
ウォーリアが叫ぶ。
「ごめんねウォーリア。私、今なら何でも出来る気がするの。」
何でも出来る気がするのは何でだろう。
きっとこんな状況て胸が高鳴っているからだろう。
生きていれば、また会える。
生きてさえいれば、また巡り会える。
「ウォーリア。ルア。ラーファルト・エレニア.....ラーフに伝言しておいて。」
「は?それはどういう.....」
「ラーフ好きだよ。探さないでね。サナより.....って.....!!」
「ま、待て.....!!そんなこと.....!!」
「ごめん。ラーフが戻ってきたら決意揺らいじゃうから。」
「本当に待っ.....!!」
ルアの声が途絶えた。
《ソウルゲート》
私と敵.....オアフ帝王だけが転移をする。
「さて、何が目的なの?」
「.....」
私の問いに不適な笑みを浮かべるのみで、オアフ帝王は口を塞いだままだった。
キリが悪そうですがこれにて九章完結です!
次回から激動の十章へ突入!!!!!
長めですが、物語の中でも最重要の章の一つとなります!!!ぜひ、ブクマ等で刮目しておいて下さい!!!