第135話:オアフ帝王
ルア視点
「.....」
「ふぇっへへへへ。」
笑い方きしょいな。
それがルアが最初に敵に対して抱いた感情だった。
「ふぁたいはぁ、オアフチルドレンのぉ、参謀なぁのぉ。」
喋り方もきしょいのか。
それが第二印象だった。
「アリマーリー・アリアールってぇ、言う名前なのぉ。」
「はぁ.....」
「聖なる裁きはこの地に落ちる。聖なる空はこの世を見下ろす。聖なる目は天へ浮かぶ。地に写せ。倣え。.....」
「詠唱なんてさせると思うのぉ?」
ルアの詠唱と同時に敵は攻撃してくる。
魔術師。そう言われる者の弱点は接近戦だ。
詠唱を行わなければ攻撃できない。
しかし、接近戦では詠唱をする時間がない。
稀に、例外はいるが.....
そう考えながらルアは詠唱を続ける。
「顕現せよ。我の手に渡らせよ。操らせよ。.....」
「オアフを舐めるなよぉ.....!!しゃああ!」
敵の攻撃が目の前に迫る。
刹那、ルアは指輪を前に出した。
「ふにゃ?!」
攻撃がルアの目前で止まる。
「数多の光よ。打ち砕け。この世に破壊を生み出したまえ。」
《攻撃決壊-塵》
「そんなものわぁ、効かなぁ.....ぶっ.....!!」
数多の光が敵を襲う。
敵の体が削れ、やがて塵となった。
「接近戦の対策をしてないなんて勘違い。いささか甚だしい。地獄で全てを後悔しろ。」
その一言を残してルアはその場を立ち去った。
ーーー
ライナ視点
「.....誰?」
「誰か、オアフ帝王。とでも名乗っておこう。」
やけにあっさり出て来たな.....
舐められてるって感じだ。
が、実力は相当。
おまけに私は魔術師なので接近戦が得意ではない。
不利に不利を詰め込まれたようなもんだな。
完全に遅れを取っている。
とりあえずは.....
「どうして私たちを狙う。何もしてないだろう。」
「うーん。まあそうなんだけどなぁ。」
そうだよな。何もしてないのに狙うなんて酷すぎる。
「強いて言うならお告げだろうな。声が我に教えたのだ。お前たちを狙えと。」
誰だよそんなクソみたいなお告げしたやつ。
「それは脳波に干渉する類の魔術だろ?探知して誰が送ってるかとか調べなかったのか?」
「したよ。出来なかった。」
出来なかった.....??こいつが?
「帝王と呼ばれるようになった俺でもな。」
もし、それが本当なら私たちは相当強大な敵に狙われていることになる。
「俺にお告げをしたやつはそんな奴だ。おまけにそいつは、未来を見れるってんだ。そんなの.....従うしかないよなぁ!!!」
時間稼ぎもここまでか.....!!
「炎の精霊よ。我が.....」
「詠唱なんてさせねぇよ.....」
早すぎ.....!!
ライナは手を敵に手を向ける。
「ほう....」
動きが止まった。
「体にその景色を刻まん。今、この場に広がりたる.....」
まだ詠唱は途中.....!!
このまま.....!!
「これたらどうだ?」
刹那、世界が動いた。
「っ.....!!」
え、という間もなく吹き飛ばされたのだ。
殆ど動けない。
これは.....こいつは.....無理だ。
少なくとも、私には倒せない。
《ソウルゲート》
この禁忌魔術に詠唱はない。
魔術の使用者と任意の相手を転移させられる。
転移魔術としてかなり上位の部類だ。
だが、その代わりに莫大な魔力を消費する。
「チッ.....転移魔術か。」
その場に残されたのはオアフ帝王ただ一人だけだった。




