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第126話:今の方が

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「ふー。美味しかったね。」

「うん、最高だった。」

「何か買いに行く?」


 買いに行きたいなぁ。


 何を買うか.....


 うーむ.....


「そんな迷わなくても、歩きながら決めればいいのに.....」


「たしかに。それ楽しそう!」


「ふふふ。」


 唐突にライナが笑った。


「何かあった?」

「いいや。ミサールが楽しそうで嬉しいなって。」

「.....うん。楽しいよ。すごく。」


 そうして二人は並んで歩き始めた。



 ーーー



『ターゲットの位置を共有。現在、露店を回っています。』


『了解。そのまま一定距離を保ち、追跡を続けろ。』


『現在、魔道具店の視察中。』


『現在、装飾品を購入中。』


『現在、噴水広場にて休憩中。』


『周囲の人の人数は?』


『ざっと二十人以上。人の出入りも激しいです。』


『了解。攻撃せずに待機。追跡を続けよ。』


『街を散策中.....』


『夕ご飯を.....』



 ーーー



「うひゃあー!楽しいねー!」

「うん。本当に楽しい。」


 ライナと過ごすことがこんなに楽しいとは思わなかった。


 正直想像以上の楽しさだ。


 これがデートってやつなのだろうか。


「ねえ。ミサール。」

「どうしたの?」

「ミサールのこと、聞いていい?」


 いや俺のことを聞くってどゆこと。


「いや、ミサールって今までの人生でどんなことをしてきたのかなって思ったから。」


 どんな人生か.....


「.....絶望と希望と後悔が入り混じったような人生.....かな。決して平坦な道では無かったし、実際、ライナがいなかったら俺危なかったと思う。」


 絶望と希望ってのは案外紙一重だ。


 対義語なだけあって少しの失敗で真反対の結果になることもある。


 そして、その少しの失敗に後悔が生まれた。



 前世....14浪した俺の人生。


 決して良いと言えたものではなかった。



 だから、自由ってものに憧れた。


「なあ、自由って何だと思う?」

「え?」

「俺にはずっと前からその疑問があるんだけど、考えても考えても答えは出ない。出したい答えだけど、まるで未解決証明問題のように、俺に付き纏ってくるんだよ。」


 自由ってなんだ?


 自由のために何をすべきなんだ?


 永遠とこの疑問が解決しない。


「俺は自由を追い求める人生を今まで歩んできたよ。だから、奴隷の解放なんてこともやったし。実際、それって自分の為だったんだ。でも何も得ていない。何も分かってない。それでいいのかなって疑問が不安を産んで、やがて後悔に変わって、絶望感に浸る。そんなつまらないことを繰り返す人生だよ。」


 つまらない。


 つまらないのだ。


 自由を追い求めるたび、失敗して押し返される。


「それで、いいのでは?」

「え?」


 ライナの言ったその一言が刺さる。


「ミサールの思う自由は知りません。きっとそれは私がミサールに教えることではなくて、ミサール自身が見つけなければいけない人生の命題なのだと思います。なら、私はそれを応援します。その夢の手助けをします。だから、安心して失敗していいんですよ。仲間がいるんですから。」


 いつしか、街の高所の方へやってきていた。


 とっくに日は沈んでいるが、家庭の明かりは街を照らす。


 今日二人で回った場所を一望できる。



 思わず、ライナから目を背けた。



 好きだ。


 出会った時より今の方が好きだ。


 一週間前より今の方が好きだ。


 三日前より今の方が好きだ。


 昨日より今の方が好きだ。


 今日の朝よりも今の方が好きだ。


 今日の昼よりも今の方が好きだ。



 きっと、明日の俺は今よりもっとライナのことを好きになっているだろう。


「ライナ。聞いてくれる?」

「は、はい!」



 ーーー



『ターゲット孤立。全員で囲め。』


『全員、一斉にかかれ!!!』



 ーーー



「俺、ライナのことが.....」


『後方より襲撃です。』


 誰だよ.....


 《ディスクリート》


 ラーファルトの放ったそれは一切の攻撃を通させない。


「攻撃を続けろ!!」


 防御されたと分かっても敵はそのまま攻撃続行を決断した。


 今日一日尾行していた彼らはこれが最大の攻撃のチャンスであることを理解していたのだ。


 実際それは正しかっただろう。


 周囲に人はいない。


 案外開けた場所だった。



 が、それは実力差が拮抗している時の話だ。


 彼らはそれを読み違えた。



 《ディバシーウインド》


 ライナを引き寄せ、飛ばされないようにしてから彼はその魔術を最大出力で放つ。


「いきなり襲いかかってきやがって.....」


 恐らく、ここまでラーファルトが感情を初めから剥き出しにして敵と対峙したことはなかっただろう。



「覚悟は当然出来ているんだろうな?」



 彼は視線は敵を睨んでいた。

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