第125話:かわいい
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「とりあえずまずは私の戦闘服買いましょう!」
「え、戦闘服以外も買うの?」
てっきり戦闘服だけ買って終わりとでも思っていた。
「せ、せっかくのデートでしょう!色々回るわよ!あと、ミサールの私服も買ってあげたいしね。」
「見窄らしくてすみませんねぇ.....」
うん、なんで俺は今まで私服買わなかったんだろ。
てかオシャレにしてるライナの隣の俺ってただの変な奴じゃね?
『そんな当たり前のことを今更気にしてはいけません。』
いつになくSariが辛辣だ.....
ーーー
「これいいわね。動きやすくて値段も安い。」
「前のライナの戦闘服と似てるのもいい感じだね。」
と戦闘服を選ぶ。
戦闘服は案外生存率に直結する。
動きやすい方が敵の攻撃を避けやすいからだ。
故に、デート気分は一旦忘れて真剣に悩む。
「うーん。でもこっちの伸縮性も迷う.....前もこれと迷ったのよね。」
「前回はなんで伸縮性を選ばなかったの?」
「お金が無かったのよ。」
ああ.....そういうことか。
確かにひよっこの冒険者が買うには少し高いかもしれない。
今は買えるお金は十二分にあるけど.....
「.....結局はライナ次第な気もするね。自分が着たい方がいいと思う。」
「そうね.....じゃあこっちにするわ。この感じの方が慣れてるし。」
と最初に見ていた方の戦闘服を選んだ。
ーーー
「じゃあ、次は私服ね!行きましょ!うふふ。」
と機嫌良さげにライナが言って笑いかけてきた。
「うん。行こう。」
「ふぇ?!」
とライナが驚くのも無理はない。
俺がライナの手を取ったのだ。
「あ、嫌.....だった?」
「べ、べべべべべ、別に、全然大丈夫だよ!」
なんかツンデレっぽいな。
と、考えたらミルが頭をよぎった。
今頃、何をしているのだろうか。
俺は彼女のことを一方的に振り払ってしまった。
危険に晒したくないという理由で、おそらく彼女の傷つく行動を起こした。
申し訳ないな.....と思う。
「いてっ。」
ライナが俺の手をつねってきた。
「今、他の女のこと考えてたでしょ。」
「すんません。」
「ふーん。別にー、いいけどー。」
そんな会話を繰り返しながら俺たちは歩いていた。
ーーー
「ねえ、ミサール。これなんてどう?」
「か、かわ......うん、いいと思う。」
か、可愛すぎる.....!!
と心の声が漏れていたが許してほしい。
ライナが可愛すぎるのが悪いんだ。
いつもと少しベクトルの違う服装が目の保養になっている。
服を選ぶ彼女の表情一つ一つに脳を叩かれたような破壊力があるのだ。
「可愛いって素直に言ってもいいんだよ。」
「ここ店内だから恥ずかしいじゃん!」
幸いと言うべきなのか分からないが、周囲に人は少ない。
が、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいのだ!
「じゃあ次ね。」
次.....??!!
耐え切れるか俺.....
と考えながら数分。
試着室のカーテンが開く。
白色のワンピースを彼女は着ている。
「可愛い。天使。」
もはや反射でそう言っていた。
「て、てん.....つ、次よ!」
と赤くなってカーテンを勢いよく閉めた。
「うあ、て、天使.....??てん.....!!」
と中から何やら声が聞こえてくるが聞きてないことにしておこう。
それより、周りの反応がえぐい。
めっちゃ笑われてる。
てかニヤニヤされてる。
まあ不思議と嫌な気持ちではないな。
「お、お待たせ。」
とライナが出てくる。
見ると元の服装に戻っていた。
やっぱりこの服でも普通にかわいい。
「結局何を買うの?」
「とりあえず試着したやつ全部買うわ。」
金持ちっぽい思考だけど、まあ二つしか試着してないし全然妥当といえる量だろう。
じゃあ次は俺か.....
「ねえ、ライナ。俺にセンス分けてくれない?」
「センスを分ける?はい?」
どうやら伝わらなかったようだ。
ライナのファッションセンスはかなり高いと思うのだが、それにライナは気付いていないのだろうか。
こういう時は.....
「あのすみません。このお店の男性へのおすすめ教えて欲しいんですけど.....」
「おすすめの服ですね。かしこまりました。」
と店員がかなりニタニタしながら接客してきた。
正直めっちゃ恥ずかしい。
『諦めましょう。デート中の誰しもが通る道です。』
嘘やん。みんなこんな経験してんのか。
『デート出来た人だけですね。』
こいつ今全人類の半分以上を恐らく敵に回したぞ。
と、ライナが俺の服を探しているので無口でいる間、Sariと話す。
「失礼致します。こちらが当店のおすすめです。ぜひご試着下さい。」
そう言って店員が再びニマニマしながら戻って来た。
もうこの視線には諦めるしか無さそうだ。
ーーー
「うーん、似合ってるかなぁ.....」
センスのない俺には分かんない。
ぽい感じにはなっている気がするが.....
と思いながらカーテンを開ける。
「.....!!」
ライナが驚いたような表情を見せた。
「ど、どう?」
「う、え、あ、か、かっこいいですよ。」
ライナがしどろもどろになりながらもそう答える。
そうか、かっこいいか。
照れるな。
「じゃ、これ買うか.....」
「は、はい。いいと思います!」
ーーー
ライナ(◾️◾️・◾️◾️◾️◾️◾️◾️)視点
「お買い上げありがとうございましたー!」
ニタニタしながらそう言う店員の声を背中に受け、手を繋ぎながら店を出た。
正直恥ずかしくて死にそうだ。
今すぐ走り出してしまいたい。
ただ、悪い気はしない。
私はミサールのことが多分好きだ。
いや、絶対好きだ。
“あんな”助けられ方されたら好きになってしまうに決まってる。
昔、好きだった人がいる。
初恋の人だ。
今でもその人のことが多分好きなんだと思う。
でも、離れ離れになってしまった.....
多分その人とミサールが似ているのだと思う。
私ってずるい女だって思う。
ミサールに別の女の人のことを考えてほしくないって思っているのに、私は別の男の人のことを考えている。
「どうする?帰る?」
帰りたくない.....
ミサールの声にそう思う。
「せっかくだからどこかご飯でも食べに行こうか?」
「うん。行こ。」
この気持ちはまだ胸にしまわないといけない。
私の全てを教えれる日まで.....
そしてミサールの全てを知れる日まで.....
ーーー
「あの女か?」
「ああ、そのようだ。総員、囲むぞ。」
不穏な影が迫っていた。
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