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第122話:俺にはいる

 夜。月明かり(地球ではないから月ではないが)に照らされていた。




「さあ、今日も任務地へ行くわ。結構危険な魔物がいる地域だから気をつけて。」


 とライナが言って詠唱を開始する準備を始めた。



 冥界の谷での戦闘から一カ月が経過した。


 あれから何回も見て任務へ赴き、戦った。


 今の所失敗はしたことがない。


 順調といったところだ。冥神レベルの敵なんてそうそう出会うものではない。


 そう考えると妥当だろう。


「今、この時、目前に道は開かれる。見えぬものを感じ、聞こえぬものを知覚し、己を知り、祈りを捧げる。」


 《トアブルック!》



 といつもの如く、ライナがゲートを開く。



 一カ月もの間何度も見て、研究してはいるのだが、正直仕組みは今もよく分からない。


 空間と空間の間を縮めるゲートなのか、それともドアとドアを繋がる感じなのか。


 はたまたそれ以外か。


 現在、Sariも解析中といったところだ。


 Sariがここまで解析に時間をかけるのも珍しい。


『遅くてすみませんね。ふんっ。』


 と怒っているが、まあいつもが早すぎる故にでる感想だから許してほしい。


 彼女の使う転移魔術はそのぐらい精密、緻密なのだ。


 元々、転移魔術自体が緻密なものであり、使い方を教えることは禁忌とされている。


 勝手に見て勝手に学ぶか、国レベルの貴重な書庫にある本を見て知るしかない。


 だから転移魔術を使える人物は少ないのだろう。


「着きそうだな。準備をしておくぞ。」


 とウォーリアが言う。


 しっかりと緊張を腕に、脳に込める。


「じゃあ、みんな作戦通りに。」


「神の声よ、惑わせ。振動せよ。人に知れぬ告げをもたらせ。」


 ライナの声と同時にシーアが詠唱を行った。


 その終了と同時に周りに風景が見える。



 更に目の前には.....


「いた.....!!」


 今回の任務で狩る魔物だ。


『今回の任務対象のストレンジバット。夜に非常に活発な活動を起こします。目が発達してないので光に弱いです。ただし、音波で周囲の状況の把握と攻撃を同時に起こすため、厄介です。』


 と、さっきライナから聞いた説明を話してくれた。


 ここは魔大陸なんだ。


 殆どの魔物は大大陸の魔物の数倍強い。


 厄介すぎるなぁ.....


 だからこそ、事前に作戦を立て、連携して動く。


 《共鳴の結界》


 シーアの結界が瞬時に形成される。



 夜に活動するこいつはこれに弱い。


 《光の結界!》


 冥界の谷でシーアが使った結界を俺が生成する。



 恐らく、あくまで予測のレベルは超えないがシーアの結界とこれは違う。



 結界の生成は困難だ。


 まず、空間と空間の分断が出来るか。


 ここに才能の差が出る。


 この域は俺は脱した。



 次に属性、いわばその結界の特徴を形作れるか。


 ここにも才能の差が出る。



 最も、ここは才能のある者でも習得に数年かかることがあるだろう。



 俺の場合、光を付与するのは難しい。


 が、俺は結界に対して光の強い「雷砲」を纏わせることで結界を光らせている。


 結界自体を光らせるシーアとはプロセスが違う。



 シーアの使う結界はレベルが違う。


「共鳴の結界」結界内で音を自動的に消す。



 今回、作戦を事前に細かく練った。


 それはこのためだ。


 声による連携がとれない。


 音の波、いわば音波を打ち消す。


 敵の音波の攻撃は消える。



 敵が口を開いた。


 光の結界により、混乱に陥った敵が暴れて、無差別に繰り出そうとしている様子だ。


 が、攻撃は来ない。



 効いてる.....!!完璧だ。


 共鳴の結界ってすげぇなぁ。



 と、ラーファルトは思っているが、結界に対し、技を常時纏わせるという方法を用いれるのがまずおかしい。


 ラーファルトの異常な魔力量、そして結界に纏わせる魔術の操り。


 それが出来るからである。



 これで魔力操作を用いていないのだから用いれば更に精度が上がるというのも

 末恐ろしい。


 ということにラーファルトは気付いてない。



 ラーファルトがそんなことは関係ないというように前を見据え杖をかざした。



 今の俺に出来ないことなど五万とある。


 学んで、知って。


 吸収して、自分の物にして。


 それを繰り返して強くなる。



 それでも、勝てない。


 敵わない。


 そんな敵がいたとしても.....



 ラーファルトがそう考えてニッと笑う。


 《ロックショット》



 技を放つ同時にラーファルトは口を開く。


 最も、その声は聞こえていない。


 ——俺には仲間がいる。


 という声だった。

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