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第119話:谷の調停者

「け、渓龍.....!!」


「ぜ.....全員!戦闘体制!」


 そうライナが声をあげて仲間を鼓舞する。


 が.....


「うおおおおお!」


 ジャガー.....!!


 動きが鈍い.....!!


 ウォーリアにも疲労が見える。


 《音の炎槍!》


 ロックショットと火系、風系の魔術を組み合わせた音の炎槍。


 当たれば敵は.....


「キュアラアアアアアアアン!!」

「なっ.....!!」


 咆哮だけで魔術を消し去った?!


『自身の周囲の魔術を咆哮を通して無効化した模様です。』


 つまり、禁忌魔術のリセットを行ったとみていいんだな.....


 ただ、リセットより範囲は小さい。


 俺のトリックフェイスが発動したままだ。


「全員!一斉に!」


 ライナがそう叫ぶ。



 《ロックショット!》


 俺はその技を放ち、敵の反撃に備える。



「炎の精霊よ。我が体にその景色を刻まん。今、この場に広がりたる火の脅威を見せしめたまえ!」


 《ブロードフレイム!》


 指示を出したライナも攻撃を放った。


 敵の方へ真っ直ぐと伸びていく。


「ガルス流!」

「アリス流!」

「クリス流!」


 三つの流派を用いる三人も谷を駆け上がり攻撃を放とうと試みるが.....


「.....遅い!!」


 これはまずい.....!!


 剣士の三人、特にジャガーとウォーリアの速度が流石に遅すぎる。


 冥神戦のなごり.....


「ゴアラアアアアアアア!」


『風の斬撃が来ます!』


 風の斬撃!これは防げない.....!!


「ライナ!」

「え」


 ライナはまだ攻撃に反応できていないようだ。


 魔術師.....


 そう呼ばれる者の反応は普通遅い。


 ラーファルトは無詠唱魔術を用いて、前衛として戦う経験も、剣術を用いて戦う経験もある。


 が、それがライナにはあまり起こる事態ではない。


 故に、敵からの攻撃への反応が遅れる。



 霹空は.....間に合わない.....!!


 《ムーブドウインド!》


 足を力の限り踏み込み、ライナへ向かって跳躍する。


 間に合え.....!!


 ライナに触れ、押し倒して攻撃を躱そうとする。


 コンマ1秒前には頭があったであろう位置に攻撃を感じる。


「くっ.....!!」


 足に痛みを感じる。


 切れて.....はいないだろう。


 直後、視界がぼやける。


 吐き気がする。


「う、うえええええおお.....」


 毒.....


 これは.....


「ゴアラアアアアアアア!!!!」


 再び渓龍がそう叫ぶ。


「そこまでだ。鎮まれ渓龍。」


 声をあげたその存在が何かを考える余裕などないうちに俺の意識はなくなった。



 ーーー



 正面にはサナが見える。


 近くにいる様で、遠くにいる気がする。


 顔ははっきりと見える。ぼんやりとしている気がするのにサナと分かる。



 右を向くとミルが見える。


 顔は見える距離にいないが、動きで分かる。


 剣を振るって、俺の前に立って道を示してくれる。



 右を向けば家族が見える。


 モルガンが、エミリアが見える。


 三つ子の弟、妹.....リール、ラゼ、リゼ。


 今頃どんな風に過ごしているのだろうか。


 もう.....生きていないのだろうか。


 生きているならどうやって成長しているだろうか。



 左を向けばフィックス先生がいた。


 笑顔が見えた。


 その笑顔が突如闇に包まれる。



 驚いて周りを見渡す。


 上空から闇が降り注いでいた。


 全てが闇に包まれる。



 誰かが俺の頬に触れた。


「お前、体は大事にしておけよ.....」



 ーーー



「う.....」

「あ、おはよう.....その、ごめんね。私のせいで。」


 意識が段々と覚醒してくる。


 ひ、膝枕!


「あ、いや、えっと、あれは仕方ないんだけど.....えと.....」


 としどろもどろになりながら返答するが、実際どんな感じで倒れたのかを思い出せない。


 というより膝枕で思い出す余裕がない。


「本当に大丈夫?なんか様子がおかしいけど.....」


 様子がおかしいのは君のせいです!



「お、起きたかよ。」


 とジャガー達、他の仲間達がやって来た。


 その後ろにいる一人の人物を見て色々なことを思い出す。


 渓龍に攻撃をされ、誰かがそれを止めたこと.....


「その人.....」

「怪しい人ではないわ。」


 とシーナが言った。


「初めまして。この地で調停者をしております。ソウリアです。」

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