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第107話:状況整理

「それじゃ、新しい仲間もできたことだし、状況を整理するわね。」


 リーダーのライナがそう言った。


 ミルたちとの旅ではリーダーとして引っ張ってきた俺の立場からすればなんだか新鮮だ。


「お願いします。」

「まず、私たちが今いるのは中央大陸西部。中央大陸一体をはるか昔から支配するエリオント帝国の領地にいるわ。」


 Sari…..エリオント帝国っていつから.....


『正式な年代は不明とされています。ただ一つ言えるのは、冒険者協会はエリオント帝国に大きな関係性を持つということです。』


 エリオント帝国と冒険者協会が?


 冒険者協会は独立した感じなんじゃ.....


『その通りです。但し組織である以上、本部というのは必要です。エリオント帝国は広大な領地を支配する力を持っています。故に平和が揺らぎにくいこの土地へ本部を置いているのです。』


 なるほど.....


『また、冒険者協会はエリオント帝国の皇帝により作られました。』


 ん.....??


 エリオント帝国の皇帝が作った?


『はい。そうです。』


 なら、親密な関係があってもいいとは思うが.....


『いえ、皇帝は作るように命じ、世界中に呼びかけただけのようです。その内容は.....』



 [この世界で闘う全ての者へ。荒ぶる世を来るその日まで調停するため、この組織を全世界へ広める。]


 来るその日.....


『これが五百年前の発言です。』


 冒険者協会の歴史って長いんだなぁ。


 それで、結局、本当に関わらなかったのか?


 ロードリングは冒険者協会のものだろ?


『一応、そうですが企業秘密ではありますので言えないこともありますが、この件に関しては皇帝はそれ以降一切関わっていないことを言っておきましょう。』


 へぇ.....


 そんなことが出来るんだなぁ。


 全世界から勝手だとか文句なかったのか?


『それはエリオント帝国の長い歴史とその権力の強さ故にできた芸当です。』


 なるほどねぇ。


 結局は国力ってことか。



「ねぇ、ミサール大丈夫?ぼーっとしてるけど。」

「ん?あ、ああ。大丈夫。考え事してた。」


 初めから考えことなんてするもんじゃないな。


 変な印象を与えてしまう。


「分からないことがあったら聞いていいからね。」


 そうライナは俺へ微笑みかけた。


「分かった。」

「うん。じゃ、それは置いといて、これから私たちは魔大陸に入ろうと思います。」

「魔大陸か。一応過ごしてた時間がある程度ある土地だから力にはなれそうだけど.....」


 危ないんだよなぁ。


 ま、大丈夫か。


「ミサールがいれば魔術で安定して援護出来るからね。もうそろそろ本格的に魔大陸へ行っていいと思うの。」


「今まではライナの転移魔術に頼りっきりだったからな。ありっちゃありだぜ。」


 ジャガーがそうミサールの発言へ同意する。



 つまり、俺を助けた時は運良くこの土地から通っていたってことか。


「私も賛成だ。何より足取りが取られたりすると面倒だからな。今のうちに逃げて対処しておいてもいい。」


 足取り?


 対処?


 シーナの発言に俺はハテナマークを頭に浮かべる。


「あの、それって.....」

「追手のことだ。一応元奴隷だからね。定期的に来るんじゃ。衝撃的すぎるぐらい弱いんだけどのぉ。」


 弱いて、失礼な.....


「みんなも反対じゃないかしら?私たちは魔大陸を旅するわ!」

「おー!!!!!」


 みんなで子供のようにそう掛け声をあげる。


 きっと、奴隷として自由が与えられなかったからだろう。


 時折、それこそ子供のように、世界を謳歌している表情が垣間見える。



 俺が解放した奴隷たちはみんなこんな表情をしてくれているのだろうか。


 ライナたちのように笑顔で生活を送れているのだろうか。



 今まで、奴隷を解放するという名目にしか興味がなかったようなのに、今になってそれが気になる。


 奴隷は解放し、自由にしてあげるという自分勝手な考えを自分勝手に実行し、結果、その奴隷自体は見ていなかったのだろう。


 だからライナたちを助けた記憶もない。


 いわば、情のない作業でしかなかった。



 自由とは何なのだろうか?


 ライナたちの表情は自由の象徴のようなものなのだろうか?



 分からない。


 例え、それが一生分からないものでも進み続けよう。



 進み続けた先に出会う仲間と共に.....

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