第105話:懐かしい
「おうよにーちゃん。」
こ、強面ヤンキー.....??!!
というか誰!
俺こんな人助けた覚え無いんだけど.....
あ、それはライナも同じだが、誰だったっけな。
ライナを助けたという時の記憶は殆どない。
こんか背丈のなお面みたいなのつけてた子がいた気がしなくもないが.....
相手の顔など殆ど見なかった。
自分の過去に向き合うようで怖かった。
でも今は違う。
今は.....今を.....!!
「紹介するね。」
ライナがそう俺に紹介するそぶりを見せた。
「私たちのパーティーの剣士の一人、ジャガーよ。こう見えて案外強いのよ。」
「こう見えてってのは余計だろうが。」
仲良さげにジャガーがライナの発言に物申ふ。
「ったく。にいちゃん。その節は世話になった。ほんと恩にきるぜ。」
「正直覚えてないけど.....」
Sari分かる?
『.....同一人物との会話は記憶の中に見当たりません。ライナも同様です。』
やっぱ話したこと無いのだろうか.....??
「それはしゃーねぇ。でもにーちゃんに俺らが救われたのは事実なんだからよ。もっと胸張れよ。」
「ええ。そうですね。ジャガーの言う通りです。」
「ルア!おかえり!」
「ええ、ただいま帰りました。その節は本当にお世話になりました。あと、色々吹っ切れたようで良かったですね。」
俺の顔色を見るなり彼女はそう俺に声をかけてきた。
「いえ、大したことでは.....でも、そんなに顔色悪かったですか?」
「ええ、文字通り死相が見えてました。」
そうか。そんなにか.....
「私、このパーティーで治癒魔術師をやっています。ルアです。以後、お見知りおきを。」
「ええ。ミサール・ノイルです。よろしくお願いします。」
そう言って二人で丁寧にお辞儀をする。
「あとは二人ね.....多分今日は顔を出さないと思うから明日にしましょう。」
「おうよ。にーちゃん。せっかくだから飲みに行かねぇか。」
そう言ってジャガーが誘ってくるが.....
うーむ、俺って酒飲んでいいのか?
この世界で酒って大丈夫なの.....??
『魔術でアルコールを抜けるので問題ありません。どうぞついて行ってください。』
へぇ、なら.....
「分かりました。行きましょう。」
「おう、そう来なくっちゃだぜ。」
「ほんと、ライナもありがとう。助かったよ。」
「ううん。いいの。行ってらっしゃい。」
そうライナから見送られて俺は酒場へ向かった。
ーーー
「それで、にいちゃん。それでなぁ.....ひゃひゃひゃ、そうなんだ!そうだ!」
酒癖こいつ悪すぎだろ.....
「あの、まともに話を.....」
「んあ?あんちゃん、文句あんのかぁ?」
ねぇ、Sari…..魔術使っていいかな。
『よろしいと思います。殆ど何の話もしておりません。』
《デリート》
ということで初級解毒魔術でアルコールを飛ばす。
「ん?あ?」
「酔いすぎです。」
「あ、あああ、すまん。すまんな。にいちゃん。」
俺に指摘されると少し恥ずかしかったようで椅子にもじもじしながら座り直す。
しっかりとした体をしているがなんか子供っぽいな。
でも、こう見えて強い。
と、ライナは言っていたし.....
「ジャガー.....さんは何流を使うんですか?」
「ん?ガルス流だよ。もう一人の剣士はアリス流だ。一応タンクの奴はクリス流も使うんだが.....まあ、どの剣術でもそこそこってレベルだな。」
そうか.....三つの流派が揃うのならばそれぞれの動きに合わせることを求められるだろう。
それに、動き方を知ることで俺も剣術の動き方のコツを知れる。
うん、勉強になりそうだ。
「ところで、ジャガーさんって.....」
「にいちゃん、俺たちゃもう仲間だぜ。さんなんていらねぇよ。ジャガーって呼びな。」
仲間.....
ほんの少し話して、駄弁っているだけでそんなことを実感できる。
懐かしいなぁ.....
この感覚が久しぶりだ.....
「分かりました。ジャガーって呼ばせてもらいます。」
「敬語もやめてもらって構わないんだぜ。」
「うーん.....まあ、一応ジャガーは年上ですからね.....」
「ふはっ。変な所に拘り持ってんだな。」
「ええ。そうでないと奴隷解放なんてことしようとしませんよ。」
「.....確かに、そうかもな。これからもよろしく頼むぜ。」
「ええ。お願いします。」
そう言って俺はジャガーと酒場で笑い合っていた。
こうして、ラーファルトの旅は再び動き始めた。
更新遅くなってしまい申し訳ありません!
学校と家庭の用事により執筆時間が十分に取れていませんでした。
本日より更新を本格再開します!
二日に一回の更新です!
よければブクマ、評価、感想等よろしくお願いします!!!