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14浪生転生記~異世界にいる今、自由を求める~  作者: フィッシュスター
第二章:波乱

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第9話:日常が続けば

「ラーフ!久しぶりー!」

「久しぶりって、サナとは昨日も会っただろ。」


 サナがやってきた。俺の日常がまた変化する。


 一ヶ月で日常が変化するとは思いもしなかったものだ。


 俺は自由時間の半分以上をサナの指導に費やすようになった。


「大地の神よ。その土を我に与え、目の前の敵を砕きたまえ!」


《マッドスロウ!》


「おー!ラーフすごーい!」

「練習すればサナにも簡単にできるよ。」

「どんな練習すればできるの?」

「うーん。とりあえずやってみようか。」

「分かった!」


「大地の神よ。その土を我に与え、目の前の敵を砕きたまえ!」


「マッドスロウ!」


 技は上手く発動しない。


 普通はできないものなのだろう。


「ねぇサナ。どんな感覚だった?」


「どんな感覚って....いつもと何も変わらなかったと思うけど.....」


 やはりこの世界に住んでいる人には魔力の動く感覚はわかりにくいらしい。


 それならば......


 「サナって自分が発動した時のイメージしてないでしょ?」


 「え?うん。してないかも。」


 「魔術はね、イメージがないと発動できないんだよ。自分の魔力がどこで発生して、その魔術によってどんなことが起きて何に影響するか。自分のわからないところは想像で補って、成功しなかったらまた認識を改める。その繰り返しだよ。」

 

 最も俺はほぼ1回で成功した。自慢じゃないぞ。


 理由は明確!異世界転生系のアニメを見たことがあるからだ!


 この世界とそのアニメは似ていたからなぁ。


 「わかった!やってみる!」

 すると、彼女は目を瞑り、自分の未来を想像するかのように深呼吸を2回した。


 「大地の神よ。その土を我に与え、目の前の敵を砕きたまえ!」


《マッドスロウ!》


 やけにあっさりと彼女は魔術を成功させた。


 「え、?ラーフ。やった!やったよ!!!成功した〜!やったやったー!」


 「おめでとう!」

 「うん!ラーフのおかげだよ!」

 「サナの才能だよ。」

  

 そう答える俺の顔は赤くなっていた。

 

「ただいま帰りましたあ〜。」

「おかえり、ラーフ。」

「おかえりなさいませ。ラーファルト様」


 エミリアとミアが帰りを待っていた。


 なぜだか、エミリアがかなり上機嫌である。


「ラーフ何か食べる?」

「何か甘いものでも食べたいです。」

「では、アップルパイでも作りましょう。」


 機嫌が良いのだから損をすることはない。お言葉に甘えて、色々ねだろう。


 これが子供の特権である。


「できたわよ。はい。どうぞ。」

「わあ。ありがとうございます!いただきまーす!」


 そうして食べたアップルパイはお世辞でなくてもかなり美味しかった。


「おいしいですね!」

「そうでしょう!アップルパイはねお父さんも好きな私の料理なのよ。」

「へえ。父様が。」


 あの少し強面のモルガンが甘〜いアップルパイを笑顔で食べているところを想像すると笑ってしまう。


 最も強面の顔なだけでいつもからそのイメージと真逆なことをやっている。


 「ただいま〜。」

噂をすればモルガンが帰ってきた。


 「おかえりなさい。」

 「おかえりなさいませ。」


 「ねえ。あなた。」

 モルガンが帰ってくるやいなや彼へエミリアが何か耳打ちをし始めた。


 「何!?本当か!?やったーやったぞー!エミリアー!早くアップルパイを食べながらラーフにも話そう!」


 モルガンが早速強面から想像できないほどルンルンしながらステップを踏んでいる。おまけに食べるのはしっかりアップルパイだ。


 なんだか滑稽である。


 「ラーフ。大事な話があるんだ。」


 いや、今隣で騒いでたから知ってるだろ。

と言う言葉は飲み込んだ。


 「はいっ。」


 そんな様子を面白く感じたのかエミリアが吹き出していた。


 モルガンが口を少しへの字にしている。

「妹か弟ができるぞ。」

モルガンはそう発言した。


 一瞬思考が停止した。


 つまり子供ができたということだ。


 夜のことを考えたらまあ自然だろう。

 「おめでとうございます!」

 「ありがとう。」


 そうか、俺に弟か妹が生まれるのか。


 弟だったら前世みたいに喧嘩しそうだ。


 いや、よく考えてみれば、精神年齢が40近い俺が子供と喧嘩するのはおかしいでのはないだろうか。


 喧嘩はできるだけやめておこう。


 いい、お兄ちゃんを演じるのだ。


 そんなことを考えていた。




ーーー




 「子供が生まれるんだ。」

 「え!?おめでとう!」

 翌日に一応サナにも報告するとしっかり祝ってくれた。


 サナと話していると忘れてしまうが彼女は同い年の5歳のはずだ。


 だが、精神年齢40歳の俺と普通に話せている。


 実は彼女はかなり大人びているのではないだろうか。


「それより、ラーフ見てて!」


「広がる土よ。我が魔力に支配され己の身を捧げよ。」


《マッドボール!》


「おおっ!上手だよ!習ってから1日とは思えない!」

「へへっ!ありがと!」


 俺が彼女に魔術を教え始めたとき…から思ったことがある。


 魔術には人それぞれの個性がある。


 例えば、サナ。彼女の魔術はとても繊細で、丁寧である。


 彼女は正確にコントロールされた魔術を放つことができるだろう。


 一方俺は魔力量が多いことから範囲攻撃と超高火力攻撃ができる。もちろん正確なコントロールも忘れていない。


 彼女の成長スピードは信じられないほど早い。まるで、自分が成功することを信じて疑っていない。


 これが子供というやつなのか。純粋で良いなぁ。


 

 こんな日常が続けば.......

 楽しい日々を過ごせれば......

 いつか自由とは何かも..........


 そう考えた日々を忘れていた。


 あの日から全て狂い出したからだ。


 あの日が始まりだった。


 何度その選択を後悔したことだろう。

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