月の兎と海の龍
巡る十二の年月のうちの
この年この日に一度ずつ
つきのうさぎが
うみのりゅうに
語りかける儀式があります
月の陰より
星の命を
一年守護して参りましたが
これより四海に鎮座まします
偉大な龍の神々に
我らが任をお預けします
どうか四海の遥か底より
小さくか弱い命と思いを
その御力で守り給いますよう
何卒よろしくお願い申し上げます
それに応えて
うみのりゅう
遥か昏い四海の果てより遥か暗い空に昇り
つきのうさぎ
に語ります
四海の底より
星の命の護る任
月の陰の優しき友より
確かにしかと預かり賜った
我らが友はこれよりしばし
ゆるりと休まれるがよかろう
そしてうさぎとりゅうの遣いは
星がぐるりと一巡するまで
互いの友好を確かめた後
互いの守護する世界へ還り
星を見守り続けるのです