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友情と約束  作者: はづき
第3章 高校生編
8/13

第8話 仲良しの秘訣

タイトルの通り、仲良しの秘訣が描かれる第8話です! どうぞ。

 かつて愛里加に告白してきた男子生徒とは、もう何もないようだ。3年生が引退し、あっという間に11月になった。


「愛里ちゃん、お誕生日おめでとう!」


椿が描かれたあったかソックスを、篝と葉月がお金を出し合ってプレゼントした。


「私まで、誕生花なんて。ありがとう2人とも」


「そんな気がしてたって葉月が言ってたから」


こうして笑い合える日々がいつまでも続けばいいなと、篝はそう思っていた。


☆☆☆


 2年生に進級し、篝と葉月はB組、愛里加はA組で変わらずだ。だがしかし、少しずつだが葉月の家庭環境が変わりつつあった。中2進級と同時に葉月の父親が転職し、転勤が伴う。今年度から道外へ出張へ行くようになり、数日は居ない。それでも葉月はいつも通りだった。


『篝、17歳の誕生日おめでとう!』


葉月は篝に、今年も日付変わると同時にお祝いのメッセージを送った。


☆☆☆


 時が過ぎ、学校祭が終わると修学旅行の話が本格化してくる。関西から新幹線で関東へ向かうルートだ。3ヶ所で班ごとの研修が行われることになっており、計画を夏休みに入るまでに提出することになっている。


「ここで川下り体験してみたいなぁ……」


と言う同じ班の同級生からの提案で、研修計画に盛り込むことに。同じ班でよかったと篝と葉月は思っていた。終始和気あいあいで計画を立てていた。


 夏休みが明け、篝は葉月へ誕生日プレゼントとしてケーキを手作りした。出会って5年目で初めての試みだった。提案したのは輪だ。初めてにしては出来がいい。


「叔母ちゃんから教えてもらいながらだったけど、どう?」


「うん、大丈夫! 美味しそうだよー。私のために頑張って作ってくれて、ありがとうね」


葉月が何よりも、篝からのお祝いを嬉しく思っていた。


 やがて先輩達が引退し、篝が次期部長、葉月が副部長に選ばれた。自分は初心者スタートだったから、当然の結果だと愛里加は受け止めていた。


 しかし、彼女は2人の仲良さの秘訣を未だに聞けていないと思い、ある日の部活の帰りに尋ねる。


「お互いのいい所悪い所を受け入れて、助け合えてるからかな。葉月は頭良すぎて羨ましいぐらいだけど、運動そんなにできてないタイプだけどね……」


「篝だってそうでしょうがー。まあ、いざと言う時の篝は強い。そういう時に私は後ろに下がって見守る。お互い譲り合いながらやってきたからかなと思うな」


「強いのは、葉月の方だよ」


「んー、お母さんがそうだったから、遺伝なのかな。でも篝は出会った頃に比べれば、強くなったと思う」


「自分でもそう思う。それはね、葉月がいてくれたからだよ。これからもずっと、仲良く。そして、愛里ちゃんとも……!」


 篝が笑顔で愛里加の方を向いた。


「うんうん、愛里ちゃんも大切な仲間で、友達だよ!」


 葉月も続き、愛里加の方を向いた。


(流石だよ、2人とも……。私にかつて……そんな友達、いたかな)


愛里加はそう思うしかなかった。お互いを信頼しているからこそ、この関係は正に大事な親友なのだった。


「やっぱり、眩しすぎる――」


「まあまあ。愛里ちゃんだいぶ上手くなったじゃん。最初の頃は破天荒すぎたけど。あの頃なぁ、葉月ったらおっかない顔して愛里ちゃんのこと見てたし……」


「え、私そんなに酷い顔してたっけ?」


3人にとって、入部したての頃は最早笑い話になっていた。


☆☆☆


 その後5日間の日程で修学旅行が行われ、何もかも楽しい思いをして帰ってきたのだが、葉月は出張から帰ってきた父親からある可能性を言い渡された。


「来年の春、転勤になるかもしれないと言われた。年明けにははっきりすると思う」


葉月は呆然としたが、まだ可能性だから、きっと何かの間違いだと信じていた。


そう信じているから、いつも通り篝達と接していた。


――そのはずだった。


☆☆☆


 年が明けて早々、葉月の希望が呆気なく崩れてしまったのだ。





※補足ですが「おっかない」は北海道の方言で「恐ろしい、怖い」という意味です。

第8話、お読みいただきありがとうございました!

転校フラグ……次回はっきりします。

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