表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

汚れ役 ~ 私は小林●星の“あの曲”がキライだ!!~

作者: 黒楓

おなじみ“月曜真っ黒シリーズ”ですが、今回思い付いた中ではこれが一番黒くありませんでした(^^;)

 日曜のお昼、私はまったりと寝っ転がって、タブレットで“なろう”を立ち上げ、好きな作品に涙していた。


―と、いつもは鳴らないスマホがいきなり曲を奏で始めた。


 それは“男”が私のスマホに登録した着メロ……昔、ドラマにも主演していた作曲家が作った“ウィスキーのCM曲”らしい。


 とにかく私はベッドから転がり下りてスマホを掴んだ。


「2時頃行く」


 その一言に、私はスウェットの上に春物コートだけ羽織り、裾をサドルとスウェットの間に敷き込んでスーパーへ自転車を飛ばした。


 ちょうど、ステーキの出物があったので1パック籠に放り込み、ウィスキーの瓶とロックアイスも……ビールは冷えた物が無かったので、コンビニで“いつもの銘柄”のロング缶を3本買った。


 ステーキのパックをシンクに置き、エプロンを着けた所でアパートのドアをドン!と殴る音がした。


 そう、男はいつもインターホンを使わない。

 開けないと蹴飛ばしかねないので急いでドアを開けると、男は無言で私を押しのけトイレに飛び込んで盛大な音を立てた。


 私はため息を付きながらステーキを俎板の上に載せ下ごしらえを始める。


 男がトイレから出た音がしたので私は背中を向けたまま尋ねる。


「お昼まだでしょ? 待ってて、今ステーキ焼くから! ご飯がいい? それともバケット?」


 背後に近付いて来た男は答える代わりにエプロンをしたままのスウェットの“ゴム”に指を引っ掛け、いきなりずり下ろした。


「ちょっと!!」


 慌てて振り返る私に男は舌打ちする。


「相変らず萎えるヤツだな! 仕方ねえ!食ってからにするか! 夜、仕事だからニンニクは入れるなよ!!」


 男はビールでステーキを平らげ手にウィスキーのグラスを持ったまま、空いたお皿を洗おうとする私をシンクから引き剥がしてベッドで“平らげ”、挙句の果てに私の胸を枕に()()()をかき始めた。



--------------------------------------------------------------------


「ったく!寝心地まで悪い!!」

 小一時間経って起き上がった男は“ブラブラ”と歩いて行って風呂場の折戸を開けた。


「おい!! 無香料のはどれだ?!」


「無香料って!」私は脱がされたスウェットを胸に抱えながら男を覗く。

「売ってなかったのよ」


「バカかお前は!!」といきなりシャワーで頭から水を掛けられた。


「ネットで買えばいいだろ!! チクショウ!!オレまで冷てえ!! お前!責任取って手でオレを洗え!!」


 仕方なく私は()()()()()男の全身を素手で洗い、用意してある新しい下着に着替えさせた。


 ベッド脇に脱ぎ捨てられている下着は後で紙袋を2重にして捨てるつもりだ。


「お前とヤるのはボランティアだな!! でくの棒の人形を抱く方がマシだ!!」


 男はそう言うが……もしも()()()()()としてもアパートの薄い壁、声なんか出せやしない。とにかく騒がれずに無事に男に出て行ってもらう、それだけ。


 そんな事を考えながら男の下着を拾い集めていると、ブルッ!と震える音がした。


 珍しく男がスマホをテーブルに置きっぱなしにしている。

 ロック画面に表示された文章は


『遅れそうですぅ~ m(._.*)mペコッ 』


 思わず目を剝いた傍から男はスマホを掴み取り背中を向ける。


「歯ブラシ出しとけよ!」


 私はパッケージを破って歯ブラシを取り出し、真新しい毛先にチューブを練り込んで()()()()()が済んだ男に手渡す。


 受け取った男は洗面台に散々飛沫を飛ばした後、私のフェイスタオルで口を拭い、歯ブラシをゴミ箱へ投げた。


「仕事、行くわ!」


「もう? 時間通りなの?」


「仕事の待ち合わせは時間より早く行くのが常識だ!だからお前はダメなんだ!!」


 男は捨て台詞を残して去って行った……


 私はドアを見つめ、ホッと溜息をつく。


「キッチン、掃除しなきゃ!それから……それから……」


 またあの男に汚された!!


トイレを!

キッチンを!

洗面台を!

お布団を!


そして……


私自身を!!


私の時間を!!



 同じ“女”という“性”なのに、これから逢いに行く女にはできる気遣いをどうして私にはできないのだろう?


 あんな気遣い……私は最初からされた事が無い。



 この当たり前の不公平が


 久しぶりに


 この身に堪えた。





「だったら他はもっと黒いの?」という事になりますが、その通りです。


とてもUPできそうになく止めました(笑)(^^;)




ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ