首都攻防戦
「上官!前線での交戦が激化しています!我々の隊の兵力ももう限界です!"あの作戦"の実行許可を!」
そう声を張り上げた若い兵士の軍服はボロボロで、左腕につけられた階級章だけが真新しく光っている。
「そうしたいのは山々だが、まだ待てと上からの指示がある。許可が出るまで持ち堪えてくれ。」
上官と呼ばれる男は僅かに白髪の混じった頭をかきむしりながら応える。
大国B国によるA国への侵攻を発端とした戦争は長期化しており、国力で劣るA国は終始苦戦を強いられ、戦いの場はついに首都にまで到達していた。
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指示を求める無線を受けた地下シェルターの司令部では、煌びやかな勲章を胸に下げた幹部たちが激論を交わす声が響いていた。
「あの作戦には穴が多すぎる。そこを突かれると向かう先は破滅のみだ。」
「作戦に移れば我々の場所が敵軍に割れる可能性がある!もう少し慎重に検討してもいいんじゃないか。」
「あれを成功させるには多くの犠牲は免れない。兵士の命を守るためにまだ策があるはずだ!」
三者三様の意見がぶつかり合う議論は白熱していく一方だったが、必死で勝利へ向かおうとする信念だけは皆が等しく持っていた。
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「…ザー、こちら司令部。聞こえるか。検討を重ねた結果、実行命令が出た。今すぐ作戦に移れ。」
待ちわびたはずの無線から発せられたGOサインに応える者は誰一人としていない。
B国の国旗だけが勝利を祝うように風に靡かれながら、重なるように倒れる肉塊をただ見下ろしていた。
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