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【羞恥系超能力者、七草将史!】  作者: 伊藤 五面
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第九話 調査依頼④



「あ?無理?じゃあ1時間に1人殺すわ。とりあえず今すぐに1人目いっとくか。」



...やはり人を殺すことになんら抵抗がない人種、快楽殺人鬼(シリアルキラー)。なおも鳥兜は警察と電話で対話する。


「あ?なに?やめてほしい?あ〜無理無理。もう決めちまった。

今からランダムに殺す。

お、そうだ。マスコミ1人入れてくれ。火炙りの刑を生中継させてやるよ。」


火炙り。やはりこの男が美術館を囲む炎の壁を作り出した人物で間違いなさそうだ。鳥兜さえどうにかすれば炎の壁は消える。

早く対処をしたいけど......。


「じゃあ1人目はお前に決めた。

運が悪かったな〜。見せしめってやつだ。俺が本気なのを警察にアピールしないといけないからな。」


鳥兜の近くにいた成人男性が指を指された。男性は目を見開いて震えている。

周りからも押し殺したような悲鳴が聞こえた。ついに殺される者が指名されたのだ。無理はない。次は自分の番ではないかと皆んなの恐怖心がピークだ。

私の心臓も早鐘を打ち始める。......だめだ、冷静にならないと。


「おい女。携帯貸してやるから警察に実況しろ。

他のボタンは触るなよ。怪しい行動を取ったら殺すぞ。」


私に言われたのかと思って驚く。自分ではなく右後ろにいた若い女性が指名されたようだ。その女性は顔面蒼白で今にも倒れそう。

だがこの中で1番安全なのはこの女性なのかも知れない。少なくとも警察に状況を伝えている間は生かされるからだ。女性は鳥兜から携帯を受け取り、警察と喋り始めた。今自分が置かれている状況、今から男性が殺されること。泣きながらヒステリー気味に伝えている。


「おし、じゃあ殺すーー


鳥兜がいい終える前に、先程の男性がタックルを仕掛けた!

どうせ死ぬのならと思ったのだろうが、危険だ!......いや、相手が超能力を使うと知らない分、さっきから起きている現象は火炎放射器とか手榴弾とかを使っていたのかと勘違いしたのかも知れない。それに相手が丸腰だからチャンスと感じたのかも。

だが結果は文字通り、火を見るより明らかだった。

床から噴出した火柱に男性が包まれる。


「ぎゃああああ!!」


部屋中に悲鳴がこだまする。

抵抗した男性が燃える様子を見ながら、鳥兜がうっすら笑みを浮かべてこう言った。


「反抗的なやつはじっくり弱火で焼いてやる。骨まで炭化するまでな。簡単には死なせねえぞ〜。」


燃える男性から悲鳴が消えても鳥兜は火柱を消さなかった。執拗に、念入りに焼いた。

何という残忍さ。人質に見せつけるためというより、自分が楽しいからがために痛ぶっている。


鳥兜の残逆性に戦慄していると、私の背後にいた、兄様の護衛2人の気配が消えた。

仕掛ける気だ!危険と判断して排除に動いた。

......今この場にいる最高戦力はこの2人だ。彼らが失敗したら私達の命運はそこで尽きる。お願い!勝って!


私が瞬きをした間に護衛の2人は鳥兜の背後にいる人質に紛れこんだ。凄い。全く周囲の人に気取られることもなく後ろに回り込んだ。母子草(ははこぐさ)家は暗殺などの汚れ仕事が得意と聞く。このぐらいのことは当然なのだろう。


人質の群衆の中から母子草家の当主候補が上に飛び出す。

鳥兜に向かって手をかざし、何かを発射した!攻撃が視認できないことから恐らく風の刃!空気を操る超能力者だろう。

そしてもう1人の、超能力者ではないと思われる護衛がいつのまにか取り出していたナイフで背後から切り掛かる!

当主候補が頭を狙い、もう1人が鳥兜がその攻撃を躱す(かわ  )であろう場所に攻撃を置いていた。

見事な連携だ。


だが...結末は...



死体が2つ増えるという結果に終わった。



「カタギじゃねえ気配がすると思ったがお前らか。たいして強くなかったな。」


鳥兜はそう事もなさげに呟く。

護衛2人の攻撃は完璧だった。最初に風を操る超能力者の護衛が気をひいて、もう1人が背後から暗殺するという作戦。大胆にも超能力者の方を囮にして、本命が無能力者によるバックアタック。

それに対して鳥兜は、まるで後ろから攻撃されるのを知っていたように振り向いて火球を発射し、2人を焼き殺した。

作戦は筒抜けだった。

何故...?


ハッとした。

目を凝らすと、鳥兜の周囲に物凄く小さな人魂(ひとだま)のようなものが何個も現れている。

もしかすると火の揺らめきで護衛2人の位置に気づいたのでは?


......いや、今更気づいたところでもう遅い。私達が生き残るのは絶望的になってしまった。

どうすれば。どうすれば生き残れる?

何か交渉できる材料は。...いやこの火炎系超能力者は、「騒いだら殺す」とも言っていた。交渉しようと口を開いた瞬間に炎に包まれる可能性がある。

八方塞がりだ...。


「じゃあ人質火炙りの刑、再開だ。

よかったなーお前ら。3人死んだから3時間は生きれるぜ?......抵抗しなかったらな。」


周囲の人達が絶望の表情を見せる。啜り泣く声も聞こえた。

私も泣きたいがグッと堪える。

そして本当にここから脱出するのには、警察が身代金を用意できるかにかかってしまった。

御形家の財力があれば容易く身代金は用意できるが、運の悪いことに私達が美術館に来ているのはお忍び。本家は一切知らない。

唯一私と兄様の動向を知っている鈴蘭姉様が、この事件に気づいてくれれば可能性はあるけど...。今は祈るしかない。


ーーー


私の願いも虚しく、2()9()()()()()()()()


そしてその間、29人が犠牲になってしまった。


鳥兜は殺すことを指名した人が泣こうが喚こうが土下座しようが関係なく殺した。語るのもおぞましい拷問じみた殺し方で。

1時間めいいっぱい痛ぶった時もあった。

その29人全ての殺害時、鳥兜は笑っていた。なんという嗜虐性。こいつは生きていていい人間じゃない。


私はこれほど超能力をもっていなかったことを後悔した日はない。

無残に殺されていく人をみて、悔しさで握りしめた拳から血が流れる。

だが私にはどうすることも出来なかった。



そして運命の時が訪れる。


30人目。

30人目の犠牲者に選ばれたのは......正兄様だった。


ここから先はあまり具体的に言えない。思い出したくない。


30人目に指名された兄様は...私を安心させるように少し微笑んでから前に進み出て......焼かれて死んだ。



優しかった兄様。いつも相談に乗ってくれた兄様。わがままをいっても困った顔で諭してくれた兄様。

そんな大好きな兄様が私の目の前で焼死した。


私は絶叫した。

大切な人を失った苦しみに。



「おいうるせーぞガキ。次はテメーを殺してやる。」


この男が。この男が!

兄様を!正兄様を殺したっ!!


激情が体を支配する。目の前が真っ赤になった。

訓練では遂に得ることができなかった力が全身を駆け巡る。



「なっ!お前!超能力に目覚めやがったのか!?」


殺す。この男を殺す。

私の人生の全てをこの男、鳥兜を殺すことだけに捧げる。


周囲に水滴が浮き始めた。どうやら私は水を操る超能力らしい。

好都合だ。この男の火に相性がいい。



「水!?くっそ!相性最悪じゃねえか!」


どうやって超能力を扱うかが本能で理解できた。まるで自分の身体の一部のように使いこなせる。

どう攻撃するか。...まずは鳥兜の周りを漂っている人魂が邪魔だ。あれで攻撃の方向が全てバレてしまう。

それに人質を巻き込まないように攻撃しなければならない。


私が戦術を組み立てている最中、鳥兜が呟く。


「2人目の超能力者との交戦は契約と違うな。破棄すっか...。」


なんの話?破棄?

何かの契約でこの美術館を襲撃したのか?

だとしたら...許せない。この男も、その雇い主も。


私が激情に包まれている中、鳥兜の殺気が霧散する。臨戦体勢ではなくなったのだ。


「すまねえな嬢ちゃん。復讐に燃えているところ悪いが、俺はトンズラさせてもらうぜ。超能力者2人、それに水操作系超能力者を相手取るなんて割に合わねえ。依頼者から違約金ふんだくってやる。」


なんだと?何を言っているんだこの男!


「ふざけるな!お前の契約なんかどうでもいい!私と戦え!」


「おー怖っ。でも初見の超能力者と戦うのはリスク高いし面倒いんだわ。じゃあな〜。」


そう言って相手が後ろを向いて展示室の扉から立ち去ろうとしたので、怒りに身を任せて水の銃弾を何十発も打ち込む。

それに対し鳥兜は自分の背後に炎の壁を作り出して水弾を防いだ。


追い討ちをかけようと水を操っていた所で気づく。

辺りが今の攻防で水蒸気に包まれている。まるで濃い霧の中にいるようだった。1メートル先が見えない状態だ。


これでは鳥兜の姿が見えないし、誤って人質に攻撃が当たるかもしれない。かといって相手に近づくことも視界の悪さから難しい。


「ははっ。まだまだ経験が足りねーなぁ。じゃあまたいつか会おうや。......お互い死んでなければな。」


「まっ、待て!」


言葉を発することしか出来なかった私を嘲笑いながら鳥兜は美術館から去った。今すぐに追いたかったが、頭の中の冷静な部分がこれ以上被害を広げるのを留めた。

今から追っても捕まえるのは難しい。人質の救助を優先させた方がいい。......優秀なのも良いことばかりではない。私は怒りを封じ込めて鳥兜を殺すチャンスを逃した。


しばらく経って、美術館を覆う火の壁が無くなった後に警察が突入して、人質達は保護された。そして私も御形家に保護される。




これが〇〇美術館襲撃事件の全容。

犠牲者30人。30時間以上に及ぶ人質立て篭り事件のあらましだ。




そしてその後。


私と兄様の所在を唯一知っていた鈴蘭姉様が行方を眩ました。考えたくはなかったが、状況的に彼女が非常に怪しい立場にある。

次期当主死亡の責任に耐えられなくなったのか、次期当主と私の行き先を秘匿した責任に耐えられなかったのか、それとも別の事情があったのか......。だが私は、何も言わずに消えてしまったのが1番ショックだった。


次期当主死亡の責任追及はなにも鈴蘭姉様だけにされたのではなかった。御形家分家の母子草家も槍玉に挙げられる。護衛が次期当主を守れず大失態。おまけに母子草家の当主候補まで亡くなった。

御形家は母子草家の護衛の不甲斐なさを責め、母子草家は御形家の鈴蘭姉様の失態を責める。

どちらとも相手に責任を押し付け合い、話が進まず平行線に。

......次第に御形家と母子草家の関係は悪化していった。


母子草家と溝が深まるとは逆に、御形家は次期当主の選定による内部分裂がなくなりまとまった。正兄様の死亡により、私の超能力が覚醒。兄と変わらない優秀さと、強力な超能力を併せ持つ者が登場したことにより、御形家がまとまりを持つ形になった。



だが私は御形家の内部分裂なんかどうでもいい。

兄様。正兄様さえいれば何もいらなかった。

失って初めて分った大切さ。


私は兄様を失った日から他人と関わるのをやめた。誰とでも友達になれた明るさと社交性はなくなって、内向的で独善的な性格になった。

他人などどうでもよくなった。

だがそれでも超能力を磨くことは怠らない。

私の目的はただ一つ。鳥兜への復讐だ。


その為には超能力を強くしないといけない。

兄のように超能力がセカンドになったら、きっと鳥兜を殺せるはず。そのために私は努力する。パイロキネシスの情報を集め、牙を研ぐ。


......だが思うように鳥兜の動向が掴めなかった。あの男は度々海外にも足を運ぶため行方が分かりづらいのだ。

風の噂では巨大な犯罪組織に所属したとか。だが私には関係ない。アイツを殺すことだけを考えた。


月日は流れ、私は大学に入学した。

大学生になってもやることは変わらない。パイロキネシスの情報を集めて、それらしき依頼を見つけたら片っ端から受ける。その繰り返しだ。


そんなある日。

御形家を通して知り合った、若草という警察官から連絡があった。

この男は、御形家がスポンサーにつくことによって、色々な内部情報をもらうという約束がされている。情報を渡すことはもちろん違法だが、出世の為には仕方がないらしい。

なんという不良警察官だろうか。まあ私も情報を横流しさせている時点で同罪だが。


そしていつものように情報をもらい、WSOの携帯でその場所と思わしき依頼を受ける。若草刑事の前情報だと、どうやら公園でパイロキネシスと思われる交戦の痕跡があるらしい。

こんな何処にでもある公園に鳥兜の手掛かりがあるとは思えなかったが、一応受ける。取りこぼしがあってはならないからだ。


その後、依頼を受けたはいいが、その肝心な公園場所が分からない。ネットで検索しても出てこなかったのだ。

仕方がないが、ヘルプの依頼を出す。

土地勘が有ればこの公園の場所が分かるかもしれない。


暫く日が経った後、私が出した依頼が受注されたと連絡がきた。

受注者は...ランク9500、か。超能力者になりたての人。

......今回の依頼は調査依頼で危険性があまりない。初心者が受けるのは当然か。仕方ない。幸いにもこの人は件の公園を知っているようだ。緊急時の戦力にはならないが我慢しよう。


私は依頼を了承し、大学の駅の近くで待ち合わせをする。

少々アクシデントがあり、会うのに手間取ったが依頼の協力者と出会えた。


............。

この人...兄に少し似ている。それに何処かで会ったような。


後で知ったが、七草将史という同じ大学に通う人らしい。

私はあまり周囲の人と関わらないので知らなかった。


そして打ち合わせが終わるとその日は別れ、依頼の調査日にまた合流して公園に向かう流れになった。



調査依頼当日。


七草君と訪れた公園内を探索中に、私はあるものを見つけた。

...!ヒガンバナのメンバーバッジ!

まさか、まさか本当に鳥兜の手掛かりを掴むことができるとは思ってもいなかった。公園の遊具が溶けるほどの火力とヒガンバナのバッチを持つものは限りなく少ない。まず本人で間違いないはず。

このバッジがこんな場所にあるということは、今奴は日本国内にいる可能性が高い。

早く場所の特定と対策、そして戦う準備を急がないと。


...と思考をしていると奴が現れた。現れてしまった。

目の前に姿を現したのは、見間違えるはずもなく鳥兜修斗で間違いなかった。あれほど追ってきた男がすぐそばに居る。

だが、最悪だ。

まだ私の超能力はセカンドへ至っていない。

そして鳥兜は超能力の発動可能状態で、しかも目が金色に光っている。......奴の超能力はセカンドへ進化している。準備が...間に合わなかった。


あの美術館で見た強力な超能力が更に強くなっているという事実に絶望するが、兄を無残に殺された思い出が心を奮い立たせる。鳥兜への憎しみの激情が身体中を巡って私の超能力を発動可能状態にした。


私の超能力の発動トリガーは怒り。

美術館襲撃事件の記憶を思い出すことによって私の超能力は使えるようになる。そしてその怒りはこの男を殺すまで消えない。


若草刑事が拳銃による攻撃を仕掛けている間に後ろに回り込む。

母子草家の護衛2人の位置を特定した人魂は今出ていない。チャンスだ。


......だが私の全力の攻撃は、容易(たやす)く防がれてしまった。やはり私がセカンドになる前に挑むのは無謀だった。


超能力が進化したセカンドと、超能力が目覚めた際と能力が変わらないファーストでは能力の出力が全く別物だ。移動速度を超能力の出力に例えるなら、ファーストが人間の走るスピードだとしたら、セカンドは車だ。オリンピックの金メダリストでも時速100kmは出せない。まず間違いなく負ける。


その後、不覚をとった私は背中を蹴られて公園の遊具に激突。気絶した。




そして現在。



ーーー


「う......。」


気を失っていた私は意識を取り戻す。何か長い夢を見ていたような。

確か、鳥兜に背中を蹴られてそれで...。

奴が近づく足音が聞こえる。直ぐに体勢を立て直して迎え撃たないと!......体が痛みで動かない。何本か骨が折れているようだ。


鳥兜が動けずにいる私に、視線を合わせるためしゃがみこむ。

どうやら、これから私は兄のように痛ぶられるのだそうだ。せめてもの抵抗として思い切り睨む。もうこれぐらいしか出来そうにない。


ああ、駄目だったなぁ。頑張ったけど奴には届かなかった。


正兄様ごめんなさい。仇は討てませんでした。


......!

鳥兜とやり取りをしている最中に、私が出したヘルプ依頼を受けた七草君が何か行動を起こそうとしている。

彼は今まで何をしていたのだ。早く逃げれば良かったものを。

今更助太刀されたところでもう遅い。死体が増えるだけだ。

それに彼は目が赤く光っていないから超能力が発動できる状態ではない。命懸けの状況で警戒心が低すぎる。1回目の待ち合わせは能力発動状態だったのに、なんで今日はしてこなかったの!


......?

なぜ私はこんなにイライラしているのだろうか。

あの事件から他者に関わることをやめた私が。他人に興味を持てなくなった私が。なぜこんな感情的に。

......。

少し、彼の雰囲気が兄様に似ているから...?


でも、もうどうでもいいか。これから全員死ぬ。

これから生き残れる可能性は万に一つもない。


でも。

もし、もし生きることができたら。

その時はーー




「御形さん!!好きだ!!!付き合って下さい!!!!」





............え?






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