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閑話 - 選抜の控室

本日2話目の投稿になります。かなり短めです。

舞台裏を書きたかっただけで本編には影響しない話です。

 ヒーロとヘルミーが1回戦に臨もうと闘技場の舞台の側に立っているとき、学院生の選抜の控室は少し異様な空気になっていた。


「シャル、ヘルミーちゃんはどうだった?」


 控室には出場者のセコンドにつく関係者も一緒に入っている。シャルリットの場合は父親であるレベルト・レーアがついてきていた。


「……何も会話できませんでした。ただ、あれはヘルミーで間違いないかと」

「そうか……では、あんな感じになったのは隣にいるあの男のせいか」

「おそらくは……」


 控室には舞台を見ることができる窓があるのでこの選抜の控室ではほとんどの者が以前と変わってしまったヘルミーのことを見ていた。


「レーアさん、あの男はヤバイと思いますよ」


 レベルトに話しかけてきたのは息子のカーツの付き添いで同じ控室にいた騎士団のナーツ・カールストンである。


「さすがカールストンさんですね、わかりますか?」

「いえ、たしかな実力は分かりません。ただ、いろんな実力者をこれまで見てきましたがそれとは違った異様さを感じます」

「カールストンさんのおっしゃる通り、私もあの方は気をつけたほうがいいと思います」

「ルネリクスさんもですか」


 今度は娘のオーガレットの付き添いでこの場にいたルネリクス流柔術総師範のシン・ルネリクスも同様のことを言った。


「あの方は常に気配を消しているようですが、その消し方が異常ですね」


 控室でそのような会話が行われているとエルミリー・シシとヘルミーの試合が始まりすぐに決着がついた。

 その試合を見ていたシャルリットが驚いた表情をしている。


「ヘルミーはあんな戦い方をする子では……しかも、シシさんの打撃をあんな容易く受け止めるなんて」

「あの子の身体強化はこの年代ではありえないな」

「そうですね、カールストンさんのおっしゃる通り今のは身体強化だけで能力は使っていないですね」

「あの……お二方から見て半年であんなに変わることができるのでしょうか?」


 シャルリットがナーツ・カールストンとシン・ルネリクスに問う。


「半年か……無理だな。それができるなら騎士団に取り入れたいぐらいだよ」

「ははっ、たしかに。私の道場でも同じことをやりますよ」

「そうですか……では、あの子はどうして」


 シャルリットは控室に戻ろうとしているヘルミーをじっと見ていた。

 そのヘルミーはヒーロと会話をしておりヘルミーのヒーロを見る目にシャルリットが気づく。


(あの子、嫌々あの男性のところにいるわけではないのね……)


 ここで次の試合の準備をしていたアヤメ・トリーヌがシャルリットに声をかける。


「私が次の試合で勝てばハウラプトさんと戦うことになるけど本気出しちゃうからね」

「えっ? えぇ、それは構いません……私がどうこう言うことではないので」


 ここで1回戦4試合目に出場するルーファー・アーノエルがアヤメに近づいてきた。


「それにしてもまさか予選からの子で気をつけない子が出てくるとはね。もしアヤメ君が負けたら僕が何とかするよ」

「キィー! 絶対ハウラプトさんに勝って、ルーファーにも勝ってやるんだから!」

「ははっ、準決勝で待っているよ」

「あの……ルーファー君。私が完全に無視されているんですけど……」


 ルーファーに話しかけたのは3試合目に出場するニーニル・ロールだった。


「ニーニル君は選抜のときも僕に負けたからね」

「うぅ……なんで本選でも隣にいるんですかぁ」

「それは僕にもわからないよ」


 学院生の選抜の控室がヒーロやヘルミーの話で異様な空気になっていたが、結局出場者の子たちの会話によっていつしか和やかな雰囲気に戻っていた。


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