ヒーロたちによるダンジョン攻略
エリナさんたちを助けた夜。オレはレトナークのダンジョンの10層を走っていた。
「せっかくマスターと二人っきりだと思っていたのに!」
「我は女の勘だな」
「ふふ、私も女の勘ですね」
ダンジョンに移動しようとしたときウィネの腕輪に連絡が来た……これ盗聴の機能とか付いていないよね。さらに、リアからもタイミング良く念話で自分も行くと言われたため連れてきた。エリナさんを探していたときもそうだったけど、リアは間違いなく会話を聞いているよね。
ということで、現在オレたち4人は10層をまっすぐ走っている。
「階層主の場所は気配でわかるから壁を消してまっすぐ進むよ」
「他の階層は私の千里眼で出口を探しますね。それはそうと、私とヒーロさんの2回目のデートがダンジョンだなんてロマンチックですね」
ダンジョンはロマンチックなのか……というより、これはデートなのか。
「我とミコがいるのだからデートではないだろ。その前に一国の王がこんな遠くに来て良いのか」
「何かあればシーから念話が来ますので大丈夫です。それに万が一のときは私のためにヒーロさんが助けてくれますし」
「まぁ、リアは長い間こういうことしてこなかったと思うから、たまに遊ぶぐらいがちょうどいいんじゃないかな」
「さすがヒーロさんです。その感じで夜の遊びもお願いします!」
「一国の王が我のような発言をしたらダメだろ」
そうこうしているうちにさっそく目の前に階層主の扉が見えたのでオレは扉を消滅させ中に入っていく。
すると階層主と思われる大き目のゴブリンがこちらに気付き動き出そうとしたが何か話しだす前に階層主を消滅させた。
「ダンジョンを管理している身としては複雑な気持ちだな」
オレたちは止まらず11層に降りていきリアが教えてくれた方向にまっすぐ走っていく。
ちなみに下に穴を開けずに進んでいるのは他の冒険者がダンジョンに来て落ちたら申し訳ないからである。
「20層以降はミコ、ウィネ、リアの順番に階層主を倒していくか。次の階層主はミコが倒していいよ」
「承知しました」
そして順調にダンジョンを降りていき20層、30層とミコとウィネが階層主を瞬殺。40層の階層主の部屋にオレたちは入っていったのだが……。
「あれっ? リア、心に誓っていたんじゃないのか?」
リアはフードの前だけを上げリアの前方だけがすべて石化され階層主も石になった。
「ふふ、ヒーロさんと出会ったことで誓いにこだわる気持ちも薄れ、私にとって不要なものは石化しても気にならなくなりました」
「そうなのか」
「ヒーロよ、愛する者ができた女とはそんなものだ」
そんなものと言われてもよくわからないんですが……まぁ、本人がそれでいいなら別にいいんだけど。
その後も何もなく順調にダンジョンを降りていき、トータル30分もかからずにオレたちは70層のダンジョンマスターの部屋の前に着いた。
「中の気配が感じられないということはここがダンジョンマスターの部屋だな」
「次は我の番だがどうする?」
「ウィネの好きにしていいよ。ダンジョンマスター同士の戦いも面白そうだし」
「うむ、では我が片付けよう」
ウィネが対応することになったが念のためオレが先頭でダンジョンマスターの部屋に入っていく。
「お許しください!!!」
ん? どこからか声が聞こえたが姿が見えない。力の気配的にはあの方向にいるはず…………あっ、小さいけど何かいるな。
「あれはなんだ?」
「ヒーロさん、あれは妖精ですね」
「妖精? 妖精がダンジョンマスターをすることってあるのか?」
「私の知る限り人族と神族以外の前例はあります」
「へぇ、妖精とか精霊もダンジョンマスターをするんだな」
「ヒーロよ、あれはピクシーだな」
ピクシーっていたずら好きなイメージだけど、もしかしてトラップが多かったのはそのためか……。
オレたちがダンジョンマスターの近くまで移動すると、土下座をしている羽が生えた30cmぐらいの女の子がいた。
「ダンジョンマスターって、よく土下座するものなのか?」
「長く生きていますが、私はそんなダンジョンマスター聞いたことがありませんが……」
「…………」
「ウィネ、目を逸らしてどうしたんですか? マスターにしたあのキレイな土下座はさすがでしたよ」
「ミコ、言わんでいいだろ! 我の黒歴史なのだから!」
「えっ!? ウィネさんも土下座されたのですか!?」
「ミコ、リア、それ以上はウィネが泣くからほどほどにな」
「うぅ……ヒーロぉ……」
ウィネがオレに抱き着いてきたが、別に泣いているとかそういうわけではない。
「それよりウィネどうする? このピクシー好きにしていいよ」
「ヒィッ……」
「そうだな……土下座をしておるのだから殺す必要はないだろ」
今回はウィネの好きにしていいと言ったし、ウィネも土下座からこうしてオレの大事な存在になっているわけだからそれでいいか。
「ということで、そこのピクシーさん。オレたちは君を殺さないことにしたから」
「えっ!? ホンマですか!? おおきにです! ホンマおおきにです!」
まさかの関西弁だった。
「とはいえ、オレたち以外がダンジョンマスターのところまで来たらどうする?」
「それは仕方ないだろ。我らがそこまで面倒を見る必要もないしな」
「大丈夫です! 放棄して逃げますんで!」
このダンジョンマスターなかなか変わってるな。強さ的にはそれなりだと思うけど危ない橋は渡らないタイプか。
「それはそうと名前はあるのか? オレはヒーロ、こっちの銀髪の子がミコだけど」
「ヒーロさんにミコさんですね。私はユーリーネっていいます!」
「我はモデウィネだ、ウィネでよいぞ。ちなみにお前と同じくダンジョンマスターをしておる」
「そうなんですね! それじゃ、ウィネ先輩ですね!」
「私はロリアデラといいます。魔王の1人です」
「へ……ま、魔王様!? このチームはどうなってるんですか!?」
まぁ、そりゃそういう反応になるよな。
それはそうとダンジョンマスターを倒さないとなるとトラップが多いままになるから、冒険者がダンジョンの攻略に来ると面倒な話になるよな。
「ユーリーネ、このダンジョンについてお願いがあるんだけど」
「はい、なんでも言うてください」
「いまトラップ多めになってるけど、トラップは少なめにして転移トラップはなしにしてもらえるかな」
「ははっ、やっぱり不評でしたか……自分の性格的にどうしてもトラップを置きたくなりまして」
「あとオレたちが開けた穴は塞いどいてもらえるかな」
「はい! 任しといてください!」
「ユーリーネ、もし約束を破るようなことがあればヒーロがこのダンジョンごと消すから気を付けろよ」
「ヒィッ……大丈夫です! ホンマに大丈夫です!」
これで冒険者が攻略に来ても普通のダンジョンにはなるだろう。それにダンジョンマスターまでたどり着いても逃げるって言ってるわけだからこの子のことも心配しなくても良さそうだな。
「それじゃ、オレたちは帰るか」
こうしてレトナークのダンジョンに関して片がついて、オレの寝室に戻ってきたのだが……。
「では、ヒーロさん、ウィネさんの寝室に行きましょうか」
リアがなぜかウィネの部屋に行こうと言っている。
「ヒーロよ、今日は4人ですることになったぞ」
「本当はマスターを独り占めするはずだったのに」
えっ!? 4人ですることをなんでミコとウィネも知っているんだ!? あっ、もしかしてリアが念話でミコとウィネに根回しをしたのか。
「ミコさん、ウィネさん、ありがとうございます。では、ヒーロさん行きましょうか」
「……はい」
まぁ、リアには今日のお礼があるから全然いいんだけど、なぜ4人で……というよりミコとウィネが譲らなかったのか。




