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リアとショッピング

 ヒーロたちがロリアデラの城から帰ってから少し経ったある朝、ロリアデラと三蛇華姫の3人が専用の訓練場にいた。


「ふっふっふっ、成功しました」


 ロリアデラが不気味に何やらつぶやいた。


「ロ、ロリアデラ様、どうかされましたか?」


 シーが戸惑った表情をしながらそのように聞き、クーとラーも何事かとロリアデラのほうを向いている。


「コホン……失礼しました。いえ、私もまだまだ訓練次第で成長できることが確認できましたので」

「ロリアデラ様でもまだ成長されるのですね」

「ヒーロさんたちに会って自分も未熟ということに気づけたのが良かったですね。あなたたちも精進しなさい」

「「「はい!」」」


 ロリアデラは3人にそれだけ伝え訓練場を足早に去り自室に戻ると再び独り言を言い出した。


「ふふ、感知眼を手動で発動できるようになりました! これで……これでヒーロさんの日常をもっと知ることができる!」


 ロリアデラはいままで自動で発動していた感知眼を手動でも発動できるように訓練して物の数日で習得した。ちなみに、その原動力はヒーロのことを千里眼だけの情報ではなくもっと知りたいという思いだけである。


「千里眼と感知眼を併用して……おお、ヒーロさんの会話の情報が入ってきます! 姿が見えないのは仕方ないですが、これでヒーロさんの状況がわかります」


 ロリアデラはヒーロに千里眼で見ることの許可をもらってからは自室にいるときはほぼヒーロのことを確認していた。その上、感知眼も使うことができたのでさらにロリアデラはヒーロのことをじっくり見ることになる。

 ヒーロはロリアデラに魔眼を使われていることには気づいているが、どこまで見られているかまではこの時点ではわかっていない。

















「うーん……」


 オレは朝からウィネのダンジョンでミコとトレーニングをしてそのままウィネの部屋で昼食を取っていた。


『マスター、どうかされましたか?』

「リアがオレに対して魔眼を使ってると思うんだけど、今朝からいつもと違う感じがしてな」

『私が感じている限りではあまり変わっていないと思いますけど』

「ミコがそういうならそうなのかな……」


 なんか違う種類の力も使われてるような気がするんだけど、近くにいるミコがそう言うなら気のせいか……。


「ちょっと昼からリアのところに行ってくるよ、もともと気になってたこともあるから。ミコはウィネと思いっ切り遊んでもいいよ」

『承知しました』

「おぉい! 我に死の宣告をするなぁ!!!」

『では、さっそく遊びましょう』

「ま、待て! ――――ちょ、我の腕を咥えるな! ちょ、話を! 待っ――」


 ウィネがミコに引きずられて部屋から出ていこうとしていた。


「ひ、ヒーロ! 今夜は相手してもらうからな!!!」

『私に勝てばいいですよ』


 相手するのは大丈夫だけど、ミコとの遊びで疲れ切ってそれどころではないだろうな。


 オレはご飯を食べ終え、さっそくリアの部屋があるフロアに移動した。リアは自室にいるみたいなのでドアをノックする。


「ヒーロさん、入っていただいて構いませんよ」

「――お邪魔しまーす」

「ふふ、ヒーロさんであればいつでも勝手に入っていただいて構いませんよ」


 恋人であろうと部屋に勝手に入ったりしないからね。


「なぁ、今日の朝からオレに対していつもと違う力を使った?」

「……ソ、ソンナコトシテマセンヨ」


 ウソを隠すのが下手すぎでしょ。まぁ、オレに何か害があるわけではなさそうだから好きにしてもらっていいんだけど。


「それはそうと私に何か用でもありましたか?」

「今日は時間ある?」

「はい、ヒーロさんのためならいつでも大丈夫ですよ」


 いや、少なくとも王としての仕事は優先してください。


「前から気になっていたんだけど、リアって自分が着ている服を鏡で見たことないよね?」

「ああ……そうですね。私が着る服はメイドが用意したものになりますので気にしていませんでしたね」

「せっかくフードが取れるようになったんだから、いつも着ている服がどんな感じなのかを鏡で見たらどうかなと思って」

「ヒーロさん……私のことをそんなに考えてくれていたのですね」


 リアはいままでできなかったことがいっぱいあるはず。オレはすべてを叶えることはできないが身近なところから少しずつ経験させてあげたいなと思っていた。


「とりあえず、服がある部屋に行くか」

「はい!」


 服だけが置かれている部屋に移動して、オレが空間を張りリアはフードを取る。

 この部屋にはもともと大きい鏡が壁に取り付けられており、リアがその鏡の前に移動し自身の姿を見る。いまリアが着ている服はいつも着ている白いドレスのような服である。


「――――このように見えていたのですね」


 鏡の前でいろんな角度から服を見ている。なるほど、鏡に背を向けているが蛇の目を使うと後ろ姿も確認できるのか。


「メイドさんが選んでいるだけあって、フードを取っても似合ってるな」

「ありがとうございます。この前フードを取ったときに軽く確認しましたが、ここまで凝ったデザインをしていたのですね」


 そういえばリアはどんな服が好きなんだろう。そもそもこの世界にどんな服があるのかも知らないか……。


「では、他の服に着替えますね」


 リアはオレがいるにも関わらずいっさい躊躇せずに着ている服を脱いでいき、フリルのあるかわいらしい下着のみの姿になっていた。


「一応男のオレがいるわけだから、多少は気にしたほうがいいんじゃないか」

「ふふ、ヒーロさんは恋人ですし近いうちにヒーロさんには抱いていただくんですから気にしても仕方ないですよ」


 近いうちに抱くことは確定なのか……オレに対して予知眼は使えないはずだけど。


「もし我慢できないのでしたら、いますぐでも大丈夫ですよ」

「いまは目的が違うから手は出さないよ」

「そうですか、残念ですが仕方ないですね」


 それからリアは持っている服を何着か着て鏡の前で確認していた。


「リアってドレス系の服しか持っていないのか?」

「おそらくメイドが気を遣って王として恥ずかしくない服を選んでいるのだと思います」


 なるほどね。まぁ、もともと見えないから要望も出していなかったんだろうな。


「リア、もし良ければいまから街に服を見に行くか?」

「よろしいのですか!?」

「リアが街に行っても問題ないのであればの話だけど」

「はい、全然大丈夫です! すぐにデートに行きましょう!」


 リアがものすごく喜んでいる。こういうのを見るとダーク・アビスでフードを取らせたのは良かったと感じるな。


 さっそくリアは外出する準備をして、オレたちは城から街に続く通路を歩いていた。


「腕を組むのはいいんだけど、街の人にばれてもいいのか?」

「むしろ私の場合は幸せにしているんだというのをアピールしないと」


 自分たちの国の王が孤独で寂しい状態より幸せオーラ放ってるほうが国民にはいいのかな。

 リアがオレの左腕をがっちり組んだまま街に入ってくと案の定街の人たちは驚いた様子でこちらを見た。


「ロ、ロリアデラ様よ。どうしてこちらに!?」

「おい、それより隣で腕を組んでいる男は誰だ!?」


 あまりこういう目立ち方はしたくないんだけどなぁ……。


「ヒーロさん、いい感じで注目されていますね」

「うーん、せっかくのデートだから目立ちたくないよね」

「うっ、そう言われるとそうですね」


 まぁ、今日は仕方ないのでこのまま服屋さんに直行しよう。


「ここを真っ直ぐ行って5軒目のお店が女性の服を扱ってるお店になります」

「了解」


 クラージュフェッロはリアの領土の中心都市なので人の往来も結構あるのだが、リアに気づいた人は道の端に寄ってくれるのでスムーズに歩けている。


「あっ、お金を持ってきていません」

「もともとオレが払うつもりでいたからいいよ。この前リアからもらったのがあるし」

「ふふ、ありがとうございます。このお礼は体で返しますね」

「…………」


 避けてくれるおかげで人が近くにいないからいいけど、王がそういう発言を街中でするのは控えたほうがいいと思う。

 そうこうしているうちにリアが教えてくれたお店の前に着くと結構大きめのお店だった。そのお店の扉を開け中に入っていくと、店員の女性の方が元気よく挨拶をしてくれた。


「いらっしゃいまぁぁぁあああ!? ロ、ロリアデラ様!?」


 連絡もなく急に来たらそうなりますよね。


「今日は服を買いに来ましたので見させていただきますね」

「…………はい、ご自由にお持ち帰りください」


 いや、自由に持って帰ったらダメでしょ。


「リア、とりあえずこの店に空間を張るよ」

「はい、お願いします」


 空間を張ったのちリアがフードを取ると、さらに店員さんが驚いた。


「えぇぇぇ、ロリアデラ様がフードを!? ――――あれっ、石化されない!?」

「安心してください。私の恋人であるこの方が石化の力を抑えていますので大丈夫です」

「こ、恋人!?」

「はい、この方は私の恋人です。覚えておいてください」

「は、はい!」


 わざわざ自分の恋人を見ず知らずの人に覚えさせなくてもいいでしょ。

 店員さんはリアが来ただけでも慌てていたのに初めてのことが起こりすぎて混乱している様子だった。


「ヒーロさんはどのような服が好みですか?」

「うーん、そうだな……」


 リアに似合いそうな服は――――いろんな服があって正直わからないから試着してもらうか。

 オレはリアに似合いそうな服を順番に渡し試着してもらった。


「うーん、どれも似合うな」

「ふふ、ありがとうございます。ヒーロさんが選んでいただいた服はどれもかわいくて私も好きですよ」


 ボーイッシュ系、清楚系、ゴスロリ系などいろいろ着てもらったがそれぞれに良さがあってどれも似合っている。というより、このお店いろんなタイプの服が揃っていて何気にすごいな。


「いま選んだ服、全部買うか」

「よろしいのですか?」

「お金なら問題ないからいいよ」

「ありがとうございます! あっ、ほかに見たいものがあるのですがよろしいですか?」

「ああ、もちろん」


 リアが元の服に着替え、あとについていくと下着コーナーに連れてこられた……まぁ、服だけではなく下着も見たくなるよね。


「ヒーロさんはどのような下着が好みですか?」

「うーん、リアに似合うならどれでもいいんだけど……」


 この世界の下着はほぼ地球の下着と形などは似ているが、下着の好みは特にないので聞かれても困る。


「気になった下着があれば全部買うよ」

「ありがとうございます。では――」


 結局、服を10着、下着も10組買うことになり、会計を済まそうと店員さんにお願いすると。


「合計1万リシアになります」

「ん? 安くないですか?」

「ロリアデラ様がご利用いただいただけで宣伝効果がありますので割引させていただきました」

「そうですか、ではこれで――」


 お店がそう言うなら構わないけど、9割以上割り引かれているような気がする。

 このあとカフェなど街をブラブラしても良かったのだが、店の前に人だかりができておりこれ以上街にいるのは迷惑と判断しこそっとワープホールでリアの部屋に戻ってきた。


「そういえば、今日買った服はフードに合うかどうか見てなかったな」

「大丈夫です。今日買った服も下着もヒーロさんと会うときにしか着ませんから」

「服は周りの目があるからわかるけど下着は別にいいんじゃないかな」

「ヒーロさんに買っていただいた下着はヒーロさんに見られるためにしかつけません!」


 下着は見るために買ったわけではないんだけど……本人がそう言うなら仕方ないか。


「ん? ――リア、オレはそろそろ戻るよ」

「もうお帰りですか?」

「いまミコとウィネが遊んでいるんだけど、ウィネがボロボロになってるみたいだから様子を見に帰るよ」

「ウィネさんが!? どんな遊びをされているんですか!?」


 まぁ、遊びでウィネが追い込まれるなんて普通想像できないだろうからな。


「いつものことだから」

「はぁ、そうなんですか……仕方ありませんね――――ん」


 リアが黙ってフードから口だけ出しキスを待っている。どうせキスするならフードを取ってしたいけど今回はいいか。


「ん、んん……んっ……はぁ……」

「――――リア、また近いうちに来るよ」

「はい!」


 今日は服を買いに行っただけで終わってしまったが、今日みたいにリアにはいろいろと経験させてあげられたらいいな。


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