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基礎力の差

紘斗側がレトナークでどう過ごしているかは書きません(さっさと話を進めます)。

 トラクトさんに会ったあと家に帰ってくると庭でミコたちが待っていた。


『マスター! 大丈夫でしたか!?』

「ああ、死にかけたけど収穫もあったから良かったよ」

「ミコがうろたえて落ち着かないからこっちも大変だったぞ」

「それは悪かった。アースターが絡むとだいたいこうなるからな」


 ミコにはアースター絡みだと伝えていたからミコ自身もオレのところに来ても何もできないことがわかっていて我慢してくれたんだろう。


「ヒーロさん、あの方たちはいかがされたのですか?」

「解決したよ。あの子たちのリーダーのヒロト君の妹さんが重い病気だったんだけどアナとジュリーティアさんのおかげで完治すると思う」

「ヒーロさんをターゲットにしたのはなぜだったのですか?」

「向こうの世界の神がヒロト君たちをたぶらかした感じかな」

「そうだとしてもご主人様を殺そうとするなんて許せません!」

「あの程度ではオレは死なないよ」

「それでもです! ご主人様にそんな考えをすること自体許せません!」


 ヒロト君よりもオレはトラクトさんに殺されかけたんだけどね。


「あっ、明日なんだけどヒロト君たちがここに来て一緒にトレーニングすることになったから」

「ご主人様、ぜひ私にそいつらの相手をさせてください!」

「いや基礎のトレーニングをしたいだけ――」

「わたくしも相手させてください!」

「――えっ、ヘルミーも?」

「わたくしのヒーロさんに手を出そうとしたことを後悔させてあげますわ」

「よしっ、ヘルミー。明日に備えて特訓だ!」

「はいっ!」


 明日に備えるも何も基礎のトレーニングをするだけなんだけど……。

 というより、ヘルミーってあんなこと言う子だったかな?


「シャル、ヘルミーってあんな感じだっけ?」

「ヘルミーはヒーロさんのことになると変に積極的になりますからね」

「そうなのか。とりあえず明日はあの2人だけ参加させ――『私も出ます』――えっ、ミコも?」


 ミコが出たらそれだけで終わるんだけど。


「まぁいいけど、ミコは見てるだけな」


 結局、明日のヒロト君たちとの基礎のトレーニングはミコ、ヘルミー、ストリースの3人も出ることになった。


 そして次の日、オレはヒロト君たちをレトナークに迎えに行きヒロト君と最初に会ったダンジョンの1層の部屋に戻ってきた。

 その部屋にはすでにミコ、ヘルミー、ストリースが待っていた。


「「「「!?」」」」

「紹介するよ、このホワイトタイガーがミコで、左からヘルミーとストリース」

「ヒ、ヒーロさん、何なんですか、その虎は!?」


 トワさんも含めてミコを見て驚いている。まあオレに次いで強いのが魔物って当然驚くよね。


『大したことのない人族がマスターの前で騒ぐな』

「「「「!?」」」」

「ミコはオレの正妻にあたる子なんだ」

「えっ、ヒーロさんって虎と結婚してるんですか?」

「ははっ、ミコは特別な魔物で普段はこんな感じにホワイトタイガーなんだけど人化することもできてね」

「ああ、なるほど……」

「ちなみに、ヘルミーとストリースも恋人だから」

「えっ、ヒーロさんって何人恋人がおられるんですか?」

「10人以上かな。この世界は一夫多妻の人が結構いるからそこまで変ではないけど、ヒロト君の世界はそのあたりどうなの?」

「ベヴァイルエニーも一応一夫多妻が普通みたいです」

「それなのにヒロトは一緒に住んでるあたしたちに全く手を出さないんだぜ」


 えっ……ヒロト君の若さで一緒に住んでいて明らかに自分のことを好んでくれていそうなのに手を出していないとか……。


「ヒロト君、それは男としてどうかな。甲斐性がないようにも思うけど」

「うっ、いやこういうのは順序というものが……」

「その子らのことを最後まで責任持って守ってあげる気があるんなら手を出してもいいと思うけど」

「そうだぜ、ヒロト。あたしたちはヒロトならOKなんだからよ」

「そうでござるよ」

「はい……精進します」


 話が逸れてしまったがさっそく基礎のトレーニングを始めたいが最初は基礎が大事であることを認識してもらうために実戦をしてもらおう。


「まずはトワさんを使わないヒロト君と能力を使わないヘルミーで実戦をしようか」

「えっ、そちらの女の子とですか?」

「あなたさきほどから女々しいですわよ!」

「うっ……」


 今日のヘルミーは強気だな。


「ヘルミーはヒロト君と同じぐらいの年齢だけどオレが一から鍛えたから油断してるとボコボコにされるよ」

「はい……」


 ということでヘルミーとヒロト君が部屋の中央で向かい合った。


「15分ぐらいを目安で、ケガのことは気にしなくても治せるから」

「はい……」


 ヒロト君、大丈夫かな。まあヘルミーの攻めを受けたら嫌でもやる気を出すと思うけど。

 そしてヘルミーとヒロト君の実戦が始まったが案の定ヘルミーが積極的に攻めている。


 ヒロト君も戦う前は消極的だったが実戦が始まると問題なく対応でき実力的には問題ないのは明らかだがこの実戦で見たいのはそこではない。

 そのまま10分ぐらいが経ち徐々にヒロト君の手数が減ってきた。


「やっぱりこうなるよね」

「ご主人様の見立て通りですね」

「あのヘルミーって子はヒーロの仲間の中でも強い方なのか?」

「いやオレの仲間に限ると下のほうかな。ただ人族の中ではまあまあだと思うよ」

「あれだけ動けるのであれば全然前衛で戦えるでござるよ」


 ヘルミーのことを知らなければそう思うよね。

 さらにそこから5分が経ち2人の実戦が終わることになった。


「はぁ……はぁ……」

「ふん、よくそれでヒーロさんに手を出そうとしましたわね」

「うっ……」


 ヒロト君は息切れしていたがヘルミーは特に息が上がっておらず平然としていた。


「ヒロト君、ヘルミーと比べてこの時点で基礎ができていないことはわかるだろ?」

「はい……全然体力が違いますね……」

「ちなみに、ヘルミーだけど普段は魔術を主体に戦う魔術師だからね」

「「「えっ!?」」」


 武器を考慮すると正確には違うんだけど能力的には魔術師である。


「それじゃヘルミー殿は後衛でござるか?」

「見ての通り動けるから正確には中衛ぐらいかな」

「ヒロト君、ヘルミーと戦って何かほかに気付いた?」

「はい、思っていたより打撃の1つ1つが重かったです。あと僕の打撃が通っていない気がしました」

「それも基礎の力の使い方次第で攻防にうまく使えているからだね」

「ヒーロさんの言いたいことが痛いほど伝わりました。自分は今までこのあたりのことを全く意識できていませんでした」

「ヒロト君たちはまだまだ若いから今からでも全然大丈夫でしょ」

「はい、頑張ります」


 ヒロト君たちは見る限りおそらく寿命に関してはそのままだろうけど20歳前後ならいくらでも取り返しがつく。

 この日はこのあとも実戦をしつつ基礎のトレーニングの仕方を教え解散となった。

 

 ヒロト君たちは帰るまでに時間があるので1週間のうち1日だけダンジョンに来て一緒にトレーニングすることになり、それ以外は冒険者の依頼を受けたりレトナークの近辺でトレーニングすることにしたらしい。

 そして数日後、ジュリーティアさんからリホちゃんの体調が全快したと連絡をもらいヒロト君とジュリーティアさんの家に迎えにいった。


「利穂!」

「お兄ちゃん! こんなに体の調子がいいの初めてだよ!」

「良かった、本当に良かった」


 リホちゃんはまだ痩せているが顔色も良く1人でしっかりと立てている。


「リホさんだけどこのまましっかりご飯を食べていればお肉もついて健康的な体になるわよ」

「ありがとうございます!」


 そしてそれから3週間ほどが経ちヒロト君たちがベヴァイルエニーへ帰る日になった。

 ヒロト君たちはレトナークから少し離れた人目のないところで帰ることにしたらしくヒロト君たちを見送るためにオレは1人で来た……一応みんなに声はかけたんだけど会ってる時間が短かったからかみんな来なかった。


「えっと……なんでデマリリーさんがいるんですか?」

「ヒロトのやつちゃっかりこっちの世界でも女を落としてやがってな」


 ああそういうことね……って、デマリリーさんもベヴァイルエニーに行くのか。


「ヒーロさん、ダニエマのことたまにでいいんで気にかけてやってください」

「それは全然いいんですけど、デマリリーさんは向こうの世界に行っても大丈夫なんですか?」

「はい! 私はもう迷いません、愛に生きると決めたんです!」


 凄い決断だな。


「ヒーロさん、いろいろとお世話になりました。もし次会えたとき少しでもヒーロさんと戦えるように向こうに帰っても訓練を頑張ります」

「ああ、楽しみにしてるよ」


 このあとヒロト君が水晶みたいな球を取り出しそれを上に掲げるとヒロト君たちがその場から消えた。


「ふぅ、いろいろあったな。それにしても他の世界の子に命を狙われるとは思ってもみなかったな」


 さてとオレもヒロト君に負けないようにアレを使えるように頑張らないと。


ちなみにトワを装備した紘斗はストリースよりも強いです。

今後出すことはないんですが地球組の設定を置いておきます。


ガイアの落とし物(アストロ・スキル)

地球の創造神ガイアが他の世界を視察したあと魔が差し12星座を元に作った12個の地味なスキル

12個を地上にばらまきスキルが所有者を探すようにしたが12個のうちスキルを宿した10人はいずれもスキルを宿してから間もなく亡くなった

これを視たガイアは深く反省しそれ以降特別なスキルは作らなくなった


天秤座(リーブラ)

補助スキル

所有者:佐東利穂

対象にバフをかけることができる一方で相対するモノには必ずデバフがかかるという片方に天秤を傾けるスキル

利穂はこのスキルが中途半端なまま自動で発動していたため生まれながらに自身にデバフがかかり病原菌を引き付けるという体質になったが利穂の周りで大病を患った者はいなかったらしい

ジュリーティアが利穂を治すために作った薬にホーの素材が使われたためスキルが完全に顕現することになり利穂を苦しめることはなくなった

利穂がこのスキルを認識し意識して使用できるようになるのはまだ先になる


牡牛座(トーラス)

成長スキル

所有者:佐東紘斗

追い詰められれば追い詰められるほど加速度的に所有者を成長させるスキル

ただし所有者が耐えられるところまでしか成長できないため所有者の基礎次第では大した成長はできない

この先紘斗がこのスキルを認識することはない


水瓶座(アクエリアス)

補助スキル

元所有者:ヒーロ

心が満たされれば満たされるほど普段以上の能力を発揮できるスキル

ヒーロは過労死する1カ月前にこのスキルを宿したがその時点でヒーロの心は仕事で満たされていたため普段よりも仕事をすることになり過労死する


〇紘斗と利穂が転移した理由

トラクトが面白半分で作った転移装置を発動し特別な力を持っている2人がヒットして転移させられた

トラクトは転移してきた2人を視たが大したことなかったので興味を失ったが「生きていくうえ」で必要な最低限の力だけは与えた


〇ヒーロがガイアに選ばれた理由

ガイアがセントリムに転生させる魂にヒーロを選んだのはガイアのスキルが原因で亡くなった1人だったから

転生したときヒーロはガイアのスキルをまだ持っていたがアースターがヒーロの中に入った際に邪魔と判断されそのスキルは消された


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