ホムンクルスの少女
このキャラはあとに取っておいても仕方ないのでここで出しておきます。
オレはルーベルトさんとのやり取りがあったあと依頼の報告をギルドに行い、いつも通りダンジョンの10層に帰ってきていた。
『マスター、おかえりなさいませ。今日は早かったですね』
(モフモフ……)
「あぁ、やることやったからな」
(モフモフ……)
『ヘルミーは本日も昨日と変わらない内容ですね』
(モフモフ……)
「そうか――――しかし、相変わらずユナもミコをモフるのが好きだな」
「ん」
ミコと話をしていると12歳ぐらいの少女がミコの尻尾をモフモフしていた。
『マスター以外に触られるのは避けたいのですが』
「ユナならたまにはいいでしょ。ユナにとっては唯一の楽しみなわけだし」
「ん」
数年前、オレとミコがウィネの部屋を訪れたとき、ウィネが自分の部屋でウロウロしながら独り言をつぶやいていた。
「うーん……う―ん…………悶々する! ヒーロとあんなことやこんなことがしたい! ミコさえいなければ手を出しているのに!」
「ウィネ、聞こえてるぞ」
「あっ……いや、その……あれだな……」
「はっきりせい。オレはOK出してるだろ」
「いやー、いざっとなったらなんだかな――――そんなことを言っていても仕方がない、残りの90層の階層主でも出すか」
「はぁ……お前なぁ」
ウィネがそんな精神状態のままダンジョンコアを操作し階層主の魔族を出そうとしていた。するとダンジョンコアが光りだしコアの前に一体の魔族が誕生した。
誕生したのは黒髪でおかっぱのワンピースを着た少女だった。
「ん? これは――ホムンクルスか。しかし、見た目は人族の子供だな。はっ! まるで、我とヒーロの子だな! ヒーロ! 我とヒーロの子が生まれたぞ!」
『マスター、ウィネは何を言っているんでしょうか』
「うーん、頭がおかしくなったんだろうな」
『そうかもしれませんね』
「おい! おかしくなってないわ! 冗談に決まっておるだろう!」
「で、その子は?」
「おそらくホムンクルスだろうな」
そんな話をしているとそのホムンクルスが目を覚まし立とうとした。
「ん?」
「おぉ、起きたか。どうだ動けるか?」
「ん」
うーん、140cmぐらいかな。見た目だけなら小学生なんだけど、こんな子が階層主でいいのだろうか。
「我はダンジョンマスターのモデウィネだ。お前、名前はあるのか?」
「んーん」
「そうか。そうだな――――それではプリマポロンド・カタストロンとかどうだ」
「んーん」
「ウィネ、名前のセンス無さ過ぎだろ」
「うぐっ……じゃー決めてくれ、我とヒーロの子なのだ(ザシュッ) ――おいミコ! すぐに我を殺そうとするな!」
『しつこそうなハエが飛んでいたもので』
「ハエ言うな! あとしつこいとかも言うな!」
名前なぁ、オレが考えるとどうしても日本っぽい名前になるけど仕方ないか。
「――【ユナ】とかは?」
「ん」
「おっ、OKみたいだな。ところで話せるか?」
「話せる」
「そか。ところで、90層の階層主ってことは戦えないと話にならないが……」
「それもそうだな。試しに我と相手してみるか?」
「ん」
ウィネとユナが部屋の中央に行き向かい合う。オレとミコは少し離れたところでそれを見ていた。
階層主でこんな子が出てきたらオレだったら攻撃するのを躊躇するな。
「いつでもいいぞ、こい!」
「ん」
すると、ユナが一瞬でウィネとの間合いを詰め思いっきり殴った。ウィネはそれを腕でガードしたが殴られた衝撃でかなり後方に下がった。
へぇ、なかなかな威力だな。シンプルな殴りであの威力だと他の階層主よりすごいかも。あの見た目とのギャップがまたいいな。
「ガードしなければ危なかったな。ユナ、どんどん来い!」
「ん」
その後、ユナはどんどん攻撃したがいずれも殴る蹴るの打撃のみでウィネは躱したりガードしたりと問題なく対応していた。
「うーん、ユナは打撃以外使えないのかな」
『そうですね、打撃以外出さないですね』
打撃の威力は相当なものだが、格闘術などの能力を使っている雰囲気はなかった。
「では、我からも行こう。我は魔法を使わせてもらうぞ」
打撃以外も使えと言わんばかりに、ウィネは自身の前に魔法陣を出してユナに言った。
すると、ユナは今までと同様にその魔法陣の前まで距離を詰め殴ろうとした――――魔法陣を。そしてユナの拳が魔法陣に当たるとなぜか魔法陣が粉砕した。
「「えっ!?」」『えっ!?』
魔法陣が粉々に砕けたけど……というか、魔法陣って殴れたの!?
「ウィネ、魔法陣殴ったことないからわからないんだが、殴れるものなのか?」
「いや、そんなわけないだろ。殴ったところで何も起きないぞ」
「だよな……」
「おい、ユナ。お前の能力はなんなのだ?」
「ん」
ウィネのその問いにユナが拳をあげて答えた。
いや、その返事だけじゃわからないんですが……。質問の仕方を変えて聞いてみるか。
「ユナの能力の効果って何?」
「なんでもいける」
「うーん…………『なんでも打撃を与えることができる』ってことか?」
「ん」
「ウィネ、そうらしいよ」
「いや、そうと言われてもな――――とりあえずいろいろ試すか」
その後、ウィネらほかの階層主も一緒にいろいろ検証したところ、ユナは自身が認識できるモノであればすべて打撃を与えることができたが、オレの空間の力のように認識できない力には無理だった。
あと、検証のときに他の階層主とも戦ってもらったが、誕生したその日で他の階層主より基本的には強かったので90層の階層主としては十分だった…………まぁ、このダンジョン誰もこないけど。
検証後、オレ、ミコ、ウィネとユナは90層の階層主の部屋に来ていた。
「ここがユナの部屋だ。好きにして良いぞ」
「ん」
ここでなぜかユナがオレのところにきた。
「ん? どうした、ユナ」
「モフモフ」
は? どういうこと?
「モフモフしたい」
あぁ、そういうことか。律儀にオレに許可を取りに来るあたり賢いな。
「ミコ、ユナがモフモフしたいらしいよ」
『マスター以外に触られるのは嫌なのですが』
「まぁ、ちょっとぐらいモフらしたって」
『――まぁ、ユナですから仕方ありませんね』
許可をもらったユナがミコの尻尾のところに行きモフモフし始めた。
なかなかユナも分かってるな、ミコの尻尾はフッサフサだからなモフモフのしがいがある。
「ユナもするのであれば、我もモフモフしようかな」
『ウィネがしたら殺す!』
「こわっ! 怖すぎるわ!」




