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元貴族のお嬢様は、ギルド生活を満喫しています〜いろいろ忘れていたら、騎士になった幼なじみが迎えに来ました  作者: 天野乙音


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貴族って大変そう

最近ラウルとラウルのお兄様を監視したり、後をつけたりする人がいて、捕まえて聞くと、適齢期の女性がいる貴族に雇われたと言われるらしい。

「避けてもしつこくてね。」

ラウルは思い出して言うだけでも、心底嫌そう。

それでラウルのお兄様は、迫ってこようとする女性は不要なので、あちらも一生懸命なら、こちらも全力で対処せねば、と言いながら、急に、そこまでがんばらなくてもなんとなりそうだから、二日待ってほしいと言ったらしい。

「何をしたのか、本当に二日でぱったりと止まった、ということだったんだけれどね。」

「ラウルのお兄様は、いったい何をしたの?気になるけれども、聞くのが怖すぎる。」

お父様からの手紙をラウルに渡そうと、扉の向こうに行く。

しばらく待つと、ラウルが来てくれて、そんな話を聞かされた。

裏の仕事をするような人だから、何でもありのようで、本当にこわくなる。

「じゃあ、戻るね。みなさんによろしく。」

「うん。」



扉が閉まると、兄が後ろにいた。

「簡単だよ。後をつけているつもりが、全く関係のないところへ行ってしまうようにしたから。

さまよっているうちに、余計なことをして捕まって、とんでもないことになっているけれども。」

そう言われて思い出した。

「この二日、何人か応援でかりだされたのはそのせいですか。」

「そう。依頼主の貴族どもは、王から大目玉だよ。

これでしばらくどころか、ずっと来ないはず。」

満足そうに、にやっと笑っていた。


リアが持ってきた手紙は、ヘイトキングスという草の花に飲み込まれたこと、飲み込まれたけれども吐き出され、魔法と回復系の薬で回復させられてあることが書かれてあった。

「兄様、ヘイトキングスって、飲み込まれたらすぐに溶かされてしまうと聞いたことがありますが?」

すごく驚いた顔になった。

「もしかして、リアが飲み込まれたのか?」

「はい。でも、悪いものを食べた時のように吐き出されたそうです。

魔法で回復させて、さらに回復系の薬を飲ませてあるらしいけれども、気をつけてとありました。」

「魔力が不安定になるからだろう。

あ、でも封印されているか。

急に解けることがあるかもしれないな。」


「大丈夫だったか?」

ギルドマスターやレオさんが口々に聞いてきた。

「大丈夫なはずだぞ?」

と魔法使い氏。

「ありがとうございました。

なんともありませんでしたよ。

・・・もし魔法が使えたら、避けられたんじゃないかと思うと、うらやましいなぁなんて。」

魔法使い氏を見て、半分本気、半分冗談で言ってみた。

「たぶん逃げられないだろうな、魔法が使えても。

かなり速い移動ができれば可能だろうけれども、SSSでもごくわずかかな?」

無理なのね。

運が本当に良かっただけ、と言われた。


「ごめん、リア、手伝って!」

「はーい。」

時々依頼者が、お礼で差し入れをくれる。

喜んでくれるのはいいけれども、たまに大量に持ってきてくれることがある。

「ここがいっぱいになったね。

こっちにやろう。」

レオさんも手伝ってくれて、みんなでやると早い。

「リア、ちょっと。」

ほぼ終わりの頃、ギルドマスターに呼ばれた。


奥の部屋にいくと、ランクの判定の時の人とよく似た服装をしている人が二人いる。

ギルド本部から来た、植物の研究者と名乗られた。

「・・・なんともなさそうですね。」

「回復の仕方も良かったんでしょう。

どうされますか?詳しく調べるなら、採血しますが。」

もう一人がうーんとうなっている。

「病気でもないから許可をいただけないかも。

表面だけにしましょう。」

そう言うと私に、

「すみません、腕を少し借ります。」

軽く握られ、その部分が光って、キリキリと痛む。

手を離されると、痛みがなくなった。

「ありがとうございました。」

もう終わり?

何をしたかったのかよくわからなかった。

「これであの植物の謎が少し解けそうです。

年間飲み込まれている30人が0人になるかもしれません。」

意外と被害者がいるのね。

「詳しく調べるのに、採血させてもらうかもしれません。

ご両親にもお伝えいただけますか?」

「え?どうして伝えなきゃいけないんですか?」

不思議そうな顔をしていると、

「家によって、体を調べることで、魔力や能力がわかってしまうから嫌と反対されることがありますから。」

「はあ・・・」


家に帰って、そう言われたと話すと、

「そうだね。うちはよくても、親戚が後からあまりいい顔をしないかもね。

どうしても調べたいと言われたら、その時は彼らと直接話そう。」

お父様からはなんか、ひっかかりのある言い方だった。



明日が食事会になった。

ギルドマスターに、

「カトリナに伝えた方がいいだろう。」

「そうですね。」

そう言ったものの、伝えづらい。

しかし、お昼の時、

「リアが発表することがあるんだと。」

ええ!いきなり!

「ん?わざわざ、何?」

「あのね・・・結婚することになったの。」

カトリナの表情をうかがった。

手を取ってちぎれそうなぐらい、ぶんぶん振られた。

「おめでとう!よかったね。」

自分のことのように喜んでくれている。

明日から一緒に住むと話すと、驚かれた。

「本当によかった。

一緒に住もうって言ってくれるんだから、いい人に会えたのね!」

「うん。ありがとう。」

しかし、妙ににっこり。

「私もお付き合いしている人がいるの。

今度こそ、サギとか変なのじゃないもん!」

「本当か?勘弁してよ、もう!

本当に大丈夫?」

カトリナは

「いやだなぁ。そんなことないです!

みんなが知っている、パン屋のヤコフだから。」

それなら大丈夫・・・かな?

みんなそう思ったみたいで、微妙な顔つきだった。



食事会で婚約を公表した。

ラウルの家だけでなく、実はうちも貴族だから公表するのかと思っていた。

ラウルがあいさつをして、そこで初めて知った。

王様の弟の孫?

そっとラウルの腕を引いて、小声で言った。

「お父様が王族だったなんて、知らない。

そういう振る舞いなんてしたことがない。

下級貴族と思っていたから、ラウルの恥にならないよう頑張ろうって思っていたのに・・・。」

「大丈夫だって。さっきのあいさつでしたお辞儀は、王族がするお辞儀だよ?

お義父様も、最小限作法は教えたっておっしゃっていたから。

気になるようなら、週末に礼儀作法をおさらいしてもいいけれど?」

お父様の方を見た。

確かに、ラウルの上司の人たち・・・王子様たちとお父様は似てなくもない。

「・・・どうすればいいの?」

「どうもしないよ。むしろ、僕の方がどうすればいいの?だよ。

調べるまで、王族とは思っていなかったのだから。」

落ち着き払っているラウルに、おそるおそる尋ねてみた。

「何か言われたの?」

「気にしないでって。」

気にするなと言われても、私自身が気になるのにラウルが気にならないっていうのは違うはず。

そう思いながら、食事会はそのまま無事終わってしまった。


ラウルのお仕事の関係者に、二人であいさつをして見送った。

ラウルは、その人たちの記憶を差し替えているらしい。ラウルの上司の人が指摘していた。

「わざわざ差し替えなくてもよかろう?」

「過去にいろいろ面倒でしたから。もうこりごりです。

少なくとも式を挙げるまでの間、そのままにしておきます。

それに、リアについていろいろ詮索されても迷惑ですから。」

それは、よくわかる。

私も落ちぶれた家っていうのを、調べられたくないから。

「大事な彼女を見せたくないっていうのが本音ですよ」

とラウルのお兄様が言っている。

うれしいような、くすぐったいような。

こっそりラウルの後ろにさがった。

だんだん恥ずかしくなってきた。

「ディルク、そっとしておいてやれ。リアが困っている。」

とお父様のいとこが言ってくれた。

顔が赤いに違いない。

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