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元貴族のお嬢様は、ギルド生活を満喫しています〜いろいろ忘れていたら、騎士になった幼なじみが迎えに来ました  作者: 天野乙音


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不正は許しませんよ?

何かおかしい。

捕獲なんだけれども、依頼の引受人の人たちがやたら剣を振っている。

振っていれば当たるというわけではないですよ?

逆に、どうして全くあたらないの?

あくまでも私はおまけなので、自分からは向かわない。

はじめのうちにお願いされていないから。


ドドドドドドドドド


追い回されている。

どこまで行くのかな?

『あいつらは何がしたいのだ?』

気が付くと、ユニコーンが隣にいた。

「そう思うよね。私もわからないんだけれども、わなに追いやろうとしているんじゃないかと?」

はじめ追いやろうとしていた方角が、わなを設置したところだったから。

『ばかばかしい。やつらさぁ、力がないよ?』

いつの間にかやってきたリスたちにまで言われている。

『もうそろそろリア、やつらを無視してやった方がいいぞ?』

『そうそう、さっさと行ってこいや!』

私の近くでキーキーとリスが騒いでいる。

とどめに、ユニコーンに頭で押された。


「おっと!」

仕方がない。

向こうへ走っていって、魔物が来るのを待ってみた。

「うわあああ!どいてどいてぇええ!」

私の横を引受人は過ぎて、盛大にこけた。

「ぎゃーつぶされるうう」

・・・うるさい。

幹にひもを結び、魔物が通る直前にピンと張る。


ごて


あらかじめ見つけてあった木の枝でなぐって気絶させた。

レオさん直伝のくくり方。

これで、目が覚めて暴れてもはずれない。

「ああ、助かった!死ぬかと思った。」

引受人たちがおそるおそる、こちらへやってきてそう言ったとたんに、景色が練習場に変わった。


「遅かったな。」

魔法使い氏が不思議そうな顔をしている。

「あの二人、Sランクじゃなかったっけ?遅すぎると思うぞ?

・・・もしかして。」

引受人たちは何かを感じたみたい。

逃げようとして、動きを止められていた。


「やっぱりな。どこのギルドだ?」

レオさんが引受人たちのギルドカードを展開している。

アシルムート。

「何度言われてもこっそり不正をするから、もうそろそろ本部が乗り出す予定だったな。

いつの認定だ?一年半前か。」

不正をするなと言われる前。

「これで三件目だな。こりないギルドだ。」

引受人たちは、大金を積んで、ランクを一つずつ上にしてもらったという。

しかもかなり高額。

「それならまだ魔法具を買っておく方が安全だっただろうに。」

「それほど高性能の魔法具がその値段で買えるかよ!」

魔法使い氏が真顔になった。

「え?その金額だったら、ランクを一つぐらい上げるような魔法具を作っても、おつりが出るが?」

意外なところでひどい商売をしている道具屋がわかり、魔法使い氏は突然出て行ってしまった。


引受人たちは、ギルドカードの不正で本部に送られることになった。

連れていかれる直前に、消えた魔法使い氏のことをギルドマスターに聞いていた。

「・・・作り手だからな。暴利をむさぼって、高額で売りつけているのが許せんのだろう。」

「作る人のようには見えませんでした。汚らしい格好をしてたし。」

「モレアっていう名ぐらい聞いたことがあるだろう。」

「え?」

顔色が大変よろしくない。

前々から思っていたんだけれども、そんなにモレアっていう名はすごいの?



四日たって、魔法使い氏がギルドにやってきた。

「今、あちらこちらの魔法具取り扱いの店を捜査中だ。

適正価格でないところは、差額を罰金として徴収するんだと。

それのせいで、丸一日こき使われた。」

「大変でしたね。」

体をごきごき鳴らしているので、よほど使われたみたい。

「魔法具を調べるための魔法具を作れという、面倒なことをさせられたからな。

簡単なものだけれども、五十も作るのは大変だった。」



「リア、今度は討伐。

SSとSの人だから、早いんじゃない?」

ギルドが開かれてすぐの時間、ほとんど人がいない。

しかも朝から討伐ってハードね。

「討伐自体の難易度はSランクね。早いかどうかはわからないけれども、行ってくるね。」

そう言って出かけたのに。

のっけから、魔物に投げ飛ばされている、SSの人。

Sの人は、魔法がしっかりかかりきらない。

そのうちに何か間違えてかけちゃった。

魔物はあきらかに怒っている!


魔法を放つ向きが悪くて、私の動きを封じてしまっている。

動けないから見ているだけ。

それを解除してくれたはずなのに、よけいにしっかりかかっているってどういうこと?

おかげで、あちらは死闘状態になっている。

SSさんが斬りつけようとして失敗、剣がはじかれた。

走り回って逃げている間に、解けていないことにやっと気が付いてくれた。

「解除しました!」

振り返って、Sランクさんは魔法で魔物の動きを止めた。

「リアさん、代わりに切って!」

肩から下に向けて、それと背中にそれぞれ一回ずつ。

はじかれた剣を拾ったSSの人が、やっと斬りつけ・・・?

切れていない。

「ありゃ?刃がぼろぼろ。

そうか、前の時これで解体したっけ。

研がないといけなかった。」

今まで気が付かなかったの?

そんなのんきなこと言ってる場合じゃないわ!


「ご、ごめんなさい!限界です。」

Sの人の魔法はあまり持たないらしい。

三分ぐらいだった。

魔法が解けた魔物が、私めがけて襲ってきた。


どさ


「・・・。」

引受人たちはかたまっていた。

やっと発した言葉は

「リ、リアさん、あいつの体液まみれです。くさっ。」

あきれて怒るどころじゃなくなってしまった。

Sランクの魔法使いさんが返り血や体液を落としてくれて、倒した魔物と私たちを練習場へ移動させた。


「あの?もしかしてランクをごまかしていませんか?」

「・・・はい。ごまかしています。」

はあ。またですか。

「いつの認定ですか?」

「二カ月前に更新しました。本当は、私がAで、剣士はSです。

でもそれらも、魔法具で上げてあるので、本当の本当は、BとAです。

・・・ギルドで認定ではなく、自己申告でした。」

で、あの、”あのままだと全員死んでいましたよ!ランクをごまかして申請なんて、よくできましたね。”と怒ることになり、抗議の書類を今、作っている。


たまたま騎士様が持って行ってあげようと言ってくださっているから、今度こそはしっかりと伝わってくれるんじゃないか・・・と期待しているのだけれども。

さあ、できた。

奥の部屋に行って、扉をたたく。

「入りますよ?」


ギルドマスターは書類に目を通し、ギルドの印を押した。

その後、書類に魔法をかける。これで正式な書類。

「助かります。よろしくお願いいたします。」

できあがった抗議文をきちんとたたんで、定形の入れ物に入れて渡した。

入れ物に入れたら、向こうのギルドマスター以外は開封できない。

騎士様は魔法で、どこかしっかりとしたところに入れたみたい。

手元から急に消えた。

「預かりました。アシルムートのギルドに渡しますね。」


何か聞こえる。外が騒がしい。

窓を開けてもよくわからないので、部屋を出た。

出たところで、ギルドの扉が勢いよく開いた。

「大物の魔物がこちらへ向かっている!避難の誘導と、できるものはくいとめるのを手伝ってくれ!」

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