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元貴族のお嬢様は、ギルド生活を満喫しています〜いろいろ忘れていたら、騎士になった幼なじみが迎えに来ました  作者: 天野乙音


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ランク

ランクのやり直しを時折やっている。

「半分がランクづけが甘くて、格下げですね。

ランクが上がることがほとんどありません。普段から鍛練して、逆に上がってほしいですね。」

本部の人は言って、ため息をついていた。

でも、私の顔を見て何か思いついたみたい。

「やりますか?」

半年に一度判定を受けるとなっているけれども、まだ三カ月しかたっていない。

「まだ早いですよ?」

「せっかく来たのに、予定していた人が来ないから時間があります。

やりましょう。」


また野次馬がいっぱい。

「どれだけ変わったかな?」

「前見た時もすごかったからね、楽しみ。」

げ!楽しみって

「そんな、楽しみにされるほど代わり映えしませんよ?」

それに、判定する人たちは前回と違うし。


判定する人たちは、私のギルドカードを展開している。

判定する人は、単に見るだけでなく、中を全部閲覧できるらしい。

「よし。」

一人目は何も持たず立っている。

走ってきてさっと横切った。

普通の人にはそう見える。

「良くしのぎましたね。」

相手の左腕にうっすら赤い筋が浮いている。

「血はあまり出ませんでしたが、腱を少し切りました。」

「うわ。ごめんなさい。」

無言で即回復なので、みんな大したことないと思っている。


ふっと笑われ、私の周りを風のように疾走する。

その度に切っているし切りつけられているけれども、ほかの人にはどの程度見えているのだろうか?

いったん離れると、二人とも腕やら足やらあちこち傷だらけ。


これではきりがない。

どうすればいい?

こけさせるかどうかして、走り回るのを止めなきゃ。

私の方に向かってきたので、急に姿勢を低くして、刃を持ってつか部分をすっと差し出してみた。

「あっ!」

予想外の位置だったみたいで、引っかかって足がもつれて転がった。

相手が起き上がってくるところで、背後から首のあたりに刃を突きつけた。

「くっ!」


「そこまで。」

もう一人の判定人に言われて、相手から離れた。

周りにいたS級以上のの剣士たちと判定人の二人は、話し合いをしている。



「もうそろそろいいですか?」

しばらくたち、もう一人の判定人が離れて立って、待っている。

「はい。」

こちらは普通に構えて、剣を振ってきた。

でも、振り方が速くて大振り。

「思ったよりもやりますね。」

相手の膝から血が出でいる。

さっき下の方で振り払った時に、私が切ってしまったみたい。

さっきよりも重く、速くなった。

「ああっ!」

剣がはじかれて、手から離れた。


「リアさん、終わりだよ。」

相手の人から終わりが告げられた。

判定の二人が剣士たちと相談している。でも、先のが長くて、すでにそっちで話し合い済みだったみたい。すぐに終わった。

ギルドマスターとレオさんを呼んで話している。二人は驚きの表情に変わった。

「飛ばしてSSだ。

半年ごとに判定を受けるという条件はそのままだけれども。」

周りからすごいとかよかったねとか、祝福の声が上がった。



「なんかあの構え、どこかで見たような気がするんだな。」

判定人の一人がぼそっと言った。

誰もそれに返答しない。

リアのギルドカードが展開されていて、それをギルドマスターと判定人が見ている。

判定人だけが閲覧できるところに、

”潜在的にSSS。

精神状態や魔力に左右される。

現在魔力は抑制されているため、正確な判定不能。”

というのが足された。



「このギルドの依頼は、厳格に仕分けされていて問題なしですね。」

帰る直前に依頼ボードを見ていた判定人が言う。

「問題のある所ってあるのですか?」

「人の資格認定で不正があったり、判定の甘いところは、依頼に対しての難易度もめちゃくちゃであることが多い。

運営上の問題で、依頼代に手数料をかなり上乗せしていたり、何かがあって引受人や捕獲物を回収したりする時倍額を請求したりする。

なかなか改善されないよ。」

もう一人もうんざりして言った。

「結局のところ、ギルドを運営している人に左右されるのだけどね。

そこの人選も見直すべきと思うよ。

ここで言ってもどうにもならないが。」

それじゃあと、あっという間に二人は消えた。

「本部の人たちって、剣士でも魔法が使えるのですか?」

思ったことをマスターに聞いてみた。

「本部の大半は魔法が使える。

剣士は元魔法騎士も結構いる。

私からすれば知り合いだらけで、いい時も悪い時もあるよ。

さっきの一人は元上司だしな。」


家に帰ると、ギルドマスターが手紙で先に伝えていたみたい。

「ギルドカードを見せてごらん。」

お父様に差し出すと、

「へぇ、大したものだね。

・・・いつの間にこんなに依頼を引き受けていたの?」

お父様って何の仕事をしていたのだろう。私が何も言っていないのに、カードを裏返して、これまでの履歴を見ていた。



昼間のですっかり疲れていたみたいで、リアは軽くつついても、揺さぶっても起きない。

「起きないからいいんだけれどね。」

そうつぶやくと、リアの父はギルドカードを展開させていた。

「ギルドマスター以外でもわかっている人がいるんだな。

でも、口外禁止事項になっている。」

「どういうことですか?」

「魔力があって、抑えられているということは、他で言うなってことにしてくれている。

ここの記載に関わった人以外が言うと、活動停止だけでなく、追放ものだよ。」

「厳しいですね。」

リアの母はため息をついた。

「自分の身を守る以上のことができるっていう証明ですね。

それはそれで問題じゃないですか?そこまで彼は望んでいないでしょう?」

「そもそも守ってもらうためにギルドで働くということだったから、いいんじゃないか?

守ってもらえるし、自分でも守れるし、で。」

ギルドカードを閉じて部屋を出た。



昨日の判定を見ていた人が、あちらこちらで言ってたみたい。

そのせいで、私同伴の依頼を出そうとした人や手伝ってほしいという人が続出。

「ちょっと待て!

リア同伴の依頼とちょっとしたことでも手伝ってほしいというのはなしだ。

全てに行かなきゃいけなくなるじゃないか!」

ギルドマスターやレオさんにストップをかけられている。


「大モテね。」

カトリナに言われた。

「残念ながら、依頼関係だけどね。」

はあ。

「ねえ、先週お昼の帰りに引きとめられていたじゃない?

あれはどうなの?」

聞かないでほしかったのに!

「少し強引な人で、これからどうしようか悩んでいるの。」

そんなことを言いながら、お昼ご飯を食べに外へ出た。

待ち構えていたのか、あの強引な人がいた。

「リア!今からお昼?一緒に行こうよ。同僚さんも一緒にね。」

気が進まないけれども、カトリナが良いと言ってくれたので、うなずいた。

「昨日はすごかったね。

でも、もうああいうことはしちゃだめだよ。」

「どうして?」

「僕がどんどん弱い人みたいに見えちゃうじゃないか?

昔さ、認定受けたんだよね。」

そういうので、強制的にカードを出させた。

「うわっ!人のカード出せるの?」

ランクB。

裏書き、何もない。

本当に受けただけ。


後ろから手が伸びた。

「へ?」

展開されて、中身が出てきた。

”ランク本来はなし。

講習三カ月を受講済みにて、ランクを与えられた。”

だからカードのふちが緑なのね。

緑はカードを持っているものの、初心者すぎて、一人で依頼を受けてはいけないというもの。

「・・・あのね、カードの内容が人の価値を決めるものではないわ。

でもあなた、私がカードの提示を求めなければ、勝手に閲覧できなければ、ランクをごまかしていたんじゃないの?」 

「ばれた?ははは。」

なんか数回しか会っていないけれども、腹立たしくなってきた。

「・・・。」

そう思うと、勝手に剣が出てきて、相手に突きつけていた。

「ギルドにいる限り、私は今の状態がいいの。

それを否定するなら、初めから付き合わないで。わかったかしら?」


「自分に正直だから付き合えないのよ。」

「でもあれはないんじゃないの?」

レオさんも笑って言う。

「あれはリアに合わなさそうと思ったから、でしゃばったんだけどな。

すまんな。」

「いや、すっきりしましたから、よかったですよ。」

いつもの人たちで、落ち着いてお昼を食べた。

私のこれまでの努力を否定する人はやっぱり無理ね。

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