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元貴族のお嬢様は、ギルド生活を満喫しています〜いろいろ忘れていたら、騎士になった幼なじみが迎えに来ました  作者: 天野乙音


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厳しく判定

ギルドマスターは、本部から連れてきた人に何かを言っている。

意図的に小さな声でしゃべっていた。

見ていると、本部の人は突然私の目の前に現れ、剣を繰り出した。

慌てて避けた。

「急ですね。」

「手加減しませんよ。」

えー、そんな、もう少し素人扱いしてほしい・・・。

次から次へと厳しい剣さばきで迫ってくる。


ガッツ


「なかなかやりますね。」

「うううっ!」

がんばって押してみた。

離れた瞬間に、さっと剣を振ってきたので、それも剣で受けた。

「そろそろ止めましょうか。」

ニヤリと笑っている。言っていることとは逆で、やめる気がないみたい。

しばらくカツン、ガツンという音が続く。

「止め!」

剣士たちがギルドマスターのところに集まっている。

ぼそぼそしゃべっているから、私の方までは聞こえない。


ギルドマスターが私の方ではなく、しばったままになっている中年男性の方へ行った。

「もう一回やるか?本部の人だから文句はないだろう?」

「ああ、もう一度やり直させてほしい。」

そう言ったとたんに魔力のひもが解けた。


本人は全力でやったらしいが、やっぱりランクはBで決定。

「文句はないな。」

「・・・はい。」

ギルドマスターは私の方を向いて、にっこりと笑って言った。

「で、リア、もう一人ともう一回やってみよう。」

「へ?」

さっきの人も厳しかったのに、さらに厳しい攻め。

うわーん。


ほっぺたがチリッと痛む。

先が軽く当たったみたい・・・

そこからの覚えがない。


「リア、終わりだ、終わり!」

魔法使い氏に止められている。

「あれ?」

「相手をつぶす気か?」

周りの人が言うには、神がかっているというのが合うような動きをしていたらしい。

必死すぎて、記憶がないのに。


「リア、今の時点ではAだ。でも、半年ごとに認定を受けてほしい。

潜在的にSS級だからな。」

「私はSSでもいいと思うのだが。実戦をしていないということだから、半年ごとの認定で徐々にランクを上げていってほしい。」

本部から来た人二人に言われた。

「・・・ありがとうございます。」

なんかよくわからない。実感がない。

Aが妥当なのかどうか?

潜在的にSS?そんなにやったように思えない。


「絶対に納得していないな。」

そう言っている魔法使い氏に、本部の人が近づいた。

私からは距離があるから何を話しているのか、聞こえない。

「助かった。魔法で押さえつけてもらわなかったらどうなるかわからなかった。」

「あの人は魔法を使えるのか?

潜在的な魔力量が見え隠れするという珍しい状態だが。」

本部の人が魔法使い氏に尋ねているみたい。

「今は全く使えない。

事情があって、封印されてある。」

「使えたら・・・SSどころではないな。」


本部の人たちが帰り際に、ギルドカードを手渡してきた。

表は私の名前とランク、手をかざすと私の顔が浮かぶ。

何気もなく裏返すと

”SS相当。半年ごとにランクチェック必須。”

と今日の日付とともに書いてあった。

「しまっておきな。しまい方と出し方は剣と同じだ。」


「Aランクって信じられないです。

そんなにできているように思っていなかったから。」

「そうだね、AよりのBと思っていたから。

でも、本部の人が言うのだから、判定は厳密だよ。」

とレオさんが言う。

「でも、少しずつできるようになったのは、ギルドマスターとレオさんと、たまに暇つぶしにお付き合いしてくれた剣士の人たちのおかげです。ありがとうございます。」

「いやいや、それほどでも。・・いてっ!」

会った覚えのない剣士が、何度かここに来ている人に脇をつつかれている。

「おまえはこのギルドに昨日と今日来ただけだろ!」

「ばれた?」

「調子のいいやつめ、しばらくはここで手伝ってやれよ。」

みんないろいろ言っている。

そういう時に何か言いそうなギルドマスターが静かね。

そう思って周りを見たけれどもいない。

「あれ?ギルドマスターは?」



「急に訪問して申し訳ありません。

一応ご報告いたします。」

「ギルドマスター、わざわざどうされましたか?」

学校へリアの父親との面談を申し入れると、空き時間だったのかすぐに通してくれた。

「ギルドでランク認定をしているのはご存じですね。

今日、リアに対してランク認定を行いました。」

「まさか、魔法ですか?」

変に空気がピリピリ。

「いいえ、違います。

第一、魔法は測定器があるので、それを使わなければわかりません。」

「そうでしたね。」

元に戻った。精神だけでなく、体にもよくない。

「私やギルド付きの剣士で、普段は認定をするのですが、せっかくなので本部から認定士を呼びました。

約一年、護身も兼ねて稽古をしていたのですが、判定の結果Aランクでした。」

「ほう、それはすごい。いつの間にそんなに・・・。

やっておくものですね。」

目を細めて喜んでいる。

「それが、ただのAではなくて、潜在的にSSランクなのです。」

「どういうことでしょうか?」 

リアの父親は、一瞬顔が引きつっていた。

「切羽詰まった状態になれば、SSレベルになると言えばよいのでしょうか。

集中の具合で変わると思われます。

半年に一回ランク判定をするという条件が付けられました。

ああ、大丈夫です。今回も、今後判定をする場合も、魔法使いに結界を張ってもらうようにしますから。」

再びあの張りつめた空気になるのは避けたいので、なる前に言っておいた。

「・・・SSは必要ないでしょうけれども。」

「私たちもそこまでできるとは思っていなくて、びっくりです。

剣術をご自身はされていましたか?」

地雷かもしれないが、気になったので聞いてみた。

「・・・私自身、剣は形程度しかしていないので、どうなんでしょうね。

リアは女の子ですから、そういう練習は全くしていません。

たまたまリアには、合ったのでしょう。

ここまでご指導くださってありがとうございます。」

丁寧にお礼を言われた。



「マスター、どちらに行かれていましたか?

依頼人からお礼で、こちらをいただきました。どうぞ。」

りんごの箱を見せると驚いている。

「いっぱいもらったね。みんなで分けよう。」

少し残して、おやつに出した。

皮をむいただけなのにおいしい!

あっという間に大皿に盛ったりんごがなくなっている。

最後のりんごを頬張っていると、ギルドマスターに話しかけられた。

「リア、一応お父様に報告しておいたよ。

Aランクって、私たちもびっくりしたからね。喜んでいらしたよ。」

もう知られちゃったの?お母様にはおてんばさんってため息をつかれそう。


夕飯時、両親とも喜んではくれたけれども、案の定、お母様に

「木登りの次は剣術って。

おてんばにも程がありますよ。

けがしないようにね、もうっ!」

と言われた。



そういうふうに言われているから、おとなしくしておこうと思っているのに。

「討伐に参加できなくもないぐらいになってきたな。」

「レオさん、それはまだでしょう?

突然きたら避けられないと思うから。」

構えられてこちらから向かうならできると思うけれども、急に来られる分には体が動かないと思う。

「判定してから一カ月たつんだよ?

あれよりも動けるようになってるよ。」

「まだまだですって!」

こうレオさんと言い合っていたら、

「リア、一度力試しで行ってみるか?」

とギルドマスターに提案された。

「当然安全なように、ここで何回か受けていて、しかも腕の立つ人がいれば、だが。」

安全ならいいかしら?

討伐や捕獲の依頼ってどうなっているのか、みんなの仕事ぶりを見てみたい。

それは前から気になっていたから。

「・・・行ってみてもいいかも。」

「じゃあ、そういうのがあれば、同行させてもらえるよう、お願いしよう。」


しかし、そういう条件付きとなるとなかなかない。

「言っておきながら、いざとなるとないな。

待たせて申し訳ない。」

ギルドマスターに謝られた。

「いいえ、別に急いでいかなければならないのではないし、構いません。」

内心ホッとしていたのと同時に、まだ早いから行きたくないと思っていた。

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