表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

出会い。

10歳、キンモクセイの香りのする秋の日、私、小鳥遊今たかなしこんの家に同い年の女の子が来た。がりがりにやせていて、年下にしかみえない、暗い目をした女の子。家の玄関にその女の子が、私の親と一緒に立っている。

「ねえ、キミ名前は?」

「…………ノゾミ」

それが、やせぎすの女の子、時田ノゾミとの出会い。


はじめ、私の妹、未来みくとノゾミは、仲が悪かった。

「もー、なんで、しゃべんないの!なんかしゃべってよ!」

「…………」

キーと言いながら、未来がノゾミの髪の毛を引っ張っている。ノゾミは泣くでもわめくでもなく、されるがまま。

「わー、ちょっとちょっと、だめだめ」

ノゾミをいじめる未来を私が止めに入る。

「だって、おままごとなのに、ノゾミちゃんが何にもしゃべんないんだもん!」

「ノゾミも何か言い返しなよ」

「…………」

「暗いなー」

「ねっ、お兄ちゃんもそう思うでしょ。ノゾミちゃんがおかしいんだよ」

未来がそういうと、ちょっと悲しそうに目が伏せられる。少しは思うとこがあるんだな。全く感じていないわけじゃないんだな。


ある日、前日遊びまくったせいか、少し筋肉痛気味で、体がだるい。

そこで、自分で考えたラジオ体操のようなものをしていた。

「あーよいよい、どっこいしょ」

どっこいしょ、で後ろを振り返ると、そこにノゾミがいた。

いつもの半開きの暗い顔ではなく、まん丸の目をして、頬に朱が入って、口元がだらしなく笑っている。目は少し涙でうるんでいる。

「……どったの?」

「……いい、いい、続けて」

「あっ、そう?……あーよいよい、どっこいしょ」

三十分くらいかけて、体操をした。

その間、じっと、何かをかみしめるような顔して、ノゾミがこちらを凝視していて、たまに、ノゾミの珍しい、フフフという笑い声が聞こえてきた。

なんだかな。


後年、この時のことを聞いたら、何でもノゾミのなくなったお母さんがしていた体操に、よく似ていたそうな。掛け声も一致していたんだとか。

後から考えると、この出来事以降、ノゾミとの心の距離がぐっと近くなったような気がする。


「ねえ、おかあ、……間違えた。コン」


のぞみの笑顔が増えていく。

少しずつ要求が増えていく。

まず、コンとノゾミ、その次になんだ、笑えんじゃんと、未来が仲良くなる。

ひとりでなく寝るとき

何かの行動がなくなったノゾミの母親と重なる

祭り

ノゾミを未来が認める場面

二人の結婚式のまねごと



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ