ストーカーは…犯罪です。
ストーカーは犯罪です。絶対だめです。
「ストーカーって犯罪だよ…?」
大谷さんの右隣の女の子が恐る恐る声をかける。
「それは知ってるんだけど、世界で誰一人としてストーカー行為に気づいてなくて永遠に見つからなかったら、それはもはやストーカーさんがいなかったことになるんじゃないかと思うんだよね」
急に無駄に哲学的になったその理論に、みんな混乱している。
「つまり、バレなければオッケーと?」
「普通は絶対にバレない保証はないからダメだけど、ストーカーされている人も含めて絶対に誰にもバレなければ…害はないのかなって思う」
今までにない視点からストーカーを論じられて、唖然としながらも考え込むみんな。
そんな中で、男子学生の声が響いた。
「バレちゃいけないってことは……どのみち、ストーカーと恋愛できないよね?」
ーそれはそうだー
みんなの心の声が一致した瞬間だった。
「気付かれてなければ存在しない…ならあれも…バレなければ…なかったことに…うーん」
「お前何言ってんの?絶対バレない犯罪なんてないからな、犯罪は犯罪だぞ」
「でも…バレずに忘れてしまえば…」
(こいつが犯罪を犯したのか?…しょうがねぇ、俺が警察ついていってやるか)
「だからな、…はぁ、ていうか何したんだよ」
「…ぇ……ぷ……ぁ…ゃ…」
「え?」
「…姉さんのプリン食べちゃったんだよ!それも、毎週限定50個のやつ!」
「……俺が一緒に謝ってやるよ」
「まじで!いいの?!愛してる!」
(はぁ、こいつが犯罪なんて犯せるわけがなかった…てか、涙目とか犯されてぇのか、可愛いな)
「ちょっひっつくな!」
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「やっぱあの二人…あっ、いいっ、そのまま食べちゃえ!」
少し遠くのテーブルの女子学生がガン見していたことを、二人は知らない。