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元カジノディーラーの回想  作者: 過去若者
5/7

他店

俺のお店は18時から15時までの営業だったが、アングラカジノといえば24時間営業がデフォだった。


なので、仕事終わりには、たま〜に近所の他店に遊びに行った。


何故か業界では、店の名前は言わず、隠語のようにその店が入っているビルの何階かで会話するのだった。


「今日は大入りも出たし、お前も5階に行くか?」

「彼女も一緒でもいいすかね?」

「別にいいんじゃね?」

初めて客としてカジノに行って時は結構ドキドキした。


先輩2人と連れられて、

仕事終わりのキャバ嬢の彼女も連れて行く事にした。

一応その店のNo.1だったし、自慢の彼女だった。アホだったけどいい子だった。


雑居ビルの5階にあった店は「ポセイドン」

名前ほど立派な店では無いが飲食無料はもちろん、イカサマも無い優良店だった。


イカサマと言えば、バカラ のディーリングにもイカサマはある。

詳しいやり方は知らないままだったが、「釣り」といって、シューターから次に出てくるハズのカードを上にズラし、次の絵札を引くのだそうだ。

釣りが出来ないちゃんとしたシューターを使っているお店なら大丈夫。まぁゲーム前にシューターを調べる事など出来ないけどね


ポセイドンにはバカラ しか無かった、10点バランスが2卓のみ。

生ビールを頼み、3点だけチップを借りた。

彼女はステーキ定食を食べてるから放っておいても大丈夫だろう。


最初のゲームの罫線はまぁまぁ普通だった、ツラでもテンコでも無く、ディーラーとして配っていれば勝つ、良い罫線だった。

だけど、そういう罫線は俺の得意な流れで、すぐに10点増えた。


酒も入っていい気分だった俺は、彼女に5点分けてあげた。

「いいの?これ。5万円って事?」

「いいよいいよ、なんか調子イイし」

次のゲームでは、脇に彼女を座らせ、酒も入ってめちゃくちゃ楽しかった。ハッキリ言って調子こいていた。


カジノでは、客が帰る時に店員、ディーラー達が「お疲れ様でした!」と声を上げるのが習わしだった。

「ありがとうございました」や「またお越し下さい」などでは、負けた客に嫌味になるからだ。


帰る客があったので、ポセイドンでも店員、ディーラー達が声を上げた。

「「お疲れ様でした!」」

酔っていた俺もツラれて

「お疲れ様でした!!」



いつものクセでやっちまった。

普通の客が真顔で、突然大声で叫んだら、周りの客もディーラーもそりゃ驚くだろう。


先輩達と彼女は爆笑していた。


その日は、そこから一気に負けた。

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