表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 城内杏子

 「小説がかけない」

 そう呟いて、学習机の前で椅子にもたれかかった。

 思えば、ここ数年読書らしい読書もままならなくなっていた。夢を追いかけて理系の道に進んだが最後、数学が苦手な私は、落ちこぼれていった。難解な理系科目は私の趣味の時間を奪った。大学の講義に出るのはいいが、理解できずに苦しむ。親に高い学費を出してもらっているのに、挙句寝てしまう始末。安らぎを求めて、今私は、ノートPCに向かい合って、最初の一文を書こうとしていた。


 なのに。


 心地よい春風が白いカーテンを揺らしている。こんなにも穏やかな春の日なのに。

 ふと、最近音楽を聞いていないな、と音楽プレイヤーを探すも、忙しい毎日で片付かない部屋では、見つからない。


 ああ、私は。どこかで間違えたのだろうか。


 虚無感を覚えた私は、米を洗おうと台所にたった。


 今さら戻れない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ