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Chapter-5-upward
白星雪姫は一人、森の中を歩いていた。
もうどれぐらい歩いてきたかわからない。
足が痛くてもう動かしたくなくなってきた。
「······どこだろう。ここ······」
体育の授業が終わって着替えて紗季を待つために外に出ると、目の前に森が広がっていた。
後ろを見ても同じような森で、雪姫自身が出てきたはずの扉さえなくなってしまった。
どうしようもなくなった雪姫は森を出るために歩き出した。
そして、いまだに出口は見えない。
いつも隣に居てくれた幼なじみもいない。
周りには大きな木々しかない。
「助けてよ······蒼真······」
雪姫のほんのり赤い頬に一筋の涙が伝った。