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Chapter-3-under
城の中で帽子屋が叫ぶ。
「チェシャ猫!」
「はいはぁいなぁんですかぁ」
派手な格好の男、チェシャ猫が帽子屋に近づく。
「てゆーかオレはアリスの右腕みたいなもんで、帽子屋にこき使われてる意味分かんないんだけどぉ」
「知るか」
帽子屋に一喝されチェシャ猫は薄ら笑いを浮かべたまま手を首の後ろで組んだ。
「んーで? なにぃ?」
「お前の大切なアリスが森に入り込んだ」
「はぁ?!」
「連れて来い」
帽子屋の言葉を聞いたのか聞いていないのか、帽子屋がチェシャ猫のいた所を見た時にはもういなかった。
「話は最後まで聞け。馬鹿猫が」
帽子屋はそう吐き捨てるように言って姿を眩ませた。