9/15
勇者辞退
「嫌です。」
その言葉がライアンの口から発せられた瞬間、玉座の間に少しの沈黙が流れた。
ライアンは、やってしまったと思った。
魔王の頼みは命令も同然。それを今即答で断ったのだ。
今度こそ魔王の怒りを買ったに違いない。今日明日中には自分の頭は身体とお別れすることになるかもしれない。
今更だが、何もしないよりはマシだと思いライアンはペコリと再び頭を下げた。
沈黙が、1秒、2秒、3秒。
「…………ズッ」
頭上から変な音が聞こえたので、ライアンは恐る恐る顔を上げた。
即死魔法の準備か、それとも剣でも持ってきたか、様々な予想を頭の中に展開しながらライアンが魔王を見ると。
その場に蹲って、泣いていた。