従者呆然
目の前の光景を、使用人は呆然と眺めていた。
真面目にやっていたかと思えば突然のクラッカー。これはお誕生日会か何かか?
プラカードがぶら下がったままの時点で嫌な予感はしていたが、どうしてクラッカーなのか。魔王が少し頑張って魔法を使えば、紙吹雪なんてもっと派手に出来ただろうに。
正面玄関から通さなくて本当に良かった。使用人は自分の危機察知能力を心の中で褒めた。
しかし、ここから自分はどう行動すれば良いのだろうか。
ライアンも、反応に困り果てて固まっている。
とにかく、本題にうつらせないと……!
やんわりジェスチャーで伝えるべきか?いやそんなことして魔王が間違った解釈をしたら元も子もない。
ストレートで行こう。そうだそれが一番いい。
「えー魔王様。そろそろ本題にうつられては?」
「ああ、そうだな」
魔王に助言しつつ、クラッカーを鳴らされてもなお頭を下げ続けていたライアンを起こす。なかなか自然にできた。流石自分。
まあ要件はメールで確認済みだし、あとはライアンの承認を得て引き継ぎ作業をするだけだ。
使用人は、そう信じていた。
が、現実とは残酷なものだった。
「ライアン、そなたには次期魔王となってもらいたい。」
「嫌です。」
即答で断られてしまった。