魔王歓迎
ライアンはポカンと玉座の間にぶら下げられているプラカードを見ていた。
何だ、この歓迎会のような飾りは。
しかも、やけに女子力の高い丸文字で書かれている。魔王の直筆だろうか。
当の魔王というのはどうやらこの先の玉座に座っているようだが、若干の距離があってよく見えなかった。
「魔王様、ライアンが到着しました。」
「ご苦労。ライアン、前へ」
魔王の声を聞いた瞬間、ライアンの背筋がスッと伸びた。
計り知れないほどの、威圧感。
プラカードは、ただの幻だったのかもしれない。ゆっくりとした足取りで、ライアンは魔王のそばへ行った。
魔王の玉座の前に伸びる階段の下まで行って、うろ覚えの知識で膝をついた。
「ライアン=カミンだな」
「……はい」
俯いているので、魔王の顔は全く見えないが、魔王が立ち上がる気配がした。
階段を降りて、ライアンの前に立つ。
「私の召喚に応じてくれて、嬉しく思う。」
ライアンの頭上から、荘厳な声が降る。
「我が城への入城を……歓迎するぞぉぉぉ!!!!」
パァーン、と何かが弾ける音がした。
と同時に色とりどりの紙吹雪がライアンの周りに散る。
「!?」
「ライアンやっと来てくれて魔王マジ感激!超嬉しい!!」
さっきとは打って変わってテンションの高い魔王の声を聞いて、ライアンは例のふざけたメールがフラッシュバックしていた。