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第2話 南の地なんだぜ

説明会2でございます。

俺はどうやら南の地に送られたみたいだ。


目を覚ますと、周辺に見えるのは平原で、その先に林やら沼やら山が見える。

さっきからやけに身体が軽い。あと空気が旨い。2言目はウソであるが、さきほどから空気自体が何故か少し粘性を持つように感じる。これが土地から溢れる魔力なのだと力が発現した今では分かる。


黒髪幼女の話からするとどうやら俺はこの地で10年ほど生活しなければならないらしい。それと、ここの状況を伝えなければならないみたいだ。その後は大陸で自由にしてもいいとのこと。俺はここに10年居るつもりは更々ない。口ぶりからすると、周りは海らしいので、さっさと船でも作って脱出することにしよう。


辺りを警戒しつつ思考を纏めようとすると遠くの茂みから何かが弾丸のような速度で飛びかかってきた。俺はそれに驚き、尻餅をついた。尻餅をついたのが運が良かったのか、襲ってきた何かは先ほどまで俺の上半身があった位置を通過した。何かは狼のようで、狼は俺との距離を10mほど空け、着地すると忌々しげに喉を鳴らす。


 その隙に俺は与えられたスキルの『鑑定』を使った。




名前 グレーウルフ 種族 魔獣


Rank S-


等級

筋力  8

精神力 4

敏捷  8

魔力  5


スキル


『上級魔法 風』




黒髪幼女に聞いていた話によると、目の前の狼とやらは、狼の形をしただけの化物であることがわかる。筋力と敏捷の等級は8。それは人間の極地を指すもので、この世界の人間の強さはわからないが恐らく、ろくでもないのだろう。

 

自身の強さはまだ見ていないが、逃げるのが吉。だが、敏捷の等級が8の化物からは逃げ切れないと思う。突破口を黒髪幼女が持たせてくれているのに期待をしてステータスを開く。



名前 断花 朱利  種族 人間 Age20 Male


Rank A+


等級

筋力  7

精神力 5

敏捷  7

魔力  6


スキル


『生存本能3』 『体術3』『鑑定10』


ギフト

『邪神の加護』『魔力親和』


称号


『世界を越えし者』『邪神の眷族』



与えられたスキルは『鑑定10』のみ。本来、スキルというものは、鍛練を重ねた結果として習得した技能がスキルとなるのだ。力を貰っただけでスキルを取得できないのは仕方がないと言える。


黒髪幼女の魔改造によって魔力が発現し、知覚したことによって等級が上がってはいる。だが、それでも目の前の魔獣には届かない。頼みの綱は『ギフト』であるが『魔力親和』は、体がより魔力との親和性が、高くなるもので、今の状況では役に立つか分からない。『邪神の加護』にいたっては、効果が不明だ。


身体能力の差は等級でみれば1だけであるが、その1がどれほどまで差があるかはわからないが、戦えば無傷で勝てるとは思えない。むしろ死ぬ確立のが高い気がする。


「ッッ!」


動揺したのが相手にもわかったのか魔獣は10mの間合いを瞬時に跳び、死を連想させる大爪がなぎ払われた。


俺は魔獣の払われた方の腕を逸らすことで、直撃は免れた。前回は不意打ちであったためにその速度に反応できなかったが、今回は攻撃を逸らすことに成功したが、それだけだった。逸らしたはずが、衝撃だけで身体が横に紙屑のように吹き飛んだ。


体が何バウンドかして、素早く起き上がり、自分の状態を確認する。足には大きなダメージはなく、防いだ左腕の骨が皮膚を突き破っているのを確認できた。


アドレナリンが分泌されているのか腕に痛みはないが。動いてはくれない。


(足を潰されなかっただけマシか・・・)


そのことに少し安堵すると同時に十数m先の魔獣の前肢に魔力が収縮しているのが見えた。


幼女神の説明では確か魔力を使うには、体の魔力を知覚し、それにイメージを通すことにより、魔力に指向性を持たせるのが魔法だ。平たく言ってしまえば簡単に聞こえるが。指向性を持たせるにはさらに、魔力を式に編まないとならない。


今からやるのは、土壇場で魔法を発動させるものだ。


「命を賭ける(ベット)ってか?上等だ。ここでやれなきゃ死ぬならやってやる」


魔獣の組み立てる魔法を見よう見まねで組み立てる。


魔獣が術式を完成させ、無数の風の刃が飛んでくるのとほぼ同時に、拙い式であるが完成し、そこに膨大な魔力を注ぎ込んだ。


発動したのは可視可能なほどに魔力の密度が凝縮された極大の闇の刃。


闇の刃は魔獣の魔法ごと魔獣の半身を消し飛ばすことに成功する。


「ギリギリだったな」


とひとりごとを呟いてみる。傷を負ったのは左腕と全身を打撲しただけだが、魔法のタイミングが後数瞬遅れていたら?威力が出なかったら?無残な体で転がっていたのは自分の方だった。


そして、魔獣を倒したことにより、その魔力が体に流れ込んでくることが感じられた。一時的に体が熱をもった錯覚に陥るが、体に馴染むとすぐにその錯覚は消えた。


魂をハードウェアとするなら、魔力はソフトウェアとなると、幼女神から説明を受けていた。魔力の総量は魂の格によって決められ、これは先天的なものであり、そうなると魔力の総量は上がらないのかと聞くと、答えはNoで、魔力を行使し続けたり、ここのような魔力の濃度が高い地に住むことや、魔物や人から魔力を簒奪すれば徐々に魂の方がそれに合わせアップデートされるという話だ。


そして、魔力がある一定上に達すると、世界の持つ魔力から拮抗が出来、この世界の理から外れるらしい。理から外れると『超越者』と呼ばれ、文字通り超越した力を手にする。超越者は、超越者にしか基本は殺せない。それは、理から外れた体が頑強過ぎるため、その力を破るにはそれを超える飽和攻撃、もしくは同じ力を行使するしかないからだ。


そして『超越者』は基本、神から一気に魂の格をそこまでに引き上げられた『勇者』や『魔王』などのことを指す。もちろん俺は加護を受けてはいるが、そんな力は持っていない。幼女神に俺は『その力は俺には付与されないのか?』と聞くと『そんな紛い物の力に頼って生きるつもりか?お主は阿呆か。与えられた力なんぞ本物には程遠く調子に乗って瞬殺されるだけじゃ』と言われた。


少し休憩が出来たので、身を隠せる場所を探さなくてはと思いその場を立つことにする。


休憩したことにより、魔力が体に戻り、少し体が軽くなった。そして、『魔力親和』のせいか、それともここ一帯の魔力の影響か、みるみると左腕の再生が行われ、完治してしまった。


いよいよ人間離れしてきたことを悲しく思い、身を隠す場所を求め足を山のほうへ向けた。











 





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