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MOTHER・LAND  作者: 孝乃 ユキ
Episode.09 遊戯の町
93/122

P.093 力の行方(2)

「なるほどね…」



すると突然シャクルの声が聞こえ、アヤメ達の元へと歩み寄ってきた。



「シャクル…まだ寝てなきゃダメだよ」

「そこまで重傷じゃねぇって。それに、ちょっと外の空気吸いに来ただけだ」



そう言ってアラーケの横で、立ったまま(へり)に寄りかかるシャクル。



「って事はだ、リーシェ。まだアヤメにはマザーの力は残っている訳か?」

「えぇ。辛うじて、っていう所かしらね」

「扱えるくらいか?」



その質問には無言で首を横に振るリーシェ。



「え…じゃあ、私はもう…」



マザーを扱えぬのなら、対冥王としての自分の意味など…っと表情を曇らせ俯くアヤメ。その姿を見るシャクルは、なぜか鼻で1つ笑った。



「何暗くなってんだよ。よかったじゃねぇか」

「よかったって…私がマザーを使えなかったら、冥王とだって――…」

「力が0になった訳じゃねぇんだろ?だったら可能性も0じゃない。終わったみたいな顔すんな」

「…シャクル…」



再び鼻で1つ笑い、リーシェを見るシャクル。



「アヤメのマザー、あとどのくらいなんだ?」

「どのくらいって…どう表現していいのかわからないけど」



リーシェは首を傾げながら片手を上げ、人差し指と親指をつけたOKサインを作る。だがそのつけた指は1~2ミリ程離れていた。



「手を広げた状態が発動レベルなら、彼女のマザー量はこのくらいよ」

「私のマザー、そんなに少ないんですか…?」

「えぇ。消えないのが不思議なくらいよ」

「お前への期待度と同じくらいだな」

「なっ、なにをーっ!」

「0じゃないなら頑張って絞り出せ」

「ど…どうやってよ?」

「俺が知るかバーカ」

「また『バカ』って言ったなーっ」

「アホの方がよかったか?」

「どっちも同じだーっ」



この2人のやり取りに、リーシェはキョトンとした表情でアラーケを見、「いつもこうなの?」っと首を傾げた。アラーケはケラケラと笑って数回頷き返す。


アヤメはシャクルに詰め寄るが、頭を押さえられ、届かぬパンチをブンブンとさせているだけ。当のシャクルは冷静なままに再び口を開く。



「とにかく、アヤメのマザーについては、カムラに会って話しを聞いてからだな。ちょうどサカンドラに向かってる訳だしな」



そう言ってシャクルは押さえたアヤメの頭から手を離し、その手でアヤメの鼻をつねる。悲鳴と共にアヤメのパンチは止まり、そのタイミングで(へり)から体を離し歩き出すシャクル。



「んじゃ、俺はまた寝るわ。まだ体がダルくてしょうがねぇ…」



するとリーシェも軽く背伸びをしてシャクルに続く。



「ワタシも休むわ。まだ本調子に戻ってないしね」

「お前らも休める時は休んどけよ。特にアヤメはしっかり寝ないと、リーシェに抜かされたまんまだぞー」

「へ?な、何を?抜かされたままって何をよ――…って行っちゃったし」



するとアラーケも立ち上がり「おれらも休もう」っと、ぐ~っと背伸びをする。



「たぶん、スタイル的なやつでしょ?寝る子は育つから♪」

「うっ、うるさいなぁ…私はまだ成長期なのー。どうせリーシェだってミネアくらいのお姉さんなんでしょ。私はこれからなのー」

「大丈夫大丈夫、アヤメちゃんは今のままで十分可愛いからさ」

「いやんアラーケったら♪肩でも揉んで上げようかしらぁ~?」

「あ、大丈夫。こってないから」

「そこだけ真面目かーっ!」








 そうして一夜が明け、空に朝日が顔を出しはじめた頃…軍艦の前方には無人島カラの姿が。地底都市サカンドラの第2の入口がある島が見えていたのだ。




 コンコン!




するとアヤメ達の休む部屋の扉がノックされた。その音に目を覚ますシャクルにミネア、リーシェの3人。



「――…ん…」

「…誰でしょうか?」



目を擦りながら、ミネアがベッドから降りて扉に向かう。そして扉を開けると、目の前にはリグルの姿が。



「あ、おはようございます、リグル様」

「おはようございます。朝早くにすみません、入っても大丈夫でしょうか?」

「はい、どうぞ」

「失礼します」



ミネアが開く扉を通り、部屋に入るリグル。



「おーリグル。どうかしたのか?」

「あぁ。カラにもうすぐ到着する。そろそろ降りる準備をしてくれ」

「そうか。わかった」



頷き立ち上がるシャクル。追ってリーシェも立ち上がり、グっと背伸びをする。



「アヤメ、起きて下さい。アヤメ」



ミネアは未だ夢の中のアヤメを起こそうと、体を揺するが……



「ん~…むにゃ…むにゃ…」



…案の定起きない。



「アラーケ。キリ」

「んがぁっ…ぐぅ~…」

「ZZZ~…」

「はぁ~…ったくコイツらもかよ…」

「全くもう…寝坊助さんなお姫様ですね、アヤメは」



そう言うミネアはアヤメの鼻をつまむ。するとアヤメは呼吸がままならないのか、時折手足をピクつかせ、「ふがっ!…ふがっ!」っとなって……



「――…っ、ぶはっ!」



起きた。


起きたアヤメは、息を乱しながら辺りをキョロキョロ。



「おはようございます、アヤメ」

「…あ、ミネア。おはよ」



笑顔で挨拶を交わす2人に、リグルはポカーン。



「主君への起し方じゃない…」


「うっし。じゃあアラーケ起すぞー?」



っと言って、アラーケのベッド脇で拳を鳴らすシャクル。するとリーシェはキリのベッドに歩み寄っていく。



「ならワタシはモルハスのおじ様かしらね」



その光景に未だポカーンのリグル。



「お、おい…何をする気な――…」

「せぇ~のっ!」

「おっ、おい!!」



「ッ!?…ふぎゃぁあぁぁぁ~ッ!!!!」



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