表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MOTHER・LAND  作者: 孝乃 ユキ
Episode.08 奪還
85/122

P.085 勝利へ(2)


「だァァァッ!!」

「ぬんッ!!」



ユーネの拳、カーレンの薙刀(なぎなた)がマーズ隊兵士達を次々に吹き飛ばしていく。



「な、何て強さだ…」

「怯むな!!砲撃を続けろ!!」

「弓矢隊前!!」

「おのれ…」

「撃てェェェッ!!」




 スドォォォォォンッ!!!!




2隻の軍艦から放たれる砲撃が、大聖堂ザーバスの建物を破壊していく中、その軍艦から兵士が次々と砂浜に降り立ち向かってくる。



「反逆者共はまだ建物の中だ!建物もろとも焼き払え!!」

「ちょっとアンタ達!砲撃をヤメなさい!!まだ中にリグルがいるの――…ってうわぁ!!」



咄嗟に駆け出すユーネの肩を掴み止めるカーレン。



「ならん!!我らが正門を離れ、進入を許す訳にはいかぬ!!」

「でも!」

「隙だらけだァ!!」



向かい合う2人に数人の兵士が斬りかかる。瞬時に構えるカーレンだが、その前に飛び出したのはユーネ。



「どこが隙だらけよォ!!」



滞空のまま一瞬で間合いを詰め、拳を振り切るユーネ。顔面に炸裂の拳は止まらず、残る兵士を巻き込み吹き飛ばす。



「どあぁッ!!」

「邪魔なのよ!アンタらァ!!」




 ズドォォォォンッ!!




しかし無情にも放たれていく砲撃。



「ちょっとまたぁ…!!」

「いちいち動揺するなバイスン小隊長!我らに出来る仕事はこの門の死守だ!!」

「は、はい!!」



再び構えるカーレンとユーネ。



「あんたは絶対私が守るからね…リグル」







 砲撃の振動はアヤメを救出した後の空間にも伝わっていた。



「何ですか、この揺れは…」

「さぁな…下で何かが起きてやがんのか…」



くすむ金の床が揺れる度、足場が崩れるのでは!?っというような軋む音がする。



「何が起きてんのか知らねぇが、ヤバそうだなこれは」

「確かにそうですね…早くここから脱出しましょう」

「だな。行くぞアヤメ」

「あ、うん」



シャクルの声に頷くアヤメだが、すぐに俯き足を止めた。そんなアヤメに、ミネアと共に動き出していたシャクルが気づき振り返る。



「どうした?アヤメ」

「どこか痛むんですか?」

「…ナックの事…」



俯いたまま口ごもるアヤメ。言いたい事はわかっていた。シャクルはアヤメに歩み寄り、伏せる頭を優しく手を置いた。



「…戦わなきゃいけないの…?」

「あぁ…」



するとシャクルの手を乗せたままのアヤメの頭が上がり、今にも泣き出しそうな視線がシャクルに向けられる。



「そんなのイヤだよ…ナックとなんか、戦いたくないよ…」

「………」

「シャクルだってそうでしょ?シャクルにとって、ナックは家族なんでしょ?だったら…」

「…アヤメ」



名を呼びながらアヤメの体を抱き寄せた。一瞬キョトンとするも、その胸に頬を寄せるアヤメ。



「本音を言えば、俺だって戦いたくはない…でもな、家族だからこそ…俺がやらなきゃいけない事なんだ…」

「………」

「俺がもし、この先道に迷い、倒れそうな時は支えてくれ…」

「シャクル…」

「これからの戦いは、お前の支えが無ければ乗り越えられない…」



今までとは違う、小さな"弱さ"を見せたシャクル。アヤメを抱く腕が、少し強く体を抱き締める。アヤメは目を閉じシャクルの体に腕を回した。



「うん…わかった…」



再びシャクルの手がアヤメの頭を撫で、そして視線はミネアに向いた。合わせた視線に、ミネアは悟ったように頷いてみせる。



「大丈夫です…わたしもいますから」

「頼むわ…ミネア…」



本当の意味での仲間と信頼…そんな気持ちが詰まったシャクルの表情に、ミネアも優しく微笑み返す。



「…はい」




 ズウゥゥゥゥゥン!!!!




互いに向き合う中、再び襲う砲撃の振動に3人の立つ広間が大きく揺れ、ゆっくりと傾きはじめた。



「マズいっ…!話してる場合じゃねぇ!走るぞアヤメ!ミネア!」

「う、うん!」

「はい!」



出口のある螺旋の下り坂に向かい走り出す3人だったが、周囲の薄い赤の(もや)が突如ガラスにヒビが入ったように白い歪な筋を走らせた。



「な、何よこれぇ!?」

「まさか空間が…崩れていくのでは…!?」

「嘘だろオイ!あのバカみたいに長い坂下って行かなきゃなんねぇのに…間に合うのかよコレ!?」



足場は既に10度以上は傾いているであろう。アヤメとの戦いで削れた破片が床をゆっくりではなく、転がり落ちていくようなもの。その破片に逆らうように、傾いた床を駆け上がっていく。



「うわぁ~あ~!もうここが下り坂じゃんかぁ~!」

「上り坂ですってアヤメ!」

「どっちでもいいから走れ2人共!」




 ズウゥゥゥゥンッ!!




再び大きな衝撃が空間を襲い――…




 …――ビキッ!! バギバギバギッ!!!!




激しい縦揺れと共に広間を支えていた螺旋の坂が割れ、支えを無くした広間が一気に傾き落下する。



「うわぁぁぁぁぁぁッ!!」

「いやぁぁぁぁぁッ!!」



垂直になりゆく足場と共に落下していくアヤメ達。



「くそっ…!」



落下の中、シャクルの下ろした視線の先に映るもの――…



「っ!ミネア下だ!!」

「えっ!?…あっ、あれは!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ