P.047 魂の対話と"闇"(2)
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『―――…ヤメ…アヤ……メ…ヤメ…アヤメ…聞こえますか?アヤメ』
『…ん?……誰?』
『ようやくですね。私の声が届いたのは』
『ほぇ?…誰なの?あなた。それに…ここどこ?…真っ暗で、何も見えないし…』
『ここはあなたの…萱島アヤメの意識の中』
『意識の…中?私の?』
『そうです。そして私は、あなたに宿りしもう1つの魂』
『もう1つの…って事は!?』
『初めまして、っと言うべきでしょうか?エルセナです』
『エ、エルセナ!?ほ、本当に私の中に…』
『アヤメ。あなたは目覚めてしまった…最後の霊召士として』
『最後って…私がって事?』
『あなたには、霊召士としての血が繋がっていません。ヒトとしての体に、私の魂が入り込んだ身……つまり私が宿る事で、能力を使えるだけです。この能力は後世に紡がれる事は無い。つまり、これが本当の最後…』
『え、じゃあ…冥王を倒すチャンスも、これが最後?』
『はい、最後となります』
『じゃあ…絶対失敗出来ない、って事だよね?…そんな、私なんかじゃ…』
『迷いや恐れは当然です…ですが迷ってはいけません。恐れてもいけません。世界の為に』
『………』
『…こうして話せる機会は、もう無いかもしれない…それに時間も…』
『…時間?』
『早く気づくのです。闇はすぐ傍に…あなたの近くにいます…』
『私の近くに闇?えっ、それってどういう事?』
『やはり気づいていませんか…---を信用してはいけません』
『え?何?誰を?』
『---です、---』
『え?聞こえないよ…誰をなの?』
『力で名を消しましたか…あなたは---に近づきすぎた……ここまできてしまったようですね…』
『ちょっ、ちょっと…怖い事言わないでよ…』
『どうやら私の口からは伝えられないようです。ですから、あなた自身が気づくのです…本当の闇の存在に…』
『私自身がって……近くにいる闇なんて、まさか…』
『もう時間のようです…』
『あ、エルセナ!!』
『勝ちましょうね…この戦い…この運命に』
『待って…待ってよエルセナ!!闇って何?近くって?ねぇ!ねぇ待ってよエルセナ!!』
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「エルセナッ!!」
ッ…ゴッ!!
「ふぎゃあっ!!」
突然襲った鈍痛と悲鳴。
ベットから起き上がったアヤメと、ズレた布団を直していたミネアの頭が激突したのだ。
「い…痛い~…」
「だ…大丈夫ですか…アヤ…メ~…」
2人はお互い額を押さえて蹲っている。その光景を見ていたカムラが心配そうに歩み寄る。
「大丈夫かい?2人共…って、アヤメさん。早く手をどけてやらないと、ナック君が潰れてしまうぞ」
「ほぇ?…わぁ!」
額を摩りながら視線を下ろすと……起きた体を支えている左手が、隣に寝ていたナックの顔面を押し潰していた。
「む…むぐ…っ…」
「ごっ、ごめんナック!」
慌てて手をどかす……が、そのどかした手が立ち上がるミネアの鼻に見事にヒット。
「あ痛っ!」
「あ~ごめんミネア!」
「ふがーっ!殺す気かマスター!!」
「ひゃあ~ごめんなさぁ~い!!」
「賑やかなメンバーだな…」
(近くの闇……本当に近くにいるの?まさかこの中に…じゃないよね?エルセナ…)




