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MOTHER・LAND  作者: 孝乃 ユキ
Episode.03 世界への船出
33/122

P.033 大陸脱出(3)

「どりゃあぁッ!!」



橋の袂に到着したアラーケは交戦中。複数のランティ城の兵士達も一緒だ。



「いったい何匹いやがんだよコイツら!?」



すると突然アラーケの頭上を、風を切るような音と共に2メートル程の金色の鳥が通過していく。


新手か!?っと見上げた視界に、上空から舞い降りてくる人影が映る。見つめるアラーケの瞳が一瞬で見開いた。



「ミ、ミネアちゃん!?」



なんと舞い降りたのは、両手にトンファーを握り立つミネアだった。ミネアはアラーケを見るなり「あっ」っと表情を驚かせる。



「あなた…アラーケ?」

「ハハ…こんなイケメン、おれしかいないっしょ?ミネアちゃん」

「ふふっ、変わってないわね」

「そーゆーミネアちゃんは、変わったって言うか、実ったね?」



そう言ってアラーケは、大きめなミネアの胸を指差しケラケラと笑う。…っと、ミネアはアラーケの鼻をつまみ、そして捻る。



「いたたたたたぁ~!」

「変態…」



するとそのミネアの肩に、いつの間にかナックが立っていた。



「無事到着したね?」

「はい、ありがとうございますナック様」



未だ痛がるアラーケの鼻を捻り上げたまま、ナックを見て微笑むミネア。



「別にナックでいいって言ったじゃないか。じゃあ、ボクはマスターを捜しに行くよ」

「わかりました。ここは任せて下さい」



悲鳴を上げ続けるアラーケを横目に、頷き飛び去るナック。するとようやくアラーケを解放するミネア。



「いっ、たぁ~~…褒めただけなのにぃ~…」

「どこがよ。デリカシー無さすぎなのよ、昔っから――…」


「グルゥアァッ!!」



鼻を擦るアラーケの背後から、醜い奇声を上げたワーグが飛びかかってくる。



「アラーケ!!」

「どわぁ!!」



瞬時にミネアがアラーケに脚払い。コケゆくアラーケの頭上をワーグの剣が通過していく。


脚払いの体勢から身を反転させ、振り上げるミネアの蹴りがワーグの顎に炸裂。鈍い音を発て、腐敗で耐久性のないワーグの首が千切れ飛ぶ。



「大丈夫?アラーケ」



何事も無かったように平然とした様子で、アラーケに手を差し出すミネア。



「あ、ありがと、ミネアちゃん…ってこんな強かったっけ?」

「お城じゃいろいろあるのよ」



手を取り立ち上がるアラーケ。しかしすぐさまワーグ数体が襲いかかってくる。



「そうかい…城ってランティ城だろ?…城ってすげぇトコだな!」

「えぇ、とってもね!!」



ミネアのトンファー。アラーケのハンマーがワーグを弾き飛ばす。これを皮切りに、ミネアとアラーケの元にワーグの軍勢が雪崩の如く押し寄せはじめた。


続く戦闘の中、ミネアが口を開く。



「アラーケ、お父さんは?無事なの?」

「…3年前に病気で死んだ…!!」

「ッ!!……やっぱり…連絡無いからまさかとは思ったけどね…」

「連絡無いのはお互いに、だろ?…泣くなよ…今は、さッ!!」

「泣かないわ、よッ!!」



話しながらもワーグ達を叩き伏せていくミネアとアラーケ。


ランティ城の兵士達も徐々にミネアに気づきはじめるも、圧し寄せるワーグに手一杯。橋の交戦は激しさを増していった。




◆◆◆――…




 身を隠し、1人取り残されたアヤメ。



「絶対私忘れられてるじゃん…これ…」



隠れはしてるものの、シャクル達は既に近くにはいない。完全においてきぼりをくらったアヤメ。少しむくれた表情で、身を隠した大きな木箱から顔を覗かせると…



「あ…あれ…?」



目の前が暗い……ゆっくりと視線を上げると、1体のワーグが木箱の上からアヤメを見下ろしている。



「アハハハ~…うそぉ~ん」



ワーグは表情を動かさず、手にした槍を振りかざす。



「いやぁ~~っ!!」



思わず叫んで逃げ出すアヤメ。ワーグもその後ろを追ってくる為、とにかく全力疾走で逃げるアヤメの前方に、兵士と交戦中のシャクルの姿が見えた。



「シャクル~!!」

「っ!?…アヤメ!?」

「助けてぇ~!!」

「姫君!?」



兵士もアヤメの姿に気づく。そして追う後ろのワーグを見た瞬間、シャクルと兵士は競り合いを止め走り出す。


すると突然シャクルと兵士の間を光る棒状の物が通り過ぎ、アヤメの頬を掠めワーグに刺さる。



「ギャアッ!!」

「…へぇ!?」



振り返り、ワーグの額に刺さる光の矢を確認。



「この矢…」



シャクルも足を止めて振り返る。するとそこには矢を放ったナックの姿が。



「お待たせ!」

「…へっ。遅ぇよ、バぁカ…」

「アルシェン姫!!」



兵士がアヤメの傍に向かうも、アヤメは兵士の真横を走り抜ける。そのアヤメの背中を見送りキョトーンの兵士。



「ナック~!シャクル~!」



走るアヤメは勢いそのままにシャクルに抱きつく。



「お前またかよ…何で出て来たんだ」

「だって見つかったんだもん!てゆうかシャクル!私の事忘れてたでしょ!?絶対!」

「あぁ、半分忘れてた」

「素直に言うなーっ!てか半分て何よーっ!」

「まぁまぁ、いいじゃないか。マスターが無事だったんだしさ」

「あ、ナックありがとね!助かったよ」

「へへ、マスターの為だもん。…あ、そうそう。新しい仲間も連れて来たよ」

「ほえ?新しい仲間?誰、それ」

「今までの流れからして1人しかいねぇだろうが…ナック。この状況とアヤメを頼んでもいいか?」

「はいはい、OK」



笑顔で答えるナック。シャクルは頷き返して兵士に向いた。未だ戸惑いの表情の兵士から視線を外し、シャクルは抜き身の剣をそのままに、町と大陸を繋ぐ橋に向かい走った。


その背中を見送るだけの兵士は、ゆっくりとアヤメに歩み寄る。



「ア…アルシェン姫…?」

「へ?…あ、貴方は?」

「自分は、王国一等兵士【イエン】と申します…これはいったい…」



お尋ね者とされていたナックを肩に乗せ、シャクルとも親しいアヤメを見て、戸惑いを見せるイエン。



「貴女様はいったい…」

「そ、そんな事より!貴方こそ急ぎなさい!!」

「は、はい!?」

「私なんかよりも早く皆を助けなさい!!」

「しかし姫君…」

「私はもう逃げませんから!急いで!!」

「は、ハッ!!」



慌てたように敬礼をして走り出す。



「お~やるね~マスター」

「どう?お姫様に見えた?」

「見えましたよ、アヤメ姫」




◆◆◆――…




 リムドアを戦場としたワーグとの戦いは続き、町の中のワーグはほぼ殲滅に近づいていた。橋の袂の戦いは続き、アラーケとミネアの加わった城の兵士達の戦力は徐々にワーグ達を殲滅させていく。残りもあと僅か。



「アラーケ!!」

「お、シャクル!やっと来やがったか」



合流したシャクルはミネアの姿を確認。



「…無事みたいだな」

「はい、お陰様で」



ミネアに頷き返し、辺りのワーグの数を見渡す。もう50はいない…シャクルはアラーケの肩を掴む。



「頼みがある」

「えっ、頼み?おれに?」

「向こうにアヤメと小っこいのが1人いる。ウィビに乗せて飛べ」

「は、はぁ!?」

「いいから急げ!俺らの相手は化け物だけじゃねぇんだよ」

「え!?何言ってんだよ!?」



理解出来ていないアラーケから視線をミネアに向け、再びアラーケに戻す。



「俺達拾う事も忘れんなよ?」

「俺…達ぃ?」

「いいから早く行け!!」



そう言ってアラーケの背中を押す。



「おわぁ!?…わ、訳がわからん…」



首を傾げつつもとりあえず走り出すアラーケ。



「そう言う事でいいんだろ?ミネアさんよ」

「えぇ、構いません」

「了解。じゃあ残りを片づけますか」




◆◆◆――…




 一方アヤメとナック……ワーグは周囲に数体だけ。アヤメはナックの後ろで光の矢が次々とワーグを射抜いていくのを見守るだけ。



「よっ!弓名人ナック殿~!」

「いや~褒めても何も出ないよ~♪」



そして緊張感も消えていた……



「アヤメちゃーん!!」

「あっ、アラーケ」



そこに駆け寄るアラーケはナックを見て一瞬びっくり。



「カナフィーリン族…?にしちゃあチビ過ぎだな…」

「チビとは失礼だな!否定はしないけど…ボクは光の精霊ナック!」

「へぇ!?光の精霊!?うそ!?このチビが!?」

「チビって言うなーっ!!」

「あ~もういいから!この人はアラーケ。船の大工さんで、ミネアさんのお父さんのお弟子さんなの」

「じゃあ…ボクらの味方なの?」

「そう、味方よ。ウザい所もあるけど一応いい人よ」

「ちょっとアヤメちゃん…少々引っ掛かりがあるのですが…ってまぁいいや。とにかくシャクル命令だ。行くよ」



アラーケはアヤメの腕を掴み引っ張る。



「えぇ?ちょっ、ちょっとぉ」

「ほら、チビも行くぞ!」

「ボクはナックだって言っただろ!」

「じゃあナックこっちだ!早く!!」

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