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MOTHER・LAND  作者: 孝乃 ユキ
Episode.09 遊戯の町
102/122

P.102 謎のスケベじじい(2)

「この招待状はね、同時に推薦状にもなってるのよ。ほら、ハガキの下の方見てみて。名前を書くスペースあるでしょ?」



ユーネの言う通り、カーレンの名前なとが書かれた下には4本のアンダーラインが引かれた余白がある。



「そこに名前を書けば、チャンピオンからの推薦者として、最大4人までが無条件で出場出来るって訳」

「ほぉー…ってまさか、俺らに代わりに出ろって訳か?」

「いや『代わり』って訳ではないわよ。別に出場しなくてもいいんだし。ただ昨日、宮殿王から『足になる船を貸してくれ』って言われたんだけど…」



言葉を言いかけキリを見るユーネ。



「帝国の船はほぼ9割が軍艦で、客船は皇族仕様の為に、軍の我々では動かせないんです。すみません」

「いやいいんだ。無理を言ったのはこっちだからよ。確かに軍艦じゃあオレらの足にはならないからな」

「って事はユーネちゃん?まさかだけど…その闘技祭で優勝して、その賞金で新しい船を買えって事?」



すると「ビンゴ♪」っと言うように指をパチンっと鳴らし、アラーケを指差しウィンクを1つ。



「あ…彼女おれにホレたようだ…」

「へ?」

「あ~いやユーネ。コイツの勘違い発言だから気にするな…」

「あ、うん…で、今カーレン隊長本人は任務で留守だから、『本人外の証人として私が行け』っても言われてるから、もしシュバーラッツに行くなら私も一緒に行くわ。ちょうど任務もあるから、通り道だし。どうする?」



っとシャクルやアヤメ、キリなどに視線を向けるユーネ。するとキリはシャクルの背中を軽く叩く。



「おいやろうぜシャクル。闘技祭出てみたかったんだよ、オレ」

「ワタシも出たいわ、闘技祭」



キリと同様に食い付いてくるリーシェ。



「お前は暴れたいだけじゃないのかよ…」

「あら酷い。うら若き慎ましやかな乙女に対して失礼しちゃうわ」

「うら若き慎ましやかな乙女は、槍を振り回したりしないと思うが…」

「あらそうなの?」



キョトンとするリーシェにシャクルは呆れ顔。



「…まぁ何にしろ、億超えの賞金。4人まで無条件で出られるってのは、実際魅力的だよな…」

「出ちゃおうよシャクル。そしたら億万長者だよ、私達」



目を輝かせ、シャクルの腕を揺するアヤメ。



「何でもう優勝する設定なんだよ…世界中から強い奴らが来るんだぜ?良くて5割ってトコだろうよ」

「だから4人で出るんでしょ?シャクルとキリさんとリーシェ。あとは……ミネア!」

「わっ、わたしですか!?」

「っし、セーフ!」



驚くミネアに対し、両手を広げ天を仰ぐアラーケ。



「ちょっとアラーケ!こういう時は『男のおれが!』とか言うのが普通じゃないの!?」

「ザッツ一般(いっぱん)ピーポー!」

「わたしだって一般人の使用人(メイド)です」

「一般人の使用人(メイド)がトンファー振り回したりしないっしょー?」

「だったら一般人の船大工が、マザーのハンマーなんて振り回さないでしょー」

「あー姉弟ゲンカしてんなうるせぇな…何も絶対4人じゃなきゃいけないわけじゃねぇだろがよ」



シャクルの言葉にミネアは「すみません…」っと言って小さくなる。



「とにかくこの推薦状、ありがたく使わせてもらうわ」

「ならこれ食べたら出発よ。お昼前の定期船に乗らないと、今夜までの出場登録に間に合わないわよ」

「え?開催日はいつだよ?」

「明日」

「も、もう明日かよ…で、定期船の時間は?」

「ん~っと、あと…10…分?…っ!?10分!?」



時計に対し、絵に描いたような綺麗な2度見をみせるユーネ。



「っだとぉ!?」

「10分っておい…」

「急いで港に走りましょう!行きますよ、アヤメ!」



焦り立ち上がるシャクル達に対し、アヤメとリーシェは着席のまま。アヤメに至っては、大きなエビフライを口に運ぼうとしていた瞬間であった。



「ほら行きますよアヤメ、リーシェ」

「えーっ!このエビフライ楽しみにしてたのにぃ~」

「んなもん我慢しろ!馬車で走れば間に合うか?ユーネ」

「急げば5分で行けるわ。だから食後のデザートのチーズケーキでも――…」

「食後じゃねぇしっ!食う暇あるかーっ!!」



すると「サクッ」っという揚げ物をかじる音がし――…



「ふぁ、こにょへぇにふにゃにほおうぃふぃにょ(あ、このエビフライ美味(おい)しいよ)」

「ふぁふぁほぉんほぉ(あら本当)」



エビフライを食わえて口をモグモグさせたアヤメとリーシェが……



「お前ら食ってんじゃねぇーッ!!」


.

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