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その液体は【400文字】

作者: コスミ

時は西暦1591年ーー


一人の男が、湯の沸き立つ前に座していた。柔らかな闇を包む庵、手が覚えている茶道具、そしてこの静寂。

全てが懐かしい。


これまで、平穏な人生ではなかった。

30年連れ添った先妻に先立たれ、その翌年、再婚。息子達は相次いで夭逝した。


千利休……彼は、主君に切腹を命ぜられた。

そして今、最後の一服を喫する。


黒天目の宇宙に浮かぶ、その濃緑の液体こそは……




『健康青汁』







数年後。所変わって、英国の劇場ーー


ジュリエットは意を決して、仮死状態となる薬の入ったボトルを開けた。

命懸けの計略。全ては、愛する人と結ばれるため。


口にする、その液体は……




『健康青汁』




一時的に息絶えたジュリエットは、霊廟へ運ばれ安置された。

そこに事情を知らないロミオが駆けつけ、彼女の動かない身体を抱き起こす。

悲哀。慟哭。

まさに人生のどん底。その時、ロミオの手に触れたボトル……

一気にあおる、その濃緑の液体こそは……




『健康青汁』

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