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兄さん追跡調査 桃那View

どんどんキャラ崩壊。もっと色んな意味で崩壊した方がいいですね。


誤字修正しました。

あああ!注釈抜けてました…すみません。→廊下をうろうろしている兄さん

 ――これは、私に数日前にあったことだ。


「も、もう一度言ってみなさいよ!!」

「桃那ぁ~。お、落ち着いてね?」

「亜美うっさいっ! 邪魔するなら、その頭にお花突き刺すからね!」

「何で花!? そうじゃなくて、久くんが死んじゃうってば!!」


―バッ、ゲシッ!

 隔離部屋に半裸で椅子に縛り付けられている柳林久登――ド変態の首を私が掴んでいたので、それを放して思いっきり蹴り飛ばした。

 このド変態は「むぁいあひーっ!」と声を出しながら吹っ飛んだ。

 そして私は先ほどド変態から言われた事を口にする。


「兄さんが女に興味無いってどう言う事!?」

「ま、まぁまぁ……――ヒッ!」


 宥め様とする亜美のことをキッと睨みつける。

 私は今、兄さんのことについて聞くために、わざわざこの隔離部屋に隔離されているド変態の所までやってきたのだ。

 そして私は先ほど、このド変態にこのように聞いた。

「兄さんが私に興味持っているか知りたい」と。

 今まで色んなことをしてモーションをかけたが、兄さんはいつも無反応か紳士的に返すので、いろんな意味で心配になってきた。

 したことと言えば――兄さんの本棚を全部妹好きの成人コミックにしておいた。

 そして兄さんから返ってきた反応はこれだ。


『ダメじゃないか。こんなにエロ本なんて買ってきたら』


 分かってるよ! 私だってそんなこと分かってるよ! そうじゃなくてもっとこう、他に反応すべき所があるじゃない?

 妹とエッチする漫画だよ!?『桃那が俺の事をそんなに思ってたなんて、結婚しよう!』とかあるじゃない!?

 鈍感なのか、フィルターが掛かってるか分からなかったから、もっと積極的にしないとダメだと思って、後日私は自分の下着を兄さんの机に仕舞い込んだ。

 凄くドキドキとしたが……。


『桃那、俺の机の中に忘れ物だぞ』


 と言って私に下着を突っ返してきた。

 だから違うでしょ!? 私が、んなところに忘れる訳が無いでしょうが!! せっかくのお気に入りなのにその反応は無いでしょ!?

 もう手段なんて選んでられなくなった私は、お風呂上りにバスタオル一枚を巻いて、リビングで寛いでる兄さんに向かってこう言った。


『兄さん。お風呂空いたよー』


 もう谷間とか色々と思いっきり見えるぐらいに大胆に迫ってみた。

 相手が妹だとは言え、絶対に何か反応はするはず。

 でも兄さんはこちらも見ずに。


『ああ、分かった。風邪引くなよ』


 違うでしょうがーー!! せめてこっち見ろ! こっちを!!

 兄さんの視界に入るために回り込んだりしたけれど、全て避けられた。もしかして私って嫌われてるのだろうか。

 最後の手段として、私は目を瞑って決死の覚悟でバスタオルを剥いだ。

―バサッ!

 リビングで丸裸の私。

 バスタオルを剥がす音も聞こえたはずだし、いくらなんでも目に入るはずだ!

 恐る恐る目を開けると――。


『って、いねえぇぇーーー!!』


 目を開けると目の前には誰も居なかった。既に兄さんはお風呂へ直行していた。

 ここまで来たらもう女としてのプライドがズタズタだった。本気で泣きそう。

 そこで、兄さんがどうして私に興味を持たないのか調査する事にしたってわけ。調査をするために、まず兄さんの友人であるこのド変態の所に亜美を連れてここへ来たと言うわけだ。


「で、兄さんが女に興味無いってどう言う事?」

「それはそうだ。妹に興味が無い以前に、女に興味が無ければ納得の行動だろう?」

「に、にに、兄さんを変態にするなぁぁ!!」

「まぁまぁ……――ヒィィィッ!!」


 再び話を戻したが、いちいち亜美が邪魔をしてくるので、アイアンクローで黙らせた。

 ちょっと静かにしてろ。

 ド変態と亜美は幼馴染だからか、亜美の前では普通に話してくれる。亜美とは昔から仲が良いみたいだけど、私としては気色悪いとしか思えない。


「まあ待てそう言う意味じゃない。単純に性に対して興味が薄いから、男とも女ともそういう目で見られないのかもしれないってことだ」


「だからその手を離してやってくれ」と続いてド変態から頼まれたので、すごすごとアイアンクローを外す。

 最近どうも怒り易くなってるみたいだ。


「とりあえず、男に対してと女に対して性的に興味あるか調べるのが一番の近道だと思うぞ」

「うんうん。久くんさすがだね」


 亜美は半裸のド変態に笑顔を向けるけど、もう少し人を選んだ方が良いと思う。こんな所に半裸で拘束されてるぐらいなんだからね。

 でも、このド変態が言った言葉は確かに的を得ている。

 それでは兄さんの調査をしてみよう。



  * * *



「うーん……」


 私はぐるぐると渦を巻いている眼鏡を付けながら、廊下をうろうろしている兄さんの後を付け回した。

 兄さんは昔から考えながら歩くのが癖だから、何か考えているのだろうけど、調査の参考にはならなそうだった。

 柱の影から見守っていたが私以外で付近にこそこそと、兄さんの様子を見ている女子生徒を発見した。

―メキッピシシッ。グイッ。


「ヒエエエッ、は、放してくれー!」


 気が付いたら通りがかった男子生徒の襟を思いっきり掴んでいた。

 あまりに叫ばれると兄さんにばれるのですぐに手を放した。手を放すと男子生徒は転びながら逃げ出した。何をそんなに怖がっているのだろうか。

 先ほどまで何とも無かった柱が今ではヒビの入っていて、私はその柱の影から再び覗いた。

 するといつの間にか、先ほど一緒に覗いてた女子生徒が兄さんに声を掛けようとしている。


「あのっ! 柿つば――」

「ん…? あれ? 今誰か俺を呼ばなかったか?」


 キョロキョロと兄さんは周囲を確認しているが、誰も居ないのでそのまま歩き始めた。

 どうやらばれなかったようだ。


「むぐーっむむーーっ!!」


 私の腕の中で先ほど捕らえた女子生徒が暴れる。

 でも――……お仕置きはしなくっちゃね?


「むむぅぅぅっっ!むぅむぅっ!!」


 更に暴れ出したけれど強引に連れ去ってお仕置き。

 お仕置きを済ませた女子生徒を女子トイレに置き去りにしたまま、再び兄さんの後を付ける。

 追い付いたら、また他の女子生徒の毒牙に掛かっていた。


「あ、柿椿く――」

「ん、なんだ?」

「うわっ!? え? いや、何が?」

「何がって、俺に用事があったんじゃないのか?」

「い、いや用事なんて無い!」


 私はそこら辺の男子生徒を捕まえて、兄さんに話しかけている女子生徒と素早く入れ替えた。

 私の腕の中でタップする女子生徒がいるが、そのまま女子トイレに運んでお仕置きした。

 その後も毒牙を払いつつずっと兄さんを追跡したけれども、何事も無く一日が終わった。



  * * *



――帰宅。


「ただいまー……」


 結局、更衣室や男子トイレまでも上手く追いかけたけれど、何の情報も得られなかった。

 ここまでくると、本当にそう言う物に一切興味が無いのかもしれない。


「ああ、おかえり桃那」


 兄さんの後を追いかけた訳だから、先に兄さんが家には居て当然。ただ兄さんは既に着替えを済ませていた。

 この後も兄さんの後を追い回すか、久々の"あれ"をするか悩む。


「しばらく帰って来ないけど、夕飯には帰って来る」

「しばらく帰らない!? ほ、ほんとに?」

「あ、ああ? そうだが……」

「う、うん。いってらっしゃーい!」

「行って来る」


 本当は後を追いたかったけれど、しばらく帰らないと言う言葉に引っ張られて、兄さんを見送った。

 そして私は自分の部屋に――ではなく、兄さんの部屋に突撃。

―ガチャッ。


「お邪魔しまーす!」


 兄さんの部屋には誰も居ないのに元気よく挨拶をして、地べたに這いずる。ここで返事が返ってきたらまさにホラー。

 すかさずベッドの下をチェックするものの、ベッドの下には本が積まれているなんてことは無かった。

 ゴミ箱や本棚も隈なく調べたけれど、痕跡や大当たりなども一切見つからない。


「ここまで来たら本当に病気じゃないのー……?」


 私は絶望した。きっと私も病気なんだろうけど自分のことは棚にあげている。

 男が隠してそうな所を、端末から検索を駆使して調べつくしたけれどやはり見つからない。


「もう、ダメなのかな……。っ! あ、あれは!!」


 私の視線の先にはなんと、脱ぎっぱなしの兄さんのワイシャツがベッドの上に無造作に置かれていた。

 すぐさま手にとって、チェック。匂いと毛が付いてないも厳しくチェックしたが異変無し……。

 害がない事を調べ終えた私は制服を脱ぎ出してパンツ一枚になった。そしてワイシャツを羽織る。


「うわー、ぶかぶかだー!」


 そのままベッドでごろごろと転がる。双子でも男女の体格差はしっかりと出ているため、ワイシャツはぶかぶかだった。

 こうして、脱ぎ捨てた後のワイシャツを着ると、まるで兄さんに包まれた気分になる。


「うーん…、兄さんの匂い……」


 ワイシャツを羽織ったまま、少し楽しんでいたら疲れでうとうととしてきた。

 制服を脱ぎっぱなしだったけれど、眠気に勝てない私はそのまま寝てしまった。




「ただいま」


 兄さんの声が遠くから聞こえた気がする。

 いつの間にか私は寝ていたようで、ぼけーっとしながらそんなことを考えていた。

―トントントンッ

 階段を登る音が聞こえる。きっと兄さんだろう。

 私はてっきり自分の部屋に居るものだと思って、そのままギュッと体を丸めて再び眠りに付こうとした。

―ガチャッ。

 なんで私の部屋のドアが開くのだろう? と、そちらを見ると兄さんがこちらを見ている。こんなにじっくりと見られるのは久しぶりだろう。


「兄さん……? おかえりー……」


 声を掛けた私の前には、とても驚いた兄さんが居た。兄さんが驚いた顔をするなんて、生まれて初めて見たのかもしれない。

 私は起き上がって、ベッドの上で座ると自分の格好を見下ろした。

 今の私は兄さんのワイシャツをパンツ一枚で着ていた。

 やばい。兄さんにこの姿を見られてしまった!!


「に、兄さんっ! こ、これはね!!」


 何か言い訳しようと必死に考えたけれど、何も浮かばなかった。いくらなんでもこんな変態な妹はきっと嫌われてしまうかもしれない。


「も、桃那……」

「うっ! 兄さん、違うの! これはえっと、違うの!!」

「うわぁぁぁぁーーー!!! 桃那が穢れてしまった!!!」

「け、穢れるって何よ!? って、わっ!! 兄さん!?」


―バタァァンッ!!

 盛大な音を立てて兄さんが崩れた。と言うか倒れた。


「に、兄さん!? 兄さーーん!!!」


 そして数時間後、目を覚ました兄さんは何も覚えていなかった。




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