咲かない花
花が、枯れてしまった。
初めて芽が生え、大切に育てた花だった。水が足りなかったのだろうか。それとも、与え過ぎたのだろうか。時間が経てばいつかは枯れる。それは知っていた。でも、あまりにも突然、枯れてしまった。咲いている姿すら、思い出せない。
それから私は花を育てることをやめた。咲いた花を見つける方がよっぽど楽だから。
多種多様、色取り取りの花達を見ていると、それなりに楽しい。手に取ればもっと楽しい。これでいい。これでいいじゃないか。苦労する意味。一生懸命になる意味。そんなものはない。枯れたらそれでおしまい。
ある時、種を見つけた。この花は咲くだろうか。咲いたら持ち帰ればいいし、咲かなければそれでいい。そう、いつものように。
何気なくその種を調べてみると、あることに気付く。あれ、この種ってもしかして…。気になってもっと調べる。考えてみる。思いが確信に変わる頃、種に芽が生えていた。
花はまだ咲かない。
芽が生えただけでも嬉しかった。水を与えたほうがいいだろうか。日に当てた方がいいだろうか。室内がいいだろうか。外がいいだろうか。鉢に植えたほうがいいだろうか。考えることが楽しかった。
花はまだ咲かない。
でも、それだけじゃ足りなくなってくる。咲いた姿を見てみたい。水を与えたい。日にも当てたい。そもそも咲く花なのだろうか。無駄に終わるのではないか。苦労して悩む意味はあるのだろうか。
花はまだ咲かない。
時間が経てばいつかは枯れる。
それは知っている。
花はまだ咲かない。
だから、今度こそ、
精一杯育てて、今度こそ、
咲かなくても構わない、今度こそ、
花はまだ咲かない。
「君を写真に残そう。」




