始まる波
「あいたいの」
まだ幼稚園くらいの俺は、時々真夜中に泣きながら母親に抱きつくことがあった。
「誰に会いたいの?」
「ともの、はんぶんにあいたいの」
「半分?お兄ちゃんのことかしら?」
「にーは、違うの!ともは、だいじなはんぶんにあいたいの」
母親が何度も聞き返しても、ただ、半分としか答えることができない俺。いや、心では分かっているが、言葉に表現することができなくて、ただ泣くことしか出来なかった。
その『半分』が何なのかが理解できたのは、それからしばらくたってからだった。
フラフラと一人で家を出て、行き先もわからないままバスに乗って、たどり着いた知らない町。
一人でいることに不安になったわけではなく、ただ、自分の求めるものがわからないもどかしさで、男の子は公園のベンチで膝を抱えて泣き出した。
しならくそうしていると、不意に話しかけられた。
「どうして、ないているの?」
「とものはんぶんが見つからないの」
「なにかなくしたの?いっしょにさがそう」
その言葉に顔を上げると、自分と同じ顔をした同じくらいの年頃の男の子が立っていた。
二人は見つめあい、そして、泣いていた男の子が呟いた。
「・・・見つけた。とものはんぶん」
そういって抱きつくと、とても心が満たされるような温かい気持ちになった。
「じゃあな」
バス停の前で行き先が異なる友人と別れて、俺は歩き始めた。
俺の名は笛吹那里、18歳。岡部学園高等部の3年生になったばかりだ。ちなみに、彼女はいない。
いつもは駅までバスを使うが、今日は歩きたい気分だった。メインのバス通りを歩かずに、さらにバス通りから一本奥に入った道を歩き、公園を通り過ぎ住宅街を抜けて川原近くの土手へと向かう。
こういうことをすると、大抵面倒なことに巻き込まれるので自重はしていたが、時々自分でも不思議なくらいこういう行動を取ることがあった。
しかし、土手を歩き始めてすぐに俺は自分の不用意な行動を後悔した。十五分前の自分の首根っこを掴んでバスに投げ込みたいくらいだ。
土手を挟んだ住宅地側には、満開を通り越し緑が占める割合が多くなった桜の木が何本か立っていた。その中に一本だけ、新緑の葉がお情け程度にしかついてないものがあった。
何らかの事情で枯れかけている桜の木だ。しかも、そこに俺の後悔の元が立っていた。
俺は『普通』ではない能力を持っているのだ。
漫画や小説とかに陰陽師っていうのがあるだろ、安倍清明とか芦屋道満とか。俺の一族は表の世界には出ない主に従えてきている陰陽師なのだ。
残念なことに俺の能力は『見る』だけだった。『何か』が見えてもそれを救うことも祓うことも出来ない中途半端な能力。だけど、その見え方がハンパない・・・例えるならば、『見る』だけならスポーツカー『その他』は自転車・・・いや、三輪車かといった極端な能力なんだ。
そういうわけで、誰もいないはずの枯れかけた桜の木の下に人が立ってるのが見えてしまっていた。
触らぬ神に祟りなし。
そのまま、気がつかない振りをして桜を通り過ぎた俺の前に、桜色の着物を着た少女が現れた。漆黒の髪は腰まであり、その顔は動揺してしまうほど俺の知っている人物にそっくりだった。
「用があるなら、悪趣味な外見をどうにかしてから俺に話しかけろ」
「初対面なのに、ずいぶんと態度が悪いじゃない」
少女は少しだけ頬を膨らませて、俺を見た。
「今までこういうシチュエーションで良い事なかったからね。それで、桜の精が俺に何の用?」
「誰かと話をしたかっただけよ。まさか、あなたが通りかかるとは思わなかったけど」
少女は苦笑する。俺は黙って半歩下がって桜の精と距離をとった。
「そんなに警戒しないで。私が『桜の精』だってあなたはわかっているでしょ。私たちは鳥や虫やすべての自然と繋がって、彼らが見て聞いたことが伝わってくるの」
「じゃあ、知っているだろ。俺が役に立たないことも」
「ええ。私がして欲しいのは話し相手だから、あとの能力は要らないのよ」
桜の精の表情を見る限り、嘘をついてるようにはみえなかった。
「・・・話を聞いてやるから、その姿は止めてくれ」
「それは無理」
桜の精は即座に否定する。
「あのな、悪趣味にも程があるだろ。俺に対して悪意がないと言ってるけど信憑性がなさすぎる」
「可愛くないかしら?」
そう言って可愛らしく首を傾げる。
ほんと、ドストライクの顔でそれをやられると困るんだけど、付け込まれるのも困るので、俺は腕を組んで睨み返すしかなかった。
「私たちって実体がないの。だから、あなたの心を占めているイメージを拝借したの。どうせ話を聞く間だけなんだから、いいじゃないの。可愛い方がいいでしょ」
開き直る桜の精に、俺は大きな溜息をついて桜の木の下に座り込んだ。
「わかったよ。その姿を悪用したら即座に祓うからな」
桜の精はにっこりと笑って、隣に座った。
「昔は、もうちょっと話せる人がいたのよ。大人も子供も。最近は、ここを通る人も少なくなったし、話せる機会も少なくなったわ。ここでずっと色んなものを見て、話して、彼らと共有してきたわ。幸せだったり、悲しみだったり、痛みだったり・・・もう少しここにいたかったけど、無理みたいなの。ここ何年か花の咲く量が減ってきていて、人間が樹木のお医者さんっていうのをよんでくれたけど、なんか難しいみたい。春が終わったら切り倒されることになったの。もうすぐ私は消えるわ」
「恨みでも?」
「いいえ、ないわ。寂しいだけ。私という存在がここにいたことを憶えていて欲しくて話をしたかっただけなの」
桜の精の言葉が途切れる。俺は顎に指を当てて考え、一度頷いて桜の精に顔をむけた。
「お前、人の型が取れるくらいだから霊力はあるんだろ?桜の木だって再生は難しいのであって、無理ではないんだろ?だったら、選択肢が二つある。『このまま朽ちる』か『俺の使役になって生きる』かだ」
「『使役』?」
聞きなれない言葉に、桜の精は首をかしげた。
「そう。笛吹の直系のみに許された『四季』っていう守役があるんだ。春夏秋冬全部で4人の能力者が俺をサポートするんだけど、半人前の俺は『秋』以外空席だ。おまえが望むなら『春』に席を用意する」
桜の精の返答をまたずに、携帯電話をとりだし会話を始めた。
「あ、雅樹?俺々。あぁん、誰がオレオレ詐欺だよ、主人の声くらいわかってんだろ。ああ、桜の樹と『春』をもって帰るかもしんないから、職人呼んできて。ばか、植木職人だよ。え、何でって?それは、こっちについてから説明する」
通話を切ってカバンにしまう。
「私は何をさせられるの」
桜の精は不安げな表情をしている。それはそうだろう、いきなり俺のものになれとか言われたら誰だって不安になる。
「主に俺のサポート。見えるだけの俺のために力を使ってもらうし、俺と一緒に上司の戦いに参加してもらう」
「それって、あの方々の戦い?」
「命令が下ればね。だから、綺麗な道ではないよ」
桜の精はじっと俺をみた。
「もし、私が嫌だといったら?」
「何も。このまま家に帰るだけさ。君の存在はイレギュラーだからね。もともといたものじゃないし、誰も困らないよ」
そういって、肩をすくめる。俺に従わないのは、人であれ妖であれよくあることだから気にはしないと笑う。俺が求められないのは当たり前だから。
「私を求めているのか、そうじゃないのかわからないわ」
「おまえが、もう少しここに居たいと言ってだろ。それに対して俺がしてあげられるのは、血生臭い道か、消える道かの二種類しかないんだ」
自分にはそれ以上の力はない。
「それと、使役になるならせめてその外見変えてくれないかな。あいつとそっくりで、困るんだ。最悪このままだと俺が母さんに殺される可能性が高い」
「無理よ、固定しちゃったもん」
彼女は悪びれた様子もなく返してくる。桜の精は若干髪や目の色は異なるが、俺の大切な人と同じような外見をしていた。反論しようとした瞬間、車の止まる音がして、俺らに向かって誰かが歩いてくるのが見えた。
「馬鹿大将、お待ちかねの下僕がやってきましたよ」
人を食った口調のダークブルーのスーツを着た青年が俺の前に立った。茶色のフワフワした短髪と、人懐こい表情をしたこいつは俺のたった一人の守役、『秋』の名を持つ|藤井雅樹≪ふじいあき≫。
「なんだ、お前だけじゃん。植木職人はどうしたんだよ」
「いきなり手配できるか、馬鹿。とりあえず今日は結界を張っておいて、明日本職が取りに来るようにしておきました。まったく、どれだけお手軽に引越しできるとおもっているんですかね」
わざと大きな溜息をつきながら肩をすくめた。そして、俺の隣に立つ桜の精に視線をむける。
「俺は『秋』の雅樹。これからは同僚になるのかな、よろしくね。さ、契約を結んじゃいましょうか」
雅樹は手に持っていた鞄から荷物を取り出す。
「あ、まって、雅樹。まだ、契約まで話がいってない」
その言葉に雅樹は眉間にしわを寄せる。
「あんた真性の馬鹿ですか、ええ馬鹿でしたね。ワタクシすっかり忘れていましたよ。この機会を逃したら、あんたをサポートする奇特な存在が現れませんよ。とっとと言いくるめて契約しちゃってください」
どこから聞いても悪徳商法的な台詞である。その言葉に桜の精は腹を立てるどころか、苦笑を浮かべていた。
「あなたの部下は自由奔放ね。面白そうだから契約するわ」
「貴女とは意見が合いそうですね。では準備します」
そういって、雅樹は桜の精を中心として、地面に文字と記号を書き始める。
準備が整うと、桜の精と向かい合って彼女の額に手をかざした。
「始める。笛吹那里の名において契約する。桜の精よ、汝の名において笛吹那里の四季として終世・・・いや、笛吹那里の四季として我が命ずる期限まで・・・」
俺の声を遮る様にして、雅樹と桜の精の声が入る。
「なにいいだすんですか」
「なにいいだすのよ」
「え?」
言われた俺はわからないといった表情をして二人を見た。そんな俺に、二人は畳み掛けるように言葉を重ねる。
「何度も言ってますよね、『四季』を得ようとしてんのに、永久就職させないってどんだけ馬鹿なんですか」
「そうよ、私があなたと一緒にいるっていったのに、どれだけ私の覚悟を軽くとらえているのよ」
「ほんとデリカシーがないですね。だから、いつまでたっても彼女が出来ないんですよ」
「それは関係ないだろ。ってか、もしかしたら、こいつにもっといい相手がいるかもしれないだろ」
「いたら、とっくについてってるわ。そんなに、自分に自信がないわけ」
「それも、ある。俺の力は強くないから」
苦笑を浮かべた俺のネクタイを、桜の精は掴んで自分の方へと引き寄せる。
「だ・か・ら、それを私が補ってあげるって言っているの。貴方の最後まで付き合ってあげるわ。だから、私に名を与えて。」
真剣な桜の精の表情に、俺は泣き出しそうな笑みをうかべる。
「ありがと。・・・汝に我、笛吹那里の四季として名を与える『咲麗』」
一瞬だけ眩しい光がその場に浮かんだ。
「で、なんで小さくなるかな」
光がおさまり、契約が済むとその場に立っていたのは小学低学年くらいの少女だった。最初に俺の前に現れた姿から、軽く半分は縮んでいた。
「なんでかしらね」
「実体化は力使いますからね。普通だったら術者の補助があるんですが、あんたの力は助けになんないでしょ。百パー自分の能力で実体化することになると、こうなるわけです」
「はいはい、全部俺が悪いんですよ」
「確実にそうなんだって。さて、桜の木を保護したら家に帰りましょう」
雅樹が運転する車に乗り込み、俺の家へと向かう。
途中、雅樹の携帯がなり、その音楽に雅樹が軽く舌打ちをする。そして、車を止めて自分だけ外に出て電話をかけなおしていた。
車内からでは話の内容がわからないが、表情を見る限りではいい話ではなさそうだ。
「奏詩様よりお話があるそうですよ」
戻ってきた雅樹はそういうと、家とは反対の方向にハンドルを切った。
家から少し離れた公園に到着すると、一台の黒い車が先に止まっていた。俺たちに気が付くと、運転席のドアが開き一人の男が現れた。
「奏詩様がお待ちです。那里殿だけいらしてください」
「わかった。んじゃ、行ってくるわ」
そう返して、俺は車を降りた。男が後部座席のドアを開けて、中に乗り込むよう促した。
「久しぶりだね、那里」
後部座席の奥に座っていたのは、長い髪を後ろで一つにまとめた、柔和そうな顔付の男性。4歳年上の俺の兄だった。
「久しぶり、奏兄。こんなとこに来るってことは気付いちゃった?」
「本家は祭状態だよ。まったく、先に私に相談してくれたらよかったのに」
兄は大げさにため息をついた。
「うん、まぁ、その…。即決だったから、相談する余裕もなかった。それに、相談したところで反対されるのがオチだろ?」
「守役に妖が就くのは余り例がないからね」
「奏兄だって守役にいるだろ。近くに例があるけど、まぁ、俺だしな。『妖のものに操られているのではないか』とか『制御できるのか』とかぜってー反対されると思う」
「どうして、守役にしたんだい?」
「あいつの必要とされたがってた姿が…」
「自分と重なった?」
奏兄の目を見て、苦笑を浮かべつつ頷いた。
「なってしまったものは変えられないからね。私からも彼らには言っておくよ。ただし、査問会は開くよ。詳細は後で連絡するからね」
「わかっている」
「で、ここまでは当主としての話。ここからは、那里の兄として話すよ。あそこは、箕輪の収める地区なんだけど、あいつあんまり才能ないんだよね。だから、あの子にも気が付かなかったんだと思う。そこんとこ、いい感じに突けばうまくいくんじゃないかな」
「奏兄…。弟の俺が言うのもなんだけど、ヒドイな」
「そう?可愛い弟へアドバイスだよ。さて、可愛い守役が心配しているみたいだから、そろそろ帰してあげるよ」
兄に言われて窓越しに外を見ると、咲麗が不機嫌そうな顔をしてこちらを見ている。もちろん、窓にはフィルターがついているので向こうからは見えない。
「本当に、お前は妖に愛されやすいな」
そういって、兄は笑った。
「ただいま」
家のドアを開けると、玄関に母親が待っていた。
「あらあら、可愛いお嬢さんね。女の子も欲しかったのよね。その外見は那ちゃんの趣味かしら。もうちょっと理性が働く息子だとおもっていたけど、お母さん、心の底から息子の未来が心配だわ」
弾丸トークで話す母親には俺の突っ込みが届かない。しかし、突っ込むところが咲麗の外見だけなのは、彼女も能力者だからだ。
「息子を変態扱いしないでよ、母さん。こいつは、俺の『春』の咲麗」
「咲麗です」
ぺこりと頭を下げる少女に、母親は優しい笑みを浮かべる。
「よろしくね、咲麗ちゃん。でも、いきなり、『四季』にしてしまうのには気が早かったんじゃない。 『四季』を認定するのには色々と規則があるのは知っているでしょ?」
心配しているような言葉だが、母親の表情はにこにこしたままだ。きっと、面白がっているのだろう。
「わかってる。どうせ、明日は査問会があるんだろ」
「わかってやっているならいいわ。頑張りなさい」
翌日、学校が終わって校門を出ると、笛吹からの車が門の前に止まっていた。
そのまま咲麗と共に笛吹の本家にいって、本家の重役と自分の兄である長に今回の経緯を説明した。面倒だったのは、手続きやらしきたりやらを重視する重役たちへの対応であったが、兄の意見もあってか最終的には納得せざるおえない方向に向かって、無罪放免(とまではいかないが、次回は必ず相談してからとか色々といわれた)で咲麗は那里の『春』として。そばにいられるようになった。
帰りは雅樹の運転する車に乗って、咲麗と三人で家に向かっていた。
「ごめんな、査問会で咲麗のこと悪く言って」
隣に座る咲麗の頭を軽く撫でて謝罪の言葉を口にする。
「本心じゃないのはわかっているから、いいわよ」
咲麗はにっこり笑う。そして、ふと真剣な表情で俺を見る。
「私と出会ったのは偶然だけど、俺は力が欲しいって思ってるのね」
「あれ、わかっちゃった?俺の力は足りなさすぎるからね。力が欲しいんだ。」
「力だったら、あるじゃない」
そう咲麗が言った瞬間、俺の表情が険しくなった。前の席で運転している雅樹もバックミラー越しに咲麗たちに意識を向けていた。
「誰に聞いたわけでもないわよ。俺と契約して繋がったら、わかっちゃったの」
『四季』の契約は術者と魂の深いところで繋がっていると昔聞いたことはあるが、自分の感情まで伝わってしまうとは思ってはいなかった。俺の最初の『四季』の雅樹は、もともと『四季』に選ばれる資格のある一族で、俺の置かれている状況を理解した上で俺の『四季』となった。その際にはそんなことを言われはしなかったのだが・・・。チラリとバックミラーに目をやると、雅樹は苦笑を浮かべていた。どうやら、咲麗と同じように雅樹にもダダ漏れだったらしい。
「そっか。契約する時は気をつけないといけないな」
一度起こした身を、車の背もたれにもどして溜息をついた。
「どうして、何もしないの?」
「むこうは俺のこと知らないんだ。うちの一族と縁を切ってるからね。力を持ってても使い方をわからないなら、そのまま普通に生きればいいんだよ」
咲麗のいう『力』とは、俺の従兄そのものだった。彼と俺の母親は双子で、二人とも笛吹の中でも優秀な能力者ではあった。しかし、閉鎖的な世界を嫌った姉は笛吹を捨てて普通の生活を送っていた。三人の子供に恵まれたが、最後の少年だけが母親のもつ術を使役する『力』のみを引き継いでしまっていた。『見る』能力しかない俺の対の力だった。彼と一緒ならば、多分、本家の長の能力と同じくらいはあるだろうと母親に言われたことがあった。
実は一度だけ幼い時に会っていた。自分たちの能力を制御することも知らずにただ自分の半分を求めて会った従兄。あの後、俺は母親に今までにないくらいに怒られ、従兄と一緒にいることで起こる可能性を並べられ、それでも彼を求めるか選択を迫られた。まだ、小学生にもなっていない子供には難しいものだったが、彼に迷惑がかかることだけは理解した。その後は彼との接触を避け、従兄も俺のことは夢かなにかだと思っていたまま時間が過ぎた。彼の成長を知ってるのは、彼の従妹の協力があったからだ。
「あんなにも恋焦がれているのに、このままでいいの?」
「いいの」
咲麗は那里の腕にもたれかかった。
「私たちだけは那里の傍にいるからね」
「ありがとう、咲麗。雅樹。これからもよろしくな」