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妖精の集い

「ったく、もう少し手加減しろよ」


 俺はハルを睨みつけている。ハルは絶賛土下座中だ。


 保護エリアでは、HPが1になると固定されていわゆる不死状態になる。


 なお、保護エリアで意識がないものは保護エリア外に例外を除き、運び出せない。


 保護エリアでは攻撃は出来るためにHP1のまま攻撃され続けるという暴行事件などがおきているらしい。


 なお、保護エリア内では異性との行為についてすることができない。しようとすると行動に制限が加わるらしい。


 攻略情報の裏サイトでフィールドやダンジョン内、もしくはプレイヤーホームやギルドルームなら可能とかいてあった。いや、いまはそれはどうでもいいが。


「そもそもイヴも冗談が過ぎるよ」


 そんなわけで、俺はギルドルームでそういうことを要求するように見せかけたことで言及されていた。


「いや、ただ正体ばらすだけじゃ面白くないだろ?」


 そう、俺は面白いかどうかで判断するのだ!


「まあ、そういうやつだよな・・・」


「というわけでツキちゃん、ホルマリンさん、以後よろしく!」


 俺は妖精の集いのギルドルームの一室で2人に元気よく挨拶をした。


「・・・・嫌い」


「面倒ごとはごめんよ」


 しかし、きっぱりと振られてしまった。非常に残念だ。


「まあまあ、とりあえず自己紹介といこうか。雨宮 夕貴、美島高校1年生だった。春樹とは小学校からの付き合いで、親友というところだな。不登校児でネットゲームばかりやっていた。キャラクター名はれいん。こっちではイヴ、とりあえずイヴと呼んでくれ」


 俺が自己紹介を終えると苦々しげな表情をするツキ。そんなツキを無視してホルマリンが自己紹介をする。


「私は高瀬 真里。美島高校3年生だったわ。春樹の姉よ。そういえば閉じ込められた日に会ったことがあったわね。とても不登校児とは思えなかったけど・・・。ネットゲームではホルマリン。マリと呼んでもいいわよ」


 おお、あの時の綺麗な人。このゲームはどんな不細工でも美人でも平均より少し上くらいの顔になっているから、本当の顔って分かりにくいんだよな。


 まあ、俺は元々が平均的な顔立ちだからあまり変わってないけど。


「・・・・月島 舞。・・・・美島高校2年。春樹の彼女。こっちの世界にきてから告白・・・・された。ゲームは初めて。ツキ様と呼んで」


「「「ツキ様」」」


 3人が名前を呼ぶ。ツキは顔を少しゆがめていた。


「やっぱり・・・・嫌」


 無表情ながら、なんとなく事情を察する。確かに少し春樹と似ている気がしないでもない。惹かれあった理由の一端が見えた気がした。


「感情を表に出すのが下手、か。ハルとは真逆だな。春樹がアレだけ怒るんだから大事にされてそうでなによりだよ」


 片手を振って惚気はいらないよ、とジェスチャーする。


「相変わらずだね、夕貴は。改めて高瀬 春樹、美島高校1年生。ツキとは部活が一緒だったんだ。ご存知の通りゲーム名はハル。この世界でもハル。皆ハルと呼んでるね、そのまま呼んでもらえるといいな」


 全員同じ高校か・・・。ハルとツキは予想通りだったけど、マリは予想外だった。


「それにしてもハル」


「なに?僕はいままでどこにいたか聞きたいんだけど」


「マリといい、ツキといい、その美少女といい、いつの間にハーレムを形成したんだ?」


 そう、ハルの肩の上には出会ったときから裸の美少女が鎮座していた。


「「え!?」」


「裸で外出とか、随分とマニアックな趣味だな」


「ちょっと、ハルどういうこと?ツキ以外にも手を出してたのなら許さないわよ」


「・・・・っふ・・・・ぅ・・・・」


 あれ、二人には見えてないのか?


 ハルは気まずそうに渋面を作る。ツキを抱き寄せて背中を叩いてやっているところは成長したのではないだろうか?


「この子はピクシーで、1000階層のボスを倒す素質を持った人にしか見えないんだ」


 理解した。なぜ俺が見えるのかは考えたくはない。


「裸でいるのはデフォルトで、服を着せようにも透き通るんだ。もちろん後天的に倒せる素質を持つ人もいる。ピクシーが僕のそばにいる理由は、僕のそばにいると素質を持つものが現れやすいからだって」


「なるほどな、そしてなんかツキにも見えてるっぽいけど?」


 さっきまで泣いていたツキが突然ハルの肩に乗っているピクシーを睨みつけて手で払おうとしている。


『うふふ、私への嫉妬心で称号を手に入れたみたいね。ハルのそばにいると面白いことばかり起きるわ』


 ピクシーがふわりとツキの手から遠ざかる。ハルをぎゅっと抱きしめて取られまいと必死だ。


『私はピクシー。このゲームのGM権限の一部をとある方から貰っているの。GM権限はプレイヤーを保護エリアから追放・1000階層へのワープ能力・全プレイヤーの詳細情報観覧の3つね』


「2つ聞きたい。観覧情報をプレイヤーへ教えることは禁じられているか、ワープはプレイヤーを連れて行けるのか」


『教えられないわ、教えればGM権限が剥奪されるの。ワープは1人だけなら連れて行けるわね』


「わかった」


 くるりと向き直ると3人を見据える。


「俺の称号は【始祖の守護者】、【始まりの村】で2年かけて手に入れた。MP以外の全ステータスが80%アップする能力を持っている。☆3だ」


 俺が説明すると、3人とも唖然としながら「チートだ」とのたまっている。マリは除くとして、ハルもツキもチート称号だろうに。


「僕の称号は【奇跡】、隠しパラメーターのLUK(ラック)の初期値が高いプレイヤーに贈与されるよ。効果は☆3称号を持つプレイヤーが多く集まってくることと、クリティカル率100%&MP3倍&詠唱速度50%減。もちろん☆3称号だよ」


「・・・・称号【神へと抗う者】。GM権限を持つキャラクターへの敵愾心を一定以上持った初めのプレイヤーに付与される。・・・・効果・・・・HP・STRが3倍になる。ボスへの毒攻撃が100%成功する。・・・☆3称号」


「どっちもチートじゃねえか!俺よりチートだし!」


 全力で突っ込んでやる!


「なんで私だけなにもないのよ!不公平だわ!」


 視界の端で拗ねてしまったマリをなだめるのに2時間ほど要したのは別のお話。


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