Love and a PIECE.
紙が私の目の前で舞った。
それがパズルのピースだと気付くのには時間がいらなかった。
私は必死になって、その散らばったパズルを広い集めた。
このパズルを完成させないと私の彼は死んでしまう。
そういう「ルール」なのだ。
見慣れた私たちの部屋
ひとまず、広い上げたパズルのピースを机の置き、並べていく当たっているかわからないけれど、、、
手が震えている、、、急がなきゃ、、、
だんだんと形に成っていく。
その変わりに焦燥感が増す。
どうしようもない事態に私は気を失いそうだ。
「どうして?」
思わず口に出してしまう。
口に出したところでどうなるわけでもないのに、、、
このパズルは昔、2人で外国へ旅行をした際に撮った写真で作ったモノだった。
取り敢えず、集めたパズルが並べ終わった。
また集めないと、、、
時間が経つ程に彼の笑顔が薄れていく。
そんな悲しい現実、、、受け入れたくない!
私は諦めないようにと、、、気合いを入れるため両手で顔を叩く。
「全力を出せば出来ない事は無い。」
それが彼の口癖だった。
なら私も全力を出すべきだ、、、
よし、やろう。
大量の汗が私の顔から落下する。
気付けば20分近く経っていた。
残りはあと何分だろう?
焦りすぎてもダメだ。
私は落ち着くために深呼吸をする。
冷静な判断ほど大切なモノはない。
そして、残り1ピースまで見つけた。
私の顔のピース、、、
確か、これ以上ない笑顔をしていたはずだ。
彼とは三年前、今現在も勤める会社に大学を卒業して入社した時に出会った。
そして、二年の間、一緒に過ごした。
元々、家族も友達もいなかった孤独な私は、彼に救われた。
家族、、、愛から私は捨てられたのだ。
だから、彼の事が大事で愛している私には彼の代替などいない。
顔のピースを探すのに、10分も使ってしまった。
リビングには無い、、、
もうほとんど全てを探した。
無い。
無い。
無いのよ。
彼の笑顔が、、、薄れていく。
優しい笑顔。
いつも、私を励ましてくれるあの笑顔。
涙が、、、溢れ出してきた。
前が見えない。
なんでよ、、、
時間がきた。45分経った。
45分経った。時間がきた。
時間がきてしまった。45分が経ってしまった。
45分が経ってしまった。時間がきてしまった。
彼は生きているだろうか?
私は無力を恨むように。
悲劇のヒロインのようにその場に倒れこむ、、、
はぁ、、、
すくっと立ち上がりパズルを持ち、お風呂場へ向かった。
扉を開くと、浴槽に水が溜まる音と薄暗い中にモニターの青白い光が見えた。
モニターに映っているのはリビング
そう私達のリビング。
彼は生きていた。モニターを眺めて。体を縛られて。
そして私を見て安堵の表情を見せた。
ゆっくりと近づき水を止める。
彼の首あたりまで溜まっている。
もう少しで彼は死んでいただろう。
私は電気を付け、彼にパズルを見せた。
私の顔だけないパズルを、、、
彼は首を横に振る。
全てに気付いたようだ。
昨日、、、
二人で外食をした。
その帰り道、些細なことで喧嘩した。
それは本当に些細なこと。
しかし、私達は大喧嘩をした。
「お前との日々を忘れられるなら死んでもいい。」
そう言って、私の顔のパズルのピースをゴミ箱に投げた。
だから私は彼を懲らしめるために、この計画を立てた、実行した。
「私はあなたを心の底から愛しているわ」
彼は困った顔になった。
可愛らしい表情だ。
私はまた水を流す。
風呂場を出て、急いでゴミ箱へ向かう。
私は彼を助けたい。
パズルを見付けられなければ、彼を助けられない。
それが「ルール」だ。
そして、パズルのピースを見つけ、彼を救った時、
私達の愛は完全になる。
私達の愛は永遠になる。
異臭を放つゴミ箱をひっくり返す。
手で無我夢中になりあさる。
あさる
あさる
あさる
あさる
あせる
あさる
あせる
あせる
無い!無い!どうして?
ゴミ箱に私の顔のピースは無かった。
次にゴミ袋をあさった。
けどやっぱり無かった。
「どこ!?」
怒りが込み上げてくる。
私は「ルール」守る。
そうでないと愛は永遠ではなくなるから。
リビングはもうない、、、
私の部屋にもあるわけない。
なら、、、
彼の部屋、、、
でも、今まで入るなって言われたし、、、
鍵もかかっているし、、、
いや、いいわ。
トンカチ、、、
扉を抉じ開けるのは女性じゃ無理かもしれないけど鍵を壊すくらいなら私にも出来る。
2分程掛かったけれどガシャンと壊れた。
ギギッと扉が開く。
彼は有名大学を卒業している。
私は二流どころか三流大学の卒業。
それなのに同じ小企業に勤めた。
彼曰く
「不景気というアブノーマルがノーマルになっている時代だからね。」
それを私は信じた。
きっと嘘だったのだろう。
きっとという表現は間違いだ。
絶対に。
部屋に入りそんなことを思った。
戸惑いと迷い。
「私だらけ、、、」
壁一面が私だらけ
正確には私の写真だらけ。
中には高校時代の写真まで、、、
なぜ?
理由がわからない。
いや、単純に考えれば簡単だ。
「ストーカー、、、」
彼はずっと私を見ていた。
複雑な気持ちだ。
怖い、、、
他の人なら
彼なら嬉しい。
私を真に愛してくれているのだもの。
小さなテーブルには小さな箱と手紙が置いてあった。
その中には、2人の名前が刻まれた指輪と私へのメッセージ。
指輪にはforever LOVEと書かれていた
永遠の愛はもうあったんだ、、、
完全な愛はもうあったんだ、、、
ふと壁を見ると大事そうに私の顔のピースが飾られていた。
今、思えば彼は欲しいものはどうやってでも手に入れる人だった。
手紙には、昨日のケンカの贖罪と愛してるの一言。
そのピースをとり私は足取り軽く、お風呂場へ向かった。